【池原照雄の単眼複眼】トヨタ、定額支払い「愛車サブスクリプション」の成否は?

サービス名はあの人の理想のクルマ像

3年契約でプリウスはおよそ月5万円から

モビリティカンパニーを象徴する新事業に

トヨタ・プリウス改良新型
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サービス名はあの人の理想のクルマ像

トヨタ自動車が2月から新車を毎月の定額支払いで利用する「サブスクリプションサービス」を東京都の販売店(一部は除く)で開始した。

国内では2016年以降、中古車買い取り会社やカーリース会社が同様のサービスを始めているが、自動車メーカーでも2019年からトヨタと日産自動車が着手した。トヨタは、まず都内で車種も限定したトライアルと位置付けており、順調に進めばこの夏以降に全国展開を図る。果たしてクルマの所有方法が変わっていくのか、自動車業界注目の実験ともなる。

このサービスを運営するのはKINTO(キント、本社・名古屋市)で、トヨタの子会社であるトヨタファイナンシャルサービスが66.6%、残りを住友三井オートサービスが出資して19年1月に設立した。社名やサービス名のKINTOは、西遊記の孫悟空が使う、意のままに移動できる乗り物「筋斗雲(きんとうん)」をイメージしたという。

そういえば、1967年から82年までの成長期にトヨタの社長を務めた豊田英二氏が生前に、理想のクルマは筋斗雲のようなもの、と指摘していたのを思い出した。英二氏いわく、必要な時にスピーディに安全に移動でき、かつ使用時の環境負荷もないということだった。自動運転や水素利用技術などで、クルマは少しずつ筋斗雲に近づきつつあるものの、まさか後輩たちが21世紀の新サービス名に使うとは、英二氏も想像できなかっただろう。

3年契約でプリウスはおよそ月5万円から

さて、トヨタのサブスクリプションはトヨタブランドの『プリウス』をはじめ、『カローラスポーツ』、『アルファード』、『ヴェルファイア』、『クラウン』の5車種を対象にした「KINTO ONE」と、『IS300h』などレクサスブランド6車種を揃えた「KINTO SELECT」の2種類でスタートした。いずれも契約期間は3年間で、車両代のほか任意保険、自動車税、登録諸費用、定期メインテナンス(KINTO ONEのみ)がパッケージされており、燃料代や駐車料などの負担だけで乗ることができる。

利用の仕方は、トヨタ車が対象のKINTO ONEでは1台を3年間使うものの、レクサス車のKINTO SELECTは3年間で6車種を6か月ごとに乗り継ぐことが可能となる。月額の利用料金はKINTO ONEだと、最も安いプリウスは4万9788円(消費税込、以下同)から、最も値の張るクラウンでは9万7200円からとなっている。これに対し、レクサスのKINTO SELECTは一律の19万4400円に設定している。

モビリティカンパニーを象徴する新事業に

3年間の支払い総額をはじくと、最安値のプリウスで約180万円であり、年間当たりだと60万円。ガソリン代などを除いた“込み込み”でこれなら、まずまずかなという設定ではなかろうか。一方のKINTO SELECTは3年間で約700万円であり、レクサスでもかなり高いモデルが買える値段だ。こちらは「3年で6車種の新車が楽しめる」というのが、トヨタが打ち出すセールスポイントとなっている。

トヨタブランドとは異なるセールスだが、そもそもレクサス自体が富裕層をターゲットとしたビジネスなので、こういったサービスのニーズもあるのだろう。ちなみに6車種はIS300hと『ES300h』のセダン2モデルのほか、クーペの『RC300h』、SUVの『UX250h』、『NX300h』、『RX450h』と、いずれもハイブリッド車であり、もう少しバリエーションを変えてもいいような気がする。

トヨタは「愛車サブスクリプション」と呼ぶこのKINTOサービスで、「所有」から「利・活用」への転換がどう進むのかを探ることになる。2018年に、「自動車をつくる会社」から移動に関わるあらゆるサービスを提供する「モビリティカンパニー」にモデルチェンジすると宣言したトヨタの新たな事業展開の象徴でもある。果たして、想定通り次の全国展開に移行できるのか、トヨタにとっても手探りが続く。それだけに、意味のあるチャレンジを始めたとも言える。

《池原照雄》

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