ペダル付き電動バイク、普及へ「法律も変えていく」…ヤマハ2輪事業で初のベンチャー投資

ヤマハと電動バイクのグラフィットが提携

「GFRの派生モデル」がめざすもの

法律も変えていく

ヤマハ発動機とglafit(グラフィット)が2輪事業で業務提携を発表。ペダル付き電動バイクの普及をめざす(1月24日)
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ヤマハと電動バイクのグラフィットが提携

運転免許証をもっていなくても、原動機付自転車のナンバーがなくても、ヘルメットをつけなくても、“Eバイク”に乗れる時代はやってくるのか。

そんな夢のような“電チャリ”が走り出す時代を想像させてくれる会見が1月24日、都内で行われた。出席者は、ヤマハ発動機 MC事業本部長 木下拓也執行役員、モビリティベンチャー glafit(グラフィット)鳴海禎造 代表取締役社長。両社はこの日、業務提携することを伝え、ヤマハ発動機が、glafitに対し約1億円の出資を決めた。

両社の業務提携による公式内容はこうだ。「グラフィットの『GFR』シリーズをベースとした派生モデルを開発し、2020年春頃の販売を計画。その後も、両社は電動モビリティにおける両社の強みを最大限に活かし、よりユーザー視点に立った、安心で便利で楽しいモビリティを提供していく」。
グラフィットが現在販売しているペダル付き電動バイク「GFR-01」。原付なのでナンバー、ヘルメット着用、運転免許が必要
「グラフィット(和歌山県和歌山市)は、2017年に二輪ノンユーザーをターゲットにした、自転車でも原付スクーターでもない新しい電動ハイブリッドバイク『GFR-01』を発売し、新規二輪ユーザーを獲得してきた。今回の資金調達で、製品開発と人員強化し、経営基盤を強化。和歌山発モビリティーベンチャーとして株式上場をめざす」

グラフィットが販売する「GFR-01」は、足こぎペダルが付いた電動バイクだ。電動アシスト自転車と違うのは、ペダルをこがなくてもモーターの力のみで走行できる点。つまり原動機付自転車扱いの電動バイクなので、公道を走行するにはナンバーと、ヘルメット着用、そして運転免許が必要となる。これをベースとした新たなモビリティが生まれようとしているわけだ。

「GFRの派生モデル」がめざすもの


気になるのは、「GFRの派生モデル」とはどんなカタチか? ヤマハ側は、その回答の前に、ターゲットについて単純にこう言い切った。「ターゲットは普通自動車運転免許を持っているすべての人たち」と。

「グラフィットは現状、二輪に縁がなかった人たちに注目されている。地方や田舎ではいまでも移動といえばクルマがメイン。でも、高齢化などで普通自動車運転免許を返納する人たちが増えたあと、その移動手段としての新たな選択肢がない。そこに、この新しいモビリティが入り込めればと」

「それから、鉄道や旅客機、クルマを降りたところからのラストワンマイル、クルマと電車と飛行機などと、新しいモビリティを組み合わせるという選択の可能性もある。そして都市部は、免許はもっているけど、モビリティを保有していない人が、新しいモビリティのターゲットになる。折りたたんで自宅に保管できる、電車内に持ち込めるモビリティとして」

木下取締役は、ヤマハ×グラフィットの新たなモビリティについての具体的なカタチについては言及しなかったが、「変える」というワードを何度も使って説明。そこに、「免許なし」「ナンバーなし」「ヘルメット不要」という夢のようなモビリティの近未来が想像できる。

「日本のみならずグローバルにみても、Eバイク、Eモペットのような走る自転車は普及拡大しているのがトレンド。いっぽうで、メーカーはいまあるモビリティが継続できるか否かを検討していたりする」

「今後の新規制や、規制緩和という大きな変化に対応できる商品を出していけるかが鍵。次の規制が出てきたときに、原付バイクをどう選ぶか。規制をクリアしながら、パラダイムシフトへむけた対応力が問われている」

木下執行役員がいう規制とは、二輪車排出ガス規制 EURO5対応 などか。

法律も変えていく

グラフィットが現在販売しているペダル付き電動バイク「GFR-01」。原付なのでナンバー、ヘルメット着用、運転免許が必要
木下執行役員と鳴海社長はさらに、ルールづくりについてもこう語る。

「ヤマハはこれまでのPAS(ヤマハ発動機の電動アシスト自転車)もそうだったが、このグラフィットとの協業による新しいモビリティを出すときにも、法律を変えていくことも想定している」(木下執行役員)

「既存GFR-01も、製品そのものは新しくない。道路交通法のしばりがあるなかで、新しい二輪の使い方の提案をしたら、なんとなく『新しい』と思ってもらえた。そこに新しい価値が生まれた」(鳴海社長)

このあたりで、「そういえば」と昨今のニュースを思い出す。アジアなどで製造されるEバイクはいま、実は Amazonなどでかんたんに手に入れられる。その商品説明には「この商品が原動機付自転車ですよ。だから運転免許が要るし、道交法などに従って走って」という記載が小さくあるだけ。だから、それをよく確認せずに買ってしまったユーザーが、のちのちトラブルや危険なシーンに遭遇するというケースも少なくない。

そして会見の最後、木下執行役員は独特のビジョンで、ヤマハ×グラフィットの近未来モビリティについてのヒントをこう教えてくれた。

「ヤマハが持つ二輪ユーザーとは違った、『漕ぐ』という動きが新しい価値つくるんじゃないか。たとえば、時速30キロで走る原動機付自転車はつまらないでしょう。でも時速30kmで走る自転車は、気持ちいい。だから、モーターに対して人がどうアシストするとか(を考えていく)。ヤマハは実は、商品企画の3割が外部との接点から生まれている。今回のグラフィットとの協業もそう。違うものと出会ったとき、イノベーションが生まれることに期待している」

2社がつくる近未来モビリティは、どんな走りと楽しさと便利さをくれるか。鳴海社長は、「価格は既存の商品(15万円)と大きな差は出ないと考えている。性能面や航続距離の向上、ユーザーの不満も解消していく」とも伝えていた。

《大野雅人》

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