【KTM 790アドベンチャーR 海外試乗】「ガチ」のオフロードでわかったガチすぎる実力…佐川健太郎

オフロードの雄が生んだ最新アドベンチャー

「ガチ」のオフロードを走ってわかった実力

いま最も“らしい”モデル

【KTM 790アドベンチャーR 海外試乗】「ガチ」のオフロードでわかったガチすぎる実力…佐川健太郎
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オフロードの雄が生んだ最新アドベンチャー

KTMはオーストリアのモーターサイクルブランドとして主にオフロード界で存在感を示してきたメーカーだ。世界で最も過酷なオフロードレースと言われるダカールラリーでは、今年1月に開催された2019年大会を含め18連覇中という圧倒的な強さを誇っている。そのKTMが新たに開発した中排気量クラスのアドベンチャーモデルと聞けば、いやが上にも期待は高まるというものだ。

『790アドベンチャー』は『790DUKE』がベースの軽量コンパクトな水冷並列2気筒エンジン、通称LC8cを強靭なクロモリ製フレームに搭載し、WP製前後サスペンションと最新の電子制御を備えた新時代の冒険マシンだ。特にこの「R」はSTD仕様に比べてよりオフロードに軸足を置いた仕様になっている。

具体的には同じWP製サスペンションでも全調整式となりストローク量も40mm長い240mmが与えられ、ライディングモードもSTDの3種類(ストリート、レイン、オフロード)に対しラリーモードを加えた4種類が搭載されている。

「ガチ」のオフロードを走ってわかった実力


今回、国際試乗会がモロッコで開催されたが、「R」のテストコースに選ばれたのはなんとサハラ砂漠の玄関口であるメルズゥーガ大砂丘。地平線まで広がるアフリカの大地をスロットル開け開けで突っ走っていくが、フラットに見えて近づいていくと腰の高さぐらいのコブがあったり、砂煙の中に突然人の頭ぐらいの石が転がっていたりする。そんな場面でもなんとかなってしまうのは、もちろん自分の腕ではなくマシンの性能のおかげ。

スロットルを開けさえしていれば、エンデューロマシン並みのストロークを持つWPとフロント21ホイール、しなやかな剛性バランスのシャーシが路面からの衝撃を吸収し、うまくギャップをいなしてくれるのだ。

「R」だけに装備されたラリーモードの意味も、本当のワイルドダートを走って初めて理解できた。ラリーモードは最もアグレッシブな出力特性が特徴で、スロットルを開ければ分厚い中速トルクが鋭く立ち上がって瞬間的にフロントを軽くできるため、あとはサスペンションに任せて多少のギャップならそのまま乗り越えてゆける。特にラリーモードにはスイッチひとつでトラコンレベルを瞬時に切り替えられる機能が付いているため、刻々と変わる路面に応じて素早く対応することができるのだ。

もちろん、それなりに“オフロードの走り方”に慣れる必要はあるが、800ccもある大型バイクでそんな芸当ができてしまうこと自体が凄い。

いま最も“らしい”モデル


一方、デューンと呼ばれる大砂丘では、スロットルを絞ればフロントが砂に取られ、開けすぎれば逆にリヤが空転して砂に沈んでいくまさにアリ地獄を体験。粉雪のようにサラサラの砂にもがきながらも、ピーク95psを発揮するLC8cのトルクフルな瞬発力と低重心で軽い車体のおかげでなんとか這い出すことができた。

砂丘では想像以上にエンジンパワーと体力を奪われる。きっと250ccクラスのトレールバイクや巨大アドベンチャーでは、同じようにはいかなかっただろうと正直思った。KTMがこの地を選んだのは、究極のアドベンチャー性能とは何かを我々にリアルに体験させたかったからに違いない。その意味で790アドベンチャーRは、いま最も“らしい”モデルだと思う。

■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
ハンドリング:★★★★★
扱いやすさ:★★★★
快適性:★★★★
オススメ度:★★★★★

佐川健太郎|モーターサイクルジャーナリスト
早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。(株)モト・マニアックス代表。バイク動画ジャーナル『MOTOCOM』編集長。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

《佐川健太郎》

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