【三菱 eKワゴン・eKクロス 新型】CUTEさは共通ながら、BEASTとCHICに作りわけ

eKクロス(向かって左)とeKワゴン
eKクロス(向かって左)とeKワゴン全 27 枚

三菱から発売された新型軽自動車、『eKワゴン』と『eK X(eKクロス)』は、軽自動車ユーザーの購入重視点の変化から、デザインとカラーバリエーションに力を入れて開発された。

見直されたパッケージング

「eKクロスは、他車とは明確に異なるSUVの方向性を持たせたタフで力強いデザイン。それに対してeKワゴンはベーシックな中にもおしゃれ感と上質感を大切にデザインした」とコメントするのは、三菱デザイン本部プロダクトデザイン部デザイン・プログラム・マネージャーの大石聖二氏だ。

新型eKシリーズでは、パッケージングとプロポーションを大きく見直された。その最大の特徴は65mm延ばされたホイールベースによる、「クラストップの室内長だ」という。特に後席乗員の膝前スペースを大幅に拡大。さらに前席はヒップポイントとアイポイントを上げることで、「現行車の強みである前方上方・下方視界をキープしつつも、見晴らしの良い取り回し性を提供している」という。

また幅方向でも、ドアガラスを外に出して、ショルダールーム、エルボールームを大きく拡大。「圧迫感を払拭した広がりのある室内空間を確保した」と述べた。

eKクロスはSUVイメージで

eKクロスのエクステリアデザインのコンセプトはTHE CUTE BEASTだ。「三菱自動車独自のアクティブさを、プレイフルで存在感の強いSUVイメージで表現。軽自動車の持つおしゃれ感や独自性を備えた時代に合った新しさを目指した」という。

eKクロスeKクロスフロントは、「アクティブかつ機能的で存在感のあるフェイスとし、最新のダイナミックシールドコンセプトを採用」。このダイナミックシールド部分のメッキバーは垂直に通され、「水平基調のグリルとの構成で安定感と信頼感を表現。ダークメタリックのグリルにはハニカムパターンを配しアクティブなイメージを表した」と大石氏。

またフロントバンパーは、「SUVとしてのタフさと、安心感を表現したしっかりとした上下に厚みのあるバンパーを採用した」と述べる。

そしてポジションランプは、『デリカD:5』と同様に、「視認性の高いボンネットフードの下に配置。LEDヘッドランプを対向車に眩しくない高さに配することで、特徴的かつ機能的なランプレイアウトとした」。このヘッドランプユニットは4部屋に分かれており、上二つがロービーム、三段目がハイビーム、一番下がターンランプというレイアウトとなっている。

バンパーはブラックの本体部分にフォグランプを備えた大型なガーニッシュをかぶせた構成とし、「前面を保護する安心感とともに、交換できる構造によりカスタマイズ性を持たせている」とし、オプション等で用品が用意される。

サイドビューは、「重心を高めたSUVフォルムと、塊感のある力強いボディサイドを狙った。ホイールアーチのeKクロス専用のサイドデカールと、サイドシルのブラックアウトで視覚的な重心高アップを表現」。さらに4WDでは実際に20mm地上高がアップしている。

eKワゴンeKワゴンドアからリアに向けて彫刻的で動きのあるキャラクターと、ホイール回りを強調するプレスラインにより、「力強さと足回りのしっかり感を表している」。また、サイドウィンドウはドアサッシをブラックアウトしたフローティングルーフとし、ジェットフィンリアピラーにより、「伸びやかな広さ感、そしてアクティブさを強調している」と説明。

さらにメーカーオプションとしてプレイフルでアクティブイメージを高めるeKクロス専用のルーフレールが用意された。

リアでは、「安定感とSUV感を高めるデザインにするために、おおらかで張りのあるアッパーキャビンを、しっかりとした厚みのあるバンパーで支える安定感ある基本構成とした」と大石氏。リアコンビランプは、「ジェットフィンピラーと関連付けた特徴的な形状で、ワイドなゲート開口との両立を図っている」という。また、「リアワイパーをガラスマウントとすることで、クリーンですっきりとしたリアビューを実現した」と述べる。

