ドコモが GT-R で実証実験、300km/hの5Gハンドオーバー…オートモーティブワールド2019

ドコモ(オートモーティブワールド2019)
ドコモ(オートモーティブワールド2019)全 9 枚

オートモーティブワールド2019、ドコモのブースにはオリジナルカラーの日産『GT-R』が展示されていた。それだけで目を引くが、これはドコモが5Gの実験のために購入し、改造した実験車両だ。

なんの実験につかっているのかというと、2019年にプレリリース、2020年に商用サービスがスタートするといわれている5G通信の実験だ。5Gは現状のLTE、4Gより大幅な通信速度の向上、帯域の拡大が特徴とされる。自動運転やコネクテッドカーには欠かせない通信技術だ。

モバイル通信の場合、実用サービスで克服しなければならない問題に「ハンドオーバー」がある。通信しながら移動する場合、基地局のカバーエリアの境界をまたぐときに、接続相手を自動的に引き継ぐ技術をハンドオーバーという。

自動運転などが有力アプリケーションといわれる5G通信では、100km/h程度の移動中の通信性能およびハンドオーバーは難なくこなさなければならない。当然各通信事業者が実験をおこなっているわけだが、ドコモは陸上のハンドオーバー実験のためGT-Rを選んだという。

展示しているのはその車両だけではない。じつは展示のメインは5G用のアンテナ素子だ。4Gよりも周波数帯が高い5G(だからこそ広い通信帯域、伝送速度が実現できる)は、まず、4G以上に車両ボディ(金属)の影響を受ける。5G電波は金属に覆われた車内では受信しにくい。また、送信(上り)の場合の消費電力やエネルギーも4Gより高くなる。

そのためアンテナはウィンドシールド周辺に設置するか、スマートフォンならなるべく外から見えるところで使う必要がある。ドコモはAGCと共同で5G車載アンテナと、5Gガラスアンテナを開発している。ハンドオーバーの実験もこのアンテナを使って行っている。ガラスアンテナは、ガラス素材に金属粒を配合し全体をアンテナとする。ウィンドウに設置するならフィルムアンテナでもよさそうな気がするが、5Gの送信エネルギーではフィルムアンテナは溶けてしまう可能性があるそうだ。そのため、外付けアンテナやガラスアンテナが威力を発揮する。

実証実験では、100km/hのハンドオーバーで8Gbps(下り)伝送速度を計測したという。実験では300km/hまでのハンドオーバーを成功させている。

《中尾真二》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「本当に世に出るとは」わずか1トンの車体に800馬力V12を搭載、「超アナログ」なスーパーカーにSNS沸く
  2. BMW『8シリーズ』初代オマージュの「エディション M ヘリテージ」登場、世界限定500台
  3. トヨタの新型EV『アーバンクルーザー』をくまなくチェック!…詳細画像記事ベスト5 2025年上期
  4. マイバッハ初の2シーターオープン「SL 680 モノグラム」米国発売へ、約3315万円から
  5. スズキの人気トールワゴン『ソリオ』開発責任者が語る、「顔だけじゃない」マイナーチェンジの真価
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る