【MaaS】目指すは世界、すべての人々の安心安全な移動を支援するサービス。ナビタイムジャパンが見ている現在と未来とは[インタビュー] | レスポンス(Response.jp)

【MaaS】目指すは世界、すべての人々の安心安全な移動を支援するサービス。ナビタイムジャパンが見ている現在と未来とは[インタビュー]

【MaaS】目指すは世界、すべての人々の安心安全な移動を支援するサービス。ナビタイムジャパンが見ている現在と未来とは[インタビュー]
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「2050年に世界の人口の半分くらいが使っているサービスになろう。」が設立以来の目標。“世界の人口約70億人中の35億人が使うサービス”とは、大西社長はどのような未来予想図を描いているのだろうか。

ナビタイムジャパンのコア技術であるトータルナビゲーションは、出発地から目的地まで、徒歩、電車、車、バス、自転車、飛行機など、様々な移動手段から最適なルートを案内する経路探索技術だ。現在は世界で月間5100万人※が、ナビタイムジャパンの提供するアプリをダウンロードするなどして利用している。今回はそのナビタイムジャパンが目指す未来について、大西社長にお話をうかがった。※ナビタイムジャパンの提供する全サービスの月間UU(ユニークユーザー)数合計

大西社長は最終的には世界にナビタイムジャパンのサービスを浸透させていきたいという。サービスの基本となるのは時刻表や路線図、乗換案内であり、まずはこれらを世界対応していくことが重要だと捉えている。海外の対応と効果についてはこんな事例を教えてくれた。

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ナビタイムジャパンのサービスは国を越え移動を支援するツールとして世界へ拡げていく

世界のなかでも日本の様に時刻表通りに電車やバスがやってくる国は珍しいのはご存知だろう。例えばイギリスも類に漏れずで、鉄道の遅延も日常茶飯事であることから目的地への到着予測は難しいという。

ナビタイムジャパンでは2010年にイギリス向けの乗換案内サービスを開始し、そのサービスに鉄道遅延情報をリアルタイムでアップデートし、迂回ルートを提案するようになると、到着予測の信頼性が増して約束に“間に合う”ということが分かった人たちが、口コミでナビタイムジャパンのサービスを広めてくれたそうだ。

運行状況や迂回ルートは日本では当たり前に提供されている情報だが、イギリスでは新たな移動の文化として受け入れていただくことができたという。その効果はとても大きく、広告を出さなくても口コミなどで100万人が利用しているそうだ。

知らない所でもナビタイムジャパンが関わっている便利な事例が存在する

そして日本国内でもIoTがますます拡がり、気づかぬうちにナビタイムジャパンのサービスを利用している機会も実は増えているのだ。

例えばデジタルサイネージ(店先や屋外の液晶ディスプレイ表示)を使った案内がある。空港の巡回バスがどこにいるのかが分かるのは、バスに搭載したアプリ入りのタブレットから取得される位置情報をもとに所要時間を計算し、バス停で待っている人たちにあと何分でバスが来るのかが表示される。他にも東急電鉄の駅構内にあるサイネージでは、準急や特急がどの駅間を走行中かといった案内はナビタイムジャパンが提供しているのだそうだ。

将来は、例えば家庭の冷蔵庫にデジタルパネルが入り、スーパーのセール案内表示からチャンネルを切り替えれば、子供が乗っているバスがどこまで来ているのかを知ることができる様になるのではないか。「IoTによって様々な場所にあるあらゆるものが繋がり、情報を取得できるようになれば、我々がこれまでに蓄積してきた技術やスポット情報、リアルタイムな交通情報などの移動中の情報やノウハウを、これまで以上にきめ細やかな提供が実現していくでしょう。また、IoTの普及が進み、情報提供できる環境が整えば知らず知らずのうちに、我々のサービスをより多くの方に利用していただける様になると考えます」と大西社長。

実際にこういうインフラの中に組み込まれたものを使っている人も入れたら、ほとんどの人が何らかのサービスでナビタイムジャパンのサービスに触れているのではないか?大西社長は「最終的には全世界の人にも、サービスに触れてもらえる機会をつくっていきたい」という。その展望は個人から社会へと拡がる“移動サービス”を見つめる大西社長の視野もますます拡がりつつある。

話題のMaaS、ナビタイムジャパンの目線は違う角度を見つめている。

いま話題となっているMaaS(マース)についても伺ってみた。MaaSは“Mobility-as-a-Service”の略。移動のサービス化とか、サービスとしてのモビリティを意味し、様々な交通手段を活用した最適な移動、最適なモビリティを組み合わせた提案を行うというものだ。

スウェーデンの研究者はサービスの“統合”レベルを0(ゼロ)から4までの5段階に分けており、レベル0は「統合なし」。それぞれの移動サービス(電車やバス、タクシーなど)が独立して移動というサービスを提供するこれまでのスタイル。

レベル1は「情報の統合」で、利用者にはA地点~B地点への移動にかかる時間や料金、距離など各移動サービスについて様々情報が提供されるようになる。

レベル2は「予約、決済の統合」だ。アプリを使った予約や発券、決済などが可能になる。利用者は情報の比較ができ、どの移動手段でどの経路で移動するかを選ぶことができ、同時に予約や決済などができるようになる。

レベル3は「サービス提供の統合」で、公共交通をはじめレンタルモビリティも連携したサービスや料金の統合が求められる。事業者間の横連携も必要になるが、サービスの高度化に繋がる。

