【MaaS】MaaS時代の自動運転産業はどうなるのか…IHS Markit 松原正憲氏[インタビュー]

IHS Markit アナリスト 松原正憲氏
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自動車業界では、ADASの発展として自動運転が注目され無人カーの研究開発も進んでいる。ここにシェアリングエコノミーや移動サービスという潮流も加わり、自動運転カーの機能やゴールが二分化してきている。

自動車運転技術と市場は、MaaSによって今後どのように進んでいくのだろうか。この問題を調査・研究しているIHS Markit アナリスト 松原正憲氏に聞いた。

12月18日に日本版MaaSのキープレイヤーが一堂に会するセミナーが開催されます。詳細はこちらから。

―自動車業界では、MaaSやモビリティ革命が戦略キーワードにもなっています。MaaSとにおける自動運転カーやその市場をどのように分析されているのでしょうか。

松原氏(以下同):自動運転関連の市場を考えるのは、天気予報になぞらえることができます。

MaaSはマルチモーダルな移動を統合的に考えるものです。自動運転カーはその移動手段のひとつと考えられます。この市場を考えるには、現状なにが実現されているのか、どんな課題があるのか、OEMメーカーの機能展開、サプライヤーの技術開発計画、さまざまなデータや事実を集めます。そして、論理的な推論・思考によって方向性の予想します。天気予報も、観測データを積み重ねて明日の天気を予報しますよね。

―そうすると、技術情報以外にマーケティング情報、政策の情報など、さまざまなデータが集まるかと思いますが、分析のポイントはなんでしょうか。

自動運転の市場を考える上で最大のポイントは、なにがマーケットをドライブしているのかです。それは消費者です。

例えば、衝突被害軽減ブレーキ、自動ブレーキなどと呼ばれるものですが、商品化当初は高級車から導入されました。10年経ってみると、多くのモデルが装着しています。主要国ではおよそ8割前後の新車装着率となっています。普及の背景には、コストがリーズナブルになったこともあります。

さらに、オーナーカーの場合、購入決定権はドライバーより家族であることが多いはずです。ファミリーでは、クルマの性能や快適性より安全性能も需要な評価ポイントになっていると思われます。

自動運転にしろMaaSにしろ、こうした消費者の意識や動向を抜きにしたデータだけ積み上げても正しい予測はできません。いまのところ、ADAS機能は燃費やエンジン性能のアップなど従来からの技術革新の延長にあり、無人カーも既存技術の延長で開発が進められています。そのため、これまでのデータの積み上げである程度の予想が機能しています。

しかし、今後、さらに革命的な技術や劇的な変化があると、どうなるかはわかりません。

12月18日に日本版MaaSのキープレイヤーが一堂に会するセミナーが開催されます。詳細はこちらから。

―いまのところ、消費者は自動運転より安全運転支援のほうを重視しているということでしょうか。

はい。新車のアセスメントでも衝突被害軽減ブレーキなど予防安全機能は導入されましたが、自動運転という視点での評価はまだです。

自動運転にはレベル0から5までの考え方がありますが、この流れで考えるとレベル5がゴールとなりますが、オーナーカー、つまり市場をけん引すると見られる消費者の目線で考えると、人とシステムの協調性が残るレベル3までがベストな解となる可能性があります。

―一方で、MaaS市場からみると、レベル4、レベル5は移動や輸送サービスの技術としてニーズがあるように思います。

そうですね。旅客・貨物輸送業では、オーナーカーとは違ったニーズがあります。人手不足やコストダウンといった課題から、無人カーは別の価値、意味を持ちます。トラックなどはそもそも業界が立ち行かなくなるレベルで高齢化とドライバー不足が進んでいます。自動化、無人化は必然かもしれません。

ただし、マルチモーダルとして見ると、無人カーによる移動はドアツードアの移動の一部です。制御技術や法規制なども考えると、まずは規制区間、工業団地や施設内など制限区域での実用化からになると思います。

―自動車メーカーは、当面のMaaS市場についてどう見ていると分析していますか?

MaaS関連の市場で、ひとつ注目されているのは、地方が抱える公共交通の問題、高齢化の問題への応用です。この場合、メーカーにとっての顧客は自治体や交通事業者です。車両台数による市場規模などを考えると、大手は投資に見合わない可能性があります。トヨタ、ソフトバンクなどいくつかの例が示すように、ベンチャーや新しいプレーヤーとのアライアンスから入るのが現実的です。

10年、20年というスパンで考えると、オーナーカーとシェアカー・移動サービスカーの市場が逆転する可能性はありますが、いまは、MaaS市場には大手メーカー以外、スタートアップが参入しやすい状態といえます。

松原氏は 12月18日開催の日本版MaaSセミナーで、今回のインタビューに関連した内容で講演する。インタビュー内容の詳細について事例や具体的なデータを示す他、各国の自動運転に関する取り組み状況、法規制の状況など、当面の市場予測などを語る予定だという。

《中尾真二》

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