【マツダ 6/アテンザ 海外試乗】シルキーで伸びの良い2.5リットル ターボをLAでドライブ…鈴木ケンイチ

マツダ6 SKYACTIV-G2.5T (北米仕様)
マツダ6 SKYACTIV-G2.5T (北米仕様)全 14 枚

ビッグマイナーチェンジで追加された2.5L ガソリンターボ

マツダのフラッグシップセダンとなる『マツダ6(日本名:アテンザ)』。モデルライフからすれば、すでに末期を迎えているが、ロサンゼルスモーターショー2017でビッグマイナーチェンジ・モデルをワールドプレミア。日本でも2018年5月から発売を開始している。しかし、北米で発売されたものの、日本に導入されなかったモノがある。それが新開発された「SKYACTIV-G2.5T」、2.5リットル4気筒直噴ガソリンターボ・エンジンだ。

それまで、マツダ6には3種類のパワートレインが用意されていた。2リットルガソリンエンジンの「SKYACTIV-G 2.0」、2.5リットルガソリンエンジンの「SKYACTIV-G 2.5」、そして2.2リットルのディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 2.2」だ。ガソリンエンジンは、どちらもNAで、ターボではない。これに、ビッグマイナーチェンジで2.5トルのガソリンターボである「SKYACTIV-G2.5T」が追加されたのだ。

ちなみに、「SKYACTIV-G2.5T」のスペックは、最高出力250馬力/5000rpm、最大トルク310lb-ft(約420Nm)/2000rpm、EPA燃費(市街地/高速)23/31MPG(9.8/13.2km/L)といったもの。日本で発売される「SKYACTIV-D 2.2」の最高出力190馬力/4500rpm、最大トルク450Nm/2000rpm、WTLCモード燃費17.8km/Lと比べると、「SKYACTIV-G2.5T」の優位点は最高出力のみ。トルクと燃費はディーゼルエンジンが勝る。燃費にうるさい日本と、ディーゼルのイメージの悪い北米。そうした2つのエンジンと地域の特徴から、北米には2.5リットルガソリンターボ、日本にはディーゼルという振り分けが行われたのだろう。

デビューの地、ロサンゼルスで試乗

マツダ6 SKYACTIV-G2.5T (北米仕様)マツダ6 SKYACTIV-G2.5T (北米仕様)

そんな「SKYACTIV-G2.5T」を搭載するマツダ6のハンドルを握るチャンスを得た。そこは日本ではなくロサンゼルス。ちょうど新型『マツダ3』がデビューしたロサンゼルスモーターショー2018の取材で現地を訪れた際に、現地で広報車を借りて試乗することができたのだ。

まず、現地でのマツダ6は、見え方が日本とは異なっていた。比較対象となる、街を走る他のクルマたちが、よく言えば骨太、悪く言えばおおざっぱなデザインなのだ。それらと比べるとマツダ6からは、どことなく優雅さを感じる。サイズ感も大きすぎず、小さすぎず。しかし、引き締まった“細マッチョ”のよう。日本で見るよりも、心なしか数割ほど格好よいのだ。

そして肝心なエンジン「SKYACTIV-G2.5T」。これが物凄くよかった。まず、フィーリングがいい。レスポンスよく、しかもシルキーに回る。そして高回転まで、気持ちよくふけ上がるのだ。トルクは、間断なく下から力強く発生する。“4リットルV8相当”というマツダの謳い文句どおりのパワー感だ。トルクの力感だけであれば2.2リットルディーゼルが勝るかもしれないが、スムーズさとレスポンスの良さ、伸びの良さがミックスした気持ちよさは、圧倒的にコチラの2.5リットルターボが上だ。

ミドルセダンでありながらも、4リットルV8相当のパワーがあるから走りは自由自在。ホイールスピンを響かせたじゃじゃ馬のような加速から、お客さまを迎えたショーファーのような静々とした走りまで、アクセルひとつで踏み分けることができる。ちなみに、ロサンゼルスはフリーウェイという無料の高速道路が、あちこちに張り巡らされており、どこに行くにも頻繁に高速道路を使う。そのときの高速道路への合流路がやたらと短いのだ。そのため合流では、掛け値なしの全力加速が求められる。さらに信号からのスタートの加速も鋭い。ガソリン代も安いのだろう。日本のように“ふんわりアクセル”などというドライバーは見ることができなかった。とにかく、アクセルを深々と踏み込むシーンがやたらと多いのだ。そうした交通事情には、大排気量でダッシュの効くクルマが好まれるのは当然だろう。もちろん2.5リットルターボのマツダ6は、流れをやすやすとリードすることができた。

ドイツ車とは異なった、軽快でしなやかな動き

マツダ6 SKYACTIV-G2.5T (北米仕様)マツダ6 SKYACTIV-G2.5T (北米仕様)

高速道路での直進性もマツダ6は悪くない。ただし、ドイツ車のように頑固に“まっすぐ走る”という感じではなく、レーンチェンジの動きは軽快だ。印象としては“しなやか”。こうした動きが、マツダ6ならではの乗り味なのだろう。

最後に気になった点をひとつ。それはマツダコネクトのカーナビ機能だ。日本で販売されるマツダ車は、日本向け仕様に改良されている。しかし、ロサンゼルスでは旧来のママ。表示が遅いし、宿泊したホテルが登録されていないなど、目的地のデータ量にも不満がでた。ただし、ほとんどの道に名前があり、交差する2本の道の名前を憶えておけば、だいたい目的地に着くというのがロサンゼルスである。慣れてしまえば、そこそこ使えた。これが欧米から、あまり不満が出ないという理由なのだろうか。

スポーティセダンとして考えれば、個人的にはディーゼルよりも、フィーリングのよい「SKYACTIV-G2.5T」がベストな選択だと思う。ただし、燃費や燃料費は、当然、ディーゼルの方が上。どちらを日本に入れるのかは、マツダにとっても難しい判断だったに違いない。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

鈴木ケンイチ|モータージャーナリスト(日本自動車ジャーナリスト協会会員)
新車のレビューからEVなどの最先端技術、開発者インタビュー、ユーザー取材、ドライブ企画まで幅広く行う。特に得意なのは、プロダクツの背景にある作り手の思いを掘り出すインタビュー。

《鈴木ケンイチ》

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