そしてレベル4は「政策の統合」となり、国や自治体と事業者が都市計画や政策レベルで協調を図るレベルとなる。

「当社は2001年に『NAVITIME』の提供を開始しました。最近はMaaSが注目され問い合わせもありますが、我々は特に意識しているわけではありません。創業以来、継続して、あらゆる交通手段をつないだトータルナビゲーションで移動を支えるサービスを提供しています。」と大西社長。

「今年9月には徒歩とドコモ・バイクシェアを組み合わせたシェアサイクルルートを提供しています。今は予約や決済も一部対応しており、MaaSとしてはレベル2の段階にあると思います。今後は、さらに予約や決済サービスとの連携を進めていきたいと考えます。」と大西社長は言う。

最近になって、自転車やカーシェア、アメリカではキックスケーターなども含め、モビリティのシェアリングが増え、移動手段の選択肢が多様化してきているため、最適な経路の算出が複雑となっている。だからこそトータルナビゲーションの必要度が高まっていると考えられる。つまりMaaSが注目されている今の環境がナビタイムジャパンの技術を世の中に拡げる好機とも言える。

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未来へ向けたナビタイムジャパンの取り組みとは

システムそのものが構築されているいま、ナビタイムジャパンが最も力を入れているのはトータルナビゲーションの横への拡がりだという。最近では、トラベルと物流、世の中のインフラを最適化していくための交通分析を行う交通コンサルティング事業の展開を進めている。「今ある交通網における移動の最適化だけでなく、我々は交通網そのものの最適化に取り組んでいます」と大西社長。

例えば、カーナビアプリ「カーナビタイム」では、走行距離に応じてポイントを付与するナビタイムマイレージを提供し、渋滞を回避するほどポイントが貯まる仕組みだ。利用者に渋滞回避を促すことで国内の渋滞緩和に貢献したいと考えている。

また、人材不足が課題となっている物流・配送業をサポートするのが「トラックカーナビ」。これはトラックのサイズや重量、大型車規制なども考慮したルート案内ができる。そのため経験の浅いドライバーでも、安全かつ正確に配送先まで移動できる。

交通コンサルティング事業では、交通流・交通流分析を行っており、そのデータはなんと信号制御の見直しなどに活用されているそうだ。一例として西巣鴨の交差点は渋滞の多いポイントとして注視されているそうで、ナビタイムジャパンのカーナビアプリを使っている人のうち、GPS測位データの送信に同意を得たユーザーのデータを活用し、一台あたり左折にかかる平均時間のデータを分析することで、左折信号を少し長くし、渋滞が減ったという。

また電車混雑時の最適化については、現在、「NAVITIME」や「乗換NAVITIME」といった乗換経路案内サービスには電車の混雑情報が表示される。混雑状況を6段階で表示し、空いている電車を選択することができる。サービス提供には、1駅ごとの地道な実地調査と、独自開発したシミュレーション技術により混雑情報を収集、精度を高めてきた。最近は、鉄道会社から提供される情報も活用している。昨年より東急電鉄が提供するアプリと連携し、車両別の混雑度表示にも対応している。混雑車両の乗降時間が緩和されれば鉄道の遅延解消につながり、ひいては利用者の満足度も上がる。

このように今やトータルナビゲーションは単に移動効率を上げるだけでなく快適な移動も支えるアプリケーションになるべく、ますますサービス開発に取り組んでいるのだった。個人の道案内のスタートから移動の情報が集まり、道路やダイヤの効率を提案するようにまでなっているのだ。

モビリティ、“人”の流れに携わる

日本の経済成長を支える国家プロジェクトとしてインバウンド誘客を進めている中、ナビタイムジャパンでは、訪日外国人向け観光案内アプリ「NAVITIME for Japan Travel」を提供し、現在日本を訪れる個人旅行客の12.5%がこのアプリ使って移動しているそうだ。

「日本全国で利用され、許諾を得たユーザーのインバウンドGPSデータと属性アンケートを取得しているため、外国人観光客の人気エリアや時間帯、季節別の傾向などを国籍別に把握することができます」と大西社長。

外国人観光客の観光/移動パターンが、さらにインバウンド向けのトラベルプランを立案するデータベースとして活用することもできるのだという。例えば赤い鳥居で知られる京都の伏見稲荷神社。欧米系の方は山頂まで参道を歩くことを好み、鳥居で写真撮ることを目的とするアジア系と趣向が異なることが分かったそうだ。すると、今後、どんな旅行者に何をプロモーションすればいいかが分かりインバウンドのサービス向上に繋がる。

また、昨年JNTO(日本政府環境局)のオフィシャルアプリ「Japan Official Travel App」にも技術提供を行っている。さらにトラベルサービス「NAVITIME Travel」では、旅行のプランニングから予約、新幹線や飛行機などの交通手段手配(歌舞伎のチケットなどの手配も含む)も提供しているそうだ。

2020年の東京オリンピック開催時期には様々な交通規制が予想され、ある道路や路線だけに交通が集中することも考えられる。ナビタイムジャパンでは電車混雑や交通渋滞を回避するルート選択のアルゴリズムはすでにできていて、現時点でもマラソン大会や花火大会などで導入されているという。トラックなど大型車向けの交通規制を考慮する技術もある。「これらの技術やノウハウを活かし、オリンピック時の通行規制を考慮したルートを提示することで、交通量の分散、最適化に貢献できると思います。」とのこと。

今後もナビタイムジャパンは車や電車、そして人の流れまで、アプリも当然ながら私たちの生活の中に溶け込んでくる事を感じたインタビューでした。

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《飯田裕子》

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