つくば市は、「バンライフ」を持続可能な未来の暮らし方として着目し、定住促進と新たな関係人口づくりを目的としたイベント「つくばVAN泊2019」を3月21日・22日の2日間、つくばエキスポセンターに隣接する「SEKISHO INNOVATION PARK(仮称)」にて開催する。
東日本大震災以降、自家用車には被災時のシェルター的な役割も期待されるようになり、キャンピングカーの国内売上も過去最高を記録している。クルマが、移動手段から家の延長線上にある居場所ともなっている中、日本でも働きながら都市と地方を往来する「バンライファー(バンで暮らす人たち)」が現れてきた。
つくば市がバンライフに着目するのは、仕事と暮らしの「モビリティ」。大規模災害が発生した際、安全な居住空間をクルマで確保したり、家族の介護と仕事の両立が必要となった場合に、どこでも仕事ができる環境が整っていれば、不安も大きく軽減できるのではないかと考えている。
つくばVAN泊では、これからの社会や環境の変化を見据えた新しい暮らし方や働き方を、「多拠点居住」(デュアラー)、「リモートワーク」、「災害時の備え」、「宇宙生活」まで見据えたバンライフから探っていく。先駆的にバンライフを実践する人々(バンライファー)、筑波研究学園都市の研究機関や地元企業などから多様なバックグラウンドを持つパーソナリティを集め、「モビリティのある暮らし」をクルマ、「方丈記」、宇宙船など、ユニークな視点でパネルディスカッションを行う。
3月21日のイベントは、第1部(10時~16時30分)と第2部(18時30分~20時30分)の2部構成。会場はバンライファーたちのバンとともに、つくば市の包括協定先であるスノーピークのプロデュースによる特別な空間となる。
第1部では、地域の食材を使ったフードカートが出揃う「バンマルシェ」、世界トップクラスのバリスタやロースターが集まる「つくばコーヒーフェスティバル」参加店によるスペシャルティコーヒーなどの飲み比べ体験を開催する。また、つくば市内で活躍する「移動図書館」、スラックライン体験、出展するバンとの記念撮影など、家族揃って楽しめる企画を準備している。このほか、有名キャンプグラマーのYURIEさん、モバイルハウス事業を展開するSAMPO、車中泊先マッチングサービスを展開するCARSTAYなど、日本のバンライフシーンを盛り上げている人たちも参加予定だ。
第2部は、つくばエキスポセンターのシンボル「H-IIロケット(実物大模型)」の麓の会場がナイトキャンプ場に様変わり。バンライファーたちによる座談会のほか、アコースティックライブ「Tsukuba Van Live」、旅する料理人Nao Mikami さんプロデュースによる地元食材を使ったフード、体験型イベントや新ワイン特区・つくばのワインも提供される予定だ。
22日は、バンライファーたちとともに「つくばバンライフ会議」を開催する。「バンライフをスムーズにできる社会・都市は現代社会のどのような課題や問題を解決できるか」をテーマに、これからの地域活性化やまちづくりのアイデアやヒントを、定住とは一見真逆の現象にみえる「バンライフ」の視点から議論し、「つくばバンライフ共同宣言(仮)」を行う予定だ。
なお、会場内の主要な電源は、大手自動車メーカーなど協力企業のサポートにより、水素燃料電池車やEVなど、送電網の電力を使わずにオフグリッドに供給する予定だ。
つくば市では、クラウドファンディングMakuakeでつくばVAN泊の開催資金の一部を募るため、同市初の「ふるさと納税型クラウドファンディング」を1月30日まで実施。スノーピークのキャンプキットで働けるコワーキングスペース利用や、車上生活の未来型「バンライフ」を実際に体験できるコースを用意している。