春闘2019…トヨタの年間一時金は初の夏のみ回答、人事制度論議へ労使専門委を立ち上げ

トヨタ自動車本社(参考画像)
トヨタ自動車本社(参考画像)全 2 枚
自動車業界の2019年春季団体交渉は3月13日、経営側から一斉に回答が示された。そのなかで最大手のトヨタ自動車は年間一時金の回答が夏季分のみとなるなど、厳しい交渉となった。

トヨタ労組は今年から、賃金改善分であるベースアップ(ベア)要求額を非公表とした。グループ内でトヨタのベアを基準に賃金を決める慣行を改めてもらい、賃金格差是正の一助とする狙いだ。また、トヨタの労使自体も「100年に1度の大変革期」を乗り切るために、社員や期間従業員などで頑張っているメンバーが手厚く報われるといった賃金制度を模索しており、これまでの習慣にとらわれない春闘へと踏み出している。

今年の組合の要求は、社員だけでなく定年後再雇用者やシニア期間従業員も含めた全組合員平均で賃金は1万2000円(昇給率3.3%)だった。これにはベアのほか、賃金制度維持分(定期昇給に相当)、手当てなどが含まれる。経営側の回答は1万0700円(昇給率3.01%)で、昨年の1万1700円(約3.3%)を1000円下回った。

また、年間一時金の要求は6.7か月分だったが、回答は夏季分として120万円(3.24か月分)の提示にとどまり、秋の労使協議会で、冬季分を決めることになった。今春闘で労使は、(1)メンバーの”プロを目指して頑張りたい”をさらに引き出す、(2)メンバーの1体感醸成や困りごとへの配慮、(3)正しい危機感をもって行動―という3点に焦点を当てて論議しており、これらの実現度を秋の労使協議会でレビューし、冬期分を決定するという。

トヨタの昨年の年間一時金は、満額の6.6か月分で妥結し、夏季が133万円、冬季が110万円だった。今年はその水準を上回るのが厳しくなってきた。トヨタの一時金の要求が年間方式になったのは1969年からで、事業環境が不透明な年に「冬期分は再協議」という年も何度かあったが、冬期分の金額が提示されないのは年間方式になってからは初めてとなる。

労使は今後、人事制度全般についての「専門委員会」を立ち上げることも13日に合意しており、「長年の慣習を打破して、真に成長し続けている人に報いる枠組み」への移行を図る方針だ。

《池原照雄》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「本気の電動二輪が出てきた」ホンダ初のフルサイズEVバイク『WN7』発表にSNS沸く
  2. 日産の新デザイン、『セントラ』新型を米国発表…「Vモーショングリル」に新解釈
  3. ポルシェ、電動化戦略を大幅見直し…内燃エンジンモデル拡充へ
  4. トヨタ『ランドクルーザー250』、米2026年型は今秋発売…日本にない326馬力「i-FORCE MAXハイブリッド」搭載
  5. 「かつての『サニー』が随分と立派に…」日産の新型セダンが話題に!進化したVモーションにも注目
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る