『サウンド調整術』入門…タイムアライメント機能の弱点

タイムアライメントの調整画面(ダイヤトーンサウンドナビ)。
タイムアライメントの調整画面(ダイヤトーンサウンドナビ)。全 1 枚

現代カーオーディオにおいて欠かせない存在となっている『サウンド調整術』について解説している当コーナー。まずは“調整”が必要である理由から考察している。前回は、車内で“ステレオ再生”を楽しむために“タイムアライメント”という機能が有効であることを紹介した。

しかし…。“タイムアライメント”も万能ではない。今回はそこのところを解説していく。

まずは、“タイムアライメント”とは何かを簡単におさらいしておきたい。当機能は、スピーカーが音を発するタイミングを制御するためのものだ。クルマの中では、リスナーと各スピーカーとの距離がまちまちだ。なので、各スピーカーから発せられる音の到達タイミングがばらばらになる。しかし“タイムアライメント”を活用して発音タイミングをコントロールすると、すべてのスピーカーからの音の到達タイミングを揃えることが可能となるのだ。

このように当機能が画期的な機能であることは間違いないのだが、実は1点、弱点がある。それは、「車内の1人のリスナーに対してしか効力を発揮できないこと」である。運転席のドライバーに対して厳密にチューニングした場合、助手席のリスナーは、調整前の状態よりもさらに悪化したコンディションの音を聴かされることとなる。“タイムアライメント”では、スイートスポットを1点しか作れない、というわけなのだ。

とはいえこれはやむを得ないことである。なので“タイムアライメント”は、ただ1人のリスナーのための機能であると割り切る必要がある。そして複数でドライブに行くときには、どの席にも平等な状態となるチューニングメモリーを用意しておいて、それを適用させて音楽をかけるべきだろう。

なお、メインユニットによっては、各席のリスナーに良好なサウンドフォーカスを擬似的に感じさせることが可能となる機能が搭載されていることもある。そういった機能はHi-Fi的な観点では敬遠されがちだが、複数でドライブするときには大いに役立つ。愛機にそのような機能が搭載されているか否かを確認して、もしも搭載されているのなら、どしどし活用しよう。

さて、カーオーディオで『サウンド調整術』が不可欠である理由の解説はここまでとさせていただく。次回からは、各チューニング機能の成り立ちを紹介していく。お楽しみに。

『サウンド調整術』入門! 第1章「カーオーディオで“調整”が必要となる理由とは? その5 “タイムアライメント機能”の弱点…

《太田祥三》

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