【日産 リーフe+ 新型試乗】シャシー限界ギリギリのパワー、これに相応しいのは…渡辺陽一郎

日産 リーフe+
日産 リーフe+全 12 枚

『リーフ』は本格的な電気自動車で、現行型は2017年に発売された。2019年1月には、上級の『リーフe+』を加えている。e+では駆動用電池の容量が40kWhから62kWhに拡大された。1回の充電で走れる距離も、WLTCモード走行で322kmから458kmに伸びている。

e+は制御も異なり、同じモーターを使いながら、最高出力は150馬力から218馬力、最大トルクは32.6kg-mから34.7kg-mに向上した。

そのためにe+の加速は力強い。50km/h前後で走行中にアクセルペダルを素早く踏み増すと、モーターの特性で駆動力が瞬時に高まり、発進加速でもないのにホイールスピンが発生した。この加速性能は、ガソリンエンジンに当てはめると3.5~4リットル並みだ。しかもほぼ無音で速度を急激に高めるから、独特の迫力を生み出す。

また一般的にモーターが加速を続けると、やがて速度上昇が伸び悩むが、e+はこの限界速度が高い。法定速度の範囲内で、伸び悩みを感じることはない。

ただし車両重量は40kWh仕様よりも160kg重く、試乗したe+ Gは1680kgに達する。カーブを曲がる時などはボディの重さを意識させ、走行安定性も下がりやすい。62kWh仕様では、挙動変化を40kWh仕様に比べて少し穏やかな方向へ補正したが、それでもボディの重さなどにより不安は残る。

動力性能の向上も、安定性とのバランスを難しくした。開発者は「e+の動力性能は、現行リーフのシャシーにとって限界ギリギリだ。これ以上のパワーは与えられない」という。e+のパワーに相応しいのは、『リーフNISMO』とか、今後登場すると思われる上級の電気自動車だろう。

e+ Xの価格は40kWh仕様のXに比べて約50万円高いが、6kWの普通充電器が備わるので、実質的な価格上昇は39万円だ。それでも40kWh仕様に比べて割高だが、リーフが好きで数台も乗り継いできたユーザーには適しているだろう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★
オススメ度:★★★

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト
1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

《渡辺陽一郎》

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト 1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  2. 最後のフォードエンジン搭載ケータハム、「セブン 310アンコール」発表
  3. 高機能ヘルメットスタンド、梅雨・湿気から解放する乾燥ファン搭載でMakuake登場
  4. 船上で水素を製造できる「エナジー・オブザーバー」が9年間の航海へ
  5. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  5. 「あれはなんだ?」BYDが“軽EV”を作る気になった会長の一言
ランキングをもっと見る