未来のインテリアは状況に応じて変化?…大手サプライヤーのフォルシアが展示会

コックピット・オブ・ザ・フューチャーシート
コックピット・オブ・ザ・フューチャーシート全 14 枚

フォルシア・ジャパンは11月22日、横浜市にある本社で技術展示会「コックピット・オブ・ザ・フューチャーへようこそ」を開催。報道関係者にインパネやシートのプロトタイプを公開した。

フォルシア・グループは、グローバルで170億ユーロの年間売上高を持つ大手サプライヤー。自動車用の排気系部品のほか、インテリアやシートの分野でも大きな強みを持つ。展示会の冒頭、フォルシア・ジャパンのケイバン・カルガー社長は「フォルシア・グループでは“スマート・ライフ・オンボード”それに“サスティナル・モビリティ”というふたつの大きな軸で事業戦略を展開しています」と挨拶した。

今回の展示は、この「スマート・ライフ・オンボード」というテーマにたいする提案のいくつかを公開するもの。フォルシア・ジャパンでインテリア事業を統括するアレハンドロ・エスパーダ事業本部長は「未来の車内ではいろいろなアクティビティがおこなわれ、インテリアは状況に応じてダイナミックに変化するものになります。そして、それがブランド体験を定義するものになると考えています」と語る。

展示されたプロトタイプは合計5つ。自動運転環境を想定した未来的なものから、現在の車内環境をよりレベルアップさせる提案まで幅広い。「コックピット・オブ・ザ・フューチャーシート」は、自動運転時の機能性や快適性を追求したものだ。

このコンセプト・シートは、どんな姿勢でも快適性を追求しつつ、乗員保護性能を確保するためシートベルトとサイドエアバッグを内蔵。フレームは部位によってアルミとハイテン材、樹脂を使い分け、剛性確保と軽量化を両立している。

また車両やスマートフォンと連携し、アームレスト前端にあるタッチパネルで操作が可能。リラックスした姿勢のまま、現在の車両ではセンタークラスターにあるエアコンなどを操作できる。またヘッドレストに内蔵されたスピーカーは強い指向性を持ち、運転席と助手席で異なるオーディオを楽しむこともできるという提案だ。

「モーフィング・インストルメントパネル」は、名前の通り形状が変化するインパネ。メータークラスターが、自動運転時には中央に移動してエンターテインメント・スクリーンとなる。それに合わせてインパネ上面のくぼみも位置と大きさを変化させ、それぞれの目的に合った視認性を確保するというもの。

「スマート・ウェーブ」は、緩やかなS字を描くケースに3枚のディスプレイを配置。優美なスタイリッシュさを演出するだけでなく、助手席前方のディスプレイはドライバーから見えづらい角度になることで、助手席側でどんなコンテンツを楽しんでもドライバーの集中力を切らさない。またセンタークラスターの大型ディスプレイも表面をカーブさせて、インパネ全体での統一感を高めている。このプロトタイプはジャパンディスプレイと共同開発したものだとか。

シンプルなインパネを提案しているのは「デコ・コントロール」だ。ひとつの大きな面の中にメーターやスイッチ、エアベントなどを集約。スイッチは触れると反発力が指先に伝わる仕組みにすることで操作感を確保している。「アクティブ・ウェルネス2.0」は、センサーを駆使してドライバーの状態をチェックし、健康増進を図る提案。自動運転から手動運転に切り替えるとき、ドライバーが運転できる状態かどうかを判断することもできる。

このほか、プロトタイプではないが興味深いものも置かれていた。それは、あらゆる内装部品の形状や大きさ位置によって、ユーザーの感覚がどのように変化するのかを体感できるインテリアバックだ。インパネ部分も、格子状のブロックを差し替えて形状やボリュームを変化させることができる。

これは実際に完成車メーカーのデザイナーたちとのワークショップで使い勝手を検証したり、使い心地を想像することに使っているものだという。さまざまなケースでの使い方と、それに応えるデザインを構想するには「体験してみるということが基礎であり、欠かせないことだと考えています」とエスパーダ事業本部長。一連のコンセプトモックアップも、そうしたワークショップを経てデザインされたものだと語る。

なおフォルシア・ジャパンは同日、日本で初の製造拠点を開設すると発表した。神奈川県大和市に乗用車と商用車の排気系部品の工場を建設し、2020年4月から生産をスタートさせる予定だという。

《古庄 速人》

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