【ジャガー I-PACE 新型試乗】EVでありSUVである前に「このクルマ、何!?」…島崎七生人

EVでありSUVである前に「このクルマ、何!?」

“魅せるスタイリング”にまとめあげられたデザイン

強力な加速の“味”もちゃんとジャガーらしい

ジャガー I-PACE ファーストエディション
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SUVというよりもクロスオーバー。渡河水深50cmの実力と聞いても、「さあ、どうぞ」と実車を目の当たりにした第一印象は、「何はともあれ、どのカテゴリーにも属さない個性的な存在感のあるクルマ」に思えた。

EVでありSUVである前に「このクルマ、何!?」


BEV(Battery Electric Vehicle)すなわちフルEVで登場してきた『I-PACE』。エネルギー効率97%という自社製永久磁石同期式電気モーターを前後に各1基搭載。432パウチセルの90kWhリチウムイオンバッテリーを床下に敷き詰めて搭載し、438km(WLTCモード)の航続距離、294kW(400ps)/696Nmの性能と、スーパーチャージャーのV8に匹敵する0-100km/h=4.8秒の性能を叩き出す。

また50kWのCHAdeMO急速充電にも対応させており、日本での汎用性の高さももつ(80%まで約85分)。ヒートポンプ技術の採用で、たとえば0度以下でも1kWhの熱エネルギーを2.5kWhのバッテリーエネルギーに変換しエアコンに活用するなど、バッテリー消費を抑える技術も投入されている。

ほぼアルミ製のボディ骨格はもちろん新規開発で、今風にいえば“まるっと新しいEV”。だが、たとえば初代日産『リーフ』が、いかにもコンセプチュアルな変わった姿をアピールして登場したのに対し、冒頭でも書いたように、EVでありSUVである前に「このクルマ、何!?」と、気持ちを惹きつける佇まいなのが特徴。

“魅せるスタイリング”にまとめあげられた


エンジンのないショートノーズや、2990mmのロングホイールベース、後方まで伸びたルーフなど、下手をすればバランスが崩れてもおかしくないが、“魅せるスタイリング”にまとめあげたデザイナーのセンス、力量がモノをいっているというべきか。フロントグリルは機能上はなくてもいいが、あえて残し、上部からボンネットに抜ける空気の道筋を作り空力のコントロールをしている。

インテリアも大人のセンスでまとめられている。シルバー加飾のあしらいも抑えが効いており、上質で、いたずらに未来感覚を押し付けてこないのがいい。

ちなみにシフトはここ最近のジャガーではお馴染みのキーオンでせり上がってくるダイヤル式ではなく、ドライバー手元のセンターコンソール部にD/N/RそしてPの各ボタンが縦一列に配列されている。これは操作性も上々だった。

後席は包まれ感を感じながら、余裕のあるスペースに収まる感じ。実はレポーターは骨盤骨折の長期入院から上がったばかりで、そのせいもあってか、後席は座面がやや硬く感じ、もう少しフカッ!と身体を優しく受け止めてくれる感じでもいいのでは?と思った。対してバケット調のフロントシートは、運転中、まったく不都合は感じなかった。

強力な加速の“味”もちゃんとジャガーらしい


短時間の試乗につき“電費”の確認には至らなかったが、走らせた印象は“スムースで重厚な走りっぷりの乗用車”だった。

試乗車は「ファーストエディション」でエアサスペンション付きかつ20インチタイヤ装着車だったが、比較で乗ったコイルバネ(タイヤは20インチ)モデルよりも街中での路面の凹凸のいなしが上手く、総じて乗り味がよく、2250kg(前1190kg/後1060kg)の車重(コイルバネ車も実は10kg軽いだけ)と足のバランスがいいように感じた。

動力性能、ドライバビリティも文句なしだった。試しに強い加速を試せば強力な力でクルマは前に出るが、後ろから蹴飛ばされる感じではなく、ジワッと(しかし並外れで強力な)加速してくれ、そのさまは上品でジャガーらしい。回生ブレーキも同様に強力(調整も可能)だが、乗員が身体を大きく動かされることなくギュッとスピードを絞る。

高速走行時の安定感、快適性も申し分なく、低重心のため、コーナリング中のロードホールディングもまったく危なげない。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

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