JR東海は12月5日、東海道新幹線の着氷霜対策として、架線の着氷霜をリアルタイムに検知する「パンタグラフ状態監視システム」を開発したと発表した。2020年度の導入を目指す。
東海道新幹線では、米原~京都間を中心に冬季間、架線に着氷霜が認められた場合、加速時に発生するアーク(スパークの一種)によるパンタグラフの損傷を抑えるため、運転士があらかじめ定められた区間で加速を制限し、架線から取り入れる電流を抑える操作を行なっている。
今回開発されたシステムでは、パンタグラフに電流センサーと状態を監視するカメラが設置されており、電流センサーを使って架線からパンタグラフに流れる電流を測定することで、着氷霜によって生じる電流の乱れの有無を常時監視する。乱れが確認されると自動的に加速が制限されて、大きなアークの発生を抑えることができるという。
これにより、従来のマニュアル的な方法と比べてパンタグラフの損傷リスクを低減できるほか、着氷霜区間のみで加速制限ができるため、列車の遅延を短縮できるとしている。
「パンタグラフ状態監視システム」はパンタグラフ付近に設置される電流センサーとカメラからなる。装置はN700Aの3次車から搭載されており、既存のN700Aに対しても順次搭載。12月から2019年3月まで10編成で試行される。