自動運転レベル3は普及しない…UDトラックス がレベル2とレベル4にこだわる理由

レベル3はメリットが少ない

エリア内自律走行と隊列走行で港と工業団地をつなぐ

メーカーも輸送ノウハウやナレッジを売る時代に

レベル4クオンと自動運転トラックがもたらす未来
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12日、UDトラックスは大型トラックでは国内初となるレベル4自動運転のデモ走行を披露した。発表の中で、UDトラックス開発部門統括責任者 ダグラス・ナカノ氏は、同社の自動運転のロードマップについて当面はレベル3よりレベル2レベル4の市場に注力する旨の発言があった。

レベル3はメリットが少ない

この日、UDトラックスは、大型トラック『クオン』にRTK GPSや3D LiDAR、加速度センサーなどを搭載したレベル4対応自動運転車両を発表した。自動運転技術は、移動サービスやMaaSコンテキストでも、重要な要素技術として注目されているが、同社が自動運転やEV化に注力するのは、トラック業界にとってもっと切実な問題、課題への取り組みだからだ。

その課題とは、環境問題、ドライバー不足、生産性の向上、さらに身近な問題でいえば、ネットにからんだ流通革命による小口輸送の増大(平たくいえばアマゾンやネット通販の拡大)などだ。ADAS機能や自動運転技術は、その有力ソリューションになりえるものだ。

UDトラックスでは、具体的にどんな技術でこれらの問題にあたるのだろうか。ナカノ氏によれば「これは将来的な課題解決の第一歩だが」と前置きしつつ「隊列走行の実証実験と実用化をめざす。これはレベル2に相当する技術で対応する。もうひとつは、制限エリア内での自律走行、つまりレベル4トラックの実用化・製品化をめざす」という。

レベル3については、「一般的なドライバーにとってメリットが少ない。市場としてもレベル2レベル45が先に立ち上がるだろう」と否定的な見解を示す。

自動運転について、SEAによる定義とレベル分け(0~5)が一般的に利用される。それによるとレベル2は現状のADAS機能のほとんど。製品化されている自動運転支援システムを指すと思えばよい。レベル3は、制限エリアや一定の条件のもと自律走行が可能だが、システムが対応しきれないときに人間に制御をゆだねる必要がある状態とされる。レベル4は、制限エリアや一定の条件下ならドライバー不要とする自動運転とされる。レベル5は、すべての状況で無人自律走行が可能な状態だ。

つまり、一定の条件下でも人間が制御しなければならない可能性があるなら、結局運転を任せたことにならずドライバーの負担はレベル2と変わらない。ビジネス的にも企業やドライバーがレベル3機能を必要とする動機に欠けるということだ。

エリア内自律走行と隊列走行で港と工業団地をつなぐ

隊列走行については、ドライバーの負担を軽減するのはもちろん、一定速度、一定車間で効率のよい輸送が可能になる。とくに日本では、トラック大手4社による共通プロトコルの研究が進められている。同じ運送会社でも複数メーカーのトラックを運用しているところは多い。隊列走行の実現から、高速道路でのレベル4自動運転、レベル5自動運転への進化・発展を見据えている。

そして、制限エリアの無人走行については、じつはi-Constructionで重機などは実用域に達しており、ボルボグループでも、ノルウェーの鉱山業者から石灰石の運びだし業務を委託され、レベル4トラックの自動運転、運行管理をビジネスとして展開している。ブラジルのサトウキビ畑では、収穫用の大型トラックを同じシステムで自律走行させている。

隊列走行や制限エリアでの自律走行によってUDトラックスが実現させようとしている応用事例は、たとえば港湾施設とその周辺の倉庫街。高速道路の接続がよければ、郊外のトラックステーションや工業団地とつなぐこともできる。物流倉庫や工場などの施設内も当然含まれる。

メーカーも輸送ノウハウやナレッジを売る時代に

レベル2レベル4の自動運転が広がることで、トラックメーカーのビジネスモデルが変わる可能性もある。

隊列走行にしろ港湾施設でのコンテナ積み下ろしにしろ、現実には技術的な細かい問題がある。隊列走行で、車両ごとの重さの違いや(制動距離や挙動が変わる)、列が乱れたり故障車がでたときの制御をどうするか。制限エリアでも工業団地と港湾では要件が異なる。

デモで披露されたクオンはプロトタイプということで、GPSやLiDARなど基本的な装備のみだ。実証実験などでは、状況やニーズに応じたカスタマイズが必要となる。カメラやLiDARの増設、既存ADASシステムとの協調などの組み合わせやチューニングが発生すると、単にセンサーや制御コンポーネントが入った車両だけを購入すれば終わりとならない可能性がある。

レベル4のクオンは市販されるとすると価格はいくらになるのか。どれくらいの上乗せになるのか」という質問に、ナカノ氏は「トラックに必要な機能は要件によって変わる。我々はソリューションを売ることになるので、単体の価格はつけにくい」と答えていた。これは、ノルウェーの採掘場での事例のように、用途によっては車両だけでなく運行管理システムや運行業務そものももビジネスの対象となる可能性を示唆した回答ととれる。

レベル4トラックのハードウェア販売も、もちろんビジネスとして成立するだろうが、UDトラックスを含むボルボグループは、グローバルで80万台ものコネクテッドカーを動かしている。また、開発や設計、製造、メンテナンス、その他業務システムもCASTという共通システムを導入している。

ナカノ氏は「自動運転市場は、単に技術の問題ではなく、ナレッジが付加価値を持つようになる」とも述べた。トラックメーカーもハードウェアを売る時代から、付加価値の高いサービスを提供できるかが問われる時代になったということだろう。

《中尾真二》

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