さらに上級仕様では、「バンパーのしっかり感を高めるために、下部にシルバー塗装を施し、SUVイメージで車両全体をハーモナイズさせている」とした。

おしゃれと上質感のあるeKワゴン

eKワゴンのデザインコンセプトは、THE CUTE CHICだ。大石氏は、「安心・安全感のある佇まいと生き生きとした躍動感をおしゃれさと上質感をもって表現することを狙いデザインした」とその思いを語る。

フロントは、「表情豊かなランプ周りの立体感と、厚みのあるしっかりとしたバンパーで安定感と安心感を表現。ヘッドランプと連続するメッキ処理のフロントグリルにより、上質でワイドな印象を表現した」という。

リアは、「リアコンビのアウターレンズをレッドとしeKクロスとの差別化。フロント同様に立体的なキャビン周りを安定感のあるバンパーで支えたスタンスの良いシルエットを実現している」と述べる。

豊富なカラーバリエーション

eKクロスは全部で11色のボディカラーがラインナップされ、その内訳は6色のモノトーンカラーと5色のツートーンカラーだ。さらに新色が3色設けられている。ツートーンカラーのルーフ色はボディカラーに応じて5色の全く異なった色の組み合わせを設定し、豊富なカラーバリエーションとなった。

eKクロスのコミュニケーションカラーはサンドイエローメタリックとホワイトソリッドのルーフのツートーンだ。新車体色であるサンドイエローメタリックは、「アウトドアシーンに鮮やかに映えるアクティブでスポーティーなキャラクターカラーとして開発した」という。

一方のeKワゴンでは、「性別問わず幅広いユーザーニーズに対応するラインナップとし」、モノトーンの7色を設定。新色としてはミントブルーが採用されている。

4つのポイントを押さえたインテリアデザイン

インテリアは、「快適な空間、ワクワクする魅力的なディテール、おもてなし、パーシブド・クオリティを高めることを狙いにデザインした」とのこと。

快適な空間の実現としては、「インパネはホリゾンタルアクシスに則った水平基調のデザイン構成に、すっきりとしたノイズレスな上面、フローティングしながら気持ちよくワイドに伸びたインストルメントパネルメイン部を柔らかさとしっかり感の融合した断面とすることで、広々とした安心感のあるインパネデザインだ」。

eKクロスeKクロスワクワクする魅力的なディテールとして、「スピーカーやインパネ周りのディテールを、エクステリアと同調させたモチーフとし、精密な3Dパターンやレザーオプションではカラードパイピングを緻密に織り込むなどで、細かな部分までおしゃれ感やこだわりをもってデザインしている」と説明。

おもてなしは、「スマートな使い勝手と充実な収納を実現するために、空調パネルは表示部とスイッチをコンパクトにまとめて一体化することで、スマートなオペレーションを可能としている」。またインパネには、「多様なスペースを設けユーティリティをしっかりと取り込んだ機能的なデザインとした」と語る。

パーシブド・クオリティでは、「先進的な機能感、緻密な上質感、部品構成での細部の質感、シルバーの加飾やグロスやマットブラックのコンビネーションによる品質感などこだわりを持ってしっかりとした作り込みを行った」と説明。メーターには4.2インチのカラーTFTディスプレイも採用されている。

こだわりのインテリアカラー

インテリアカラーは、「カラーマテリアルによる各グレード間の魅力的な特徴づけを行い、それぞれのグレードに応じた魅力を一層引き出すカラーコーディネーションを狙った」とその意図を述べる。

eKワゴンは、ライトグレーを基調としたベーシックな中でも、「ファッショナブルなインテリア空間を表現。シートクロスはボリューム感のある生地にソファ調の柄をプリント。明るくカジュアルなイメージを表現している」という。

eKクロスではブラックを基調にブルーをインサートした、「スタイリッシュかつクールなSUVテイストのインテリア空間を表現。シートクロスは凹凸感のある生地にハニカム調のエンボス加工を施し、タフで機能的なイメージを表している」と話す。

そして、プレミアムインテリアパッケージでは、ブラックとタンのコンビネーションに、アイボリー系のアクセントを加え、「ファッショナブルでプレイフルなインテリア空間を演出した。シートは、合皮とクロスのコンビネーションにより軽快なアウトドア感を表現している。生地にはアクセントカラーを効かせたストライプパターンを採用している」とした。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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