【ジャガー I-PACE 新型試乗】1000万円のEVを検討している人には「★5つ」…青山尚暉

東京~軽井沢間を無充電で往復できる

恐ろしいほどに静か

1000万円のEVを検討している人には「★5つ」

ジャガー I-PACE
ジャガー I-PACE全 16 枚

東京~軽井沢間を無充電で往復できる

ジャガーとして初のフルバッテリーを採用するエレクトリック・パフォーマンスSUVが『I-PACE』。1000万円級のEVであり、90kWhのリチウムイオンバッテリーと、最大効率97%を発揮するジャガー製モーターを前後に備え(つまりモーター4WD)、合計最大出力400ps、0-100km/h加速4.8秒を誇るハイパフォーマンスEVということになる。

静かで速いのは当たり前、レンジローバーとの関係から悪路走破性に優れるのは当然で(水深50cmの走破が可能とか)、前後50:50の重量配分、重量物のバッテリーを床下に敷きつめたことで、重心は『F-PACE』より120mmも低いのだから、EVとしてだけでなく、クルマとして走りがいい。
ジャガー I-PACEジャガー I-PACE
充電環境にしても、普通充電と急速充電(日本ではCHAdeMO規格)に対応し、急速充電で0から80%充電まで約85分、普通充電で0~100%充電にかかる時間は約12.6時間と説明されている。

もっとも気になるEV走行距離はWLTCモードで470km。実際には約350kmはかたいと思われる。ということは、東京~軽井沢間を無充電で往復することも可能。軽井沢によく出掛けるボクとしては、それができるかできないかをEV走行距離の目安にしている。

恐ろしいほどに静か

ジャガー I-PACEジャガー I-PACE
さて、ジャガーI-PACEを試乗して、もっとも感動できたのが、車内の静かさ。EVだから当たり前、と思うかもしれないが、たとえパワーユニットが無音に近くでも、かえってロードノイズや高速走行での風切り音が目立つ、ということが多い。

しかしジャガーI-PACEは完ぺきだった。試乗車のHSEグレードは20インチもの大径タイヤを履いていたが、高速走行でのロードノイズの遮断は見事。風切り音も皆無に近く、クルージング中、聞こえてくるのはエアコンのさわさわした吹き出し音がほぼすべて。恐ろしいほどに静かなのである。

また、ボディ剛性の高さ、フラット感極まる上質な乗り心地の良さもびっくりである。荒れた路面、段差、痛んで穴が開いたような路面でも、ボディはミシリとも言わず(多くの高級車でも苦手とする場所)、マイルドかつスムーズに、何事もなかったように走り抜けることができるのだ。

もちろん、400psのパワーは2.2t級の車重をまったく感じさせない強力な加速力をもたらす。ペダルを深く踏み込めば、体がシートバックに押しつけられる、血の気が引くような強烈な加速力を発揮するのだ。

1000万円のEVを検討している人には「★5つ」

ジャガー I-PACEジャガー I-PACE
先進感溢れる前席の収納の豊富さ、後席のゆとりある居住性、前後にあるラゲッジルームの容量といった実用性も文句なし。ジャガーらしい風格ある、スタイリッシュさ極まる、空力性能に優れたエクステリアデザインを含め、EVとしての完成度は極めて高いと思わせる。

ちなみにエアロボンネットに開いている穴は空気を車体後方に逃がし整流する役割があり、おかげでリアワイパーなしでもリアウインドーに雨滴がつくことはないそうだ(試乗日は晴れのため、未確認だが)。

今回、ジャガーのスタッフと話をしていて得られた収穫のひとつが、最近、ジャガーの純正ペット用品が充実してきたこと。その点を含め、犬にもやさしい静かでスムーズな走行性能を持つジャガーI-PACEは、イギリス由来のレトリーバーなどの犬種の飼い主にも、大きくアピールしそうである。

5つ星評価は全項目、最高点の5つ★としたいところだが、1000万円級の価格を加味して、おすすめ度のみ★4つとした。1000万円のEVを検討している人に対しては、すべて★5つである。
ジャガー I-PACEジャガー I-PACE

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージングデータの蓄積は膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍も手がけ、また、愛犬とのカーライフに関するテレビ番組、ラジオ番組、イベントに出演。愛犬との快適・安心自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーとしての活動、自動車用ペットアクセサリーの企画・開発も行っている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

《青山尚暉》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. 40アルファードの静粛性が一変!調音施工で快適性が飛躍的に向上
  2. トヨタ カムリ 新型、全車ハイブリッドに…今春米国発売
  3. 【ホンダ N-BOX 新型試乗】アイデアの詰まった使い勝手はまさに「ニッポンの国民車」だ…中村孝仁
  4. レゴ ブロック初心者再び! セナが愛用した「マクラーレン MP4/4」を組み立ててみたら感激した
  5. シトロエンの新デザイン採用、『C3エアクロス』新型を欧州発表
  6. [15秒でわかる]トヨタ『4ランナー』新型…オフロード仕様のTRDプロを設定
  7. ジムニー愛好者必見! ベルサスVV25MXが切り拓く新たなカスタムトレンドPR
  8. トヨタ堤工場、2週間生産停止の真相、『プリウス』後席ドア不具合で13万台超リコール[新聞ウォッチ]
  9. トヨタ『ランドクルーザー250』発売、520万円から…特別仕様車も
  10. 【株価】トヨタが小反発、『プリウス』13万台リコールも地合い好転で持ち直す
ランキングをもっと見る