中途半端から“ちょうどいい”へ、ロクハンCBが「R」に進化…ホンダ CB650R 開発者インタビュー

ホンダ CB650R 新型
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650cc=ロクハン。昔なら「なんでそんな中途半端な…」と言われがちなクラスだったが、今では「ちょうどいい」「扱いきれる」と幅広い層に支持され、注目のセグメントとなっている。

ホンダは直列4気筒648ccエンジンを搭載するネイキッドロードスポーツ『CB650R』を新発売。このクラスの“CB”は従来から存在し、2014年にデビューした『CB650F』が記憶に新しい。

HSTC(ホンダ・セレクタブル・トルク・コントロール)も新搭載され、高性能と扱いやすさを両立し、乗り手とマシンの親和性を一段と向上したのが新型『CB650R』だ。スポーツバイクの根源的な楽しさを深めただけでなく、上質感もそこに加わり、「そろそろロクハンもいいかもしれない」と、本気で思わせる完成度の高さである。

『CB650R』となってどう変わったのか、実車を見ながら開発責任者(LPL)の筒井則吉氏(本田技術研究所 二輪R&Dセンター)と、LPL代行・吉田昌弘氏(本田技術研究所 二輪R&Dセンター)に詳しく教えてもらった。

スポーツバイクらしさを追求し、全面刷新!


----:開発の狙いは?

筒井氏:コンセプトを“都市のライフスタイルに興奮を”にし、各技術領域で進化を遂げています。

●車体=いっそうの軽量化とマスの集中化を図り、スポーツ性能を向上。
●足まわり=バネ下重量低減を図った倒立フロントフォーク採用などによる上質なライディングフィール。
●パワーユニット=レスポンスと吹け上がりを向上させた官能的な直4フィール。
●スタイリング=マス集中プロポーションと装備進化による新世代CBシリーズとしての独自性表現。
●電装・制御=運動性能向上に寄与する電装品と、Honda セレクタブルトルク コントロール(HSTC)やエマージェンシーストップシグナルなど安心を支える装備の採用。

----:メインフレームはツインスパー形状を『CB650F』から継承していますね。

筒井氏:剛性バランスと構成部品を見直しつつ、スチールの持つしなやかな特性を活かしています。

吉田氏:ピボットプレートを従来の鍛造製からプレス成型品を組み合わせたボックス構造とし、エンジン後方上側に位置するエンジンハンガーは、クロスパイプに一体化。ライダースペースをタイトに設定したシートレールで、シート後端は従来より約60mm短縮させてマス集中に貢献しています。

筒井氏:完成車重量は『CB650F』に比べて6kg低減です。

吉田氏:新しいシャシーは、不快なエンジン振動もだいぶ減っています。

旋回力を高めた足まわり


----:もちろん足まわりも刷新したと。

筒井氏:ホイールのY字型スポークを5本から6本に。各部が薄肉化され、フロント440g、リヤ530gの軽量化を達成しました。慣性モーメント低減により、コーナリング時の軽快なハンドリングを生み出しています。

吉田氏:フロントブレーキは新設計のφ310mm10ピンフローティングディスクとラジアルマウントキャリパーの組み合わせで、ブレーキパッドの材料も変更。レバーへの入力に対しリニアな減速フィールと制動力を確保しました。

----:エマージェンシーストップシグナルとは?

筒井氏:56km/h以上で走行時の急ブレーキをABSモジュレーターが判定すると、ハザードランプを高速点滅させて後続車などに注意を促します。

----:CB650Fではフロントフォークが正立式でしたが、倒立式にグレードアップを。

筒井氏:鉄だったボトムブリッジをアルミ鍛造製に変更し、見た目でも上質に。クッションオイルも新開発し、フリクションの低減が図られています。

吉田氏:リアサスペンションはクッション作動性を向上させるために、スイングアームとの締結部にピロボールを新たに採用しました。路面追従性が上がって、乗り心地が良くなっています。

直4らしい吹け上がり感とサウンドを


----:直4エンジンもひときわ刺激的になりました。

筒井氏:ワインディングなどでキビキビ走れるようスロットル全閉から中開度域の3000~8000rpm付近のスロットルレスポンスを高めました。特に7000rpm付近からの吹け上がり感にはこだわっています。

吉田氏:カムプロファイルとバルブタイミングを見直し、CB650Fより高回転型の特性に。ダクトのツイン化とエアクリーナー内部構造変更など吸気系も新設計し、直4の魅力を最大化したのです。

筒井氏:アシストスリッパークラッチも採用。シフトダウンに伴う急激なエンジンブレーキによる後輪ホッピングを軽減するだけでなく、レバー操作荷重を約12%軽減しました。

----:排気音も元気ハツラツとしたものに。

筒井氏:CB650Fでは35mmだったテールパイプ径を38mmに拡げ、排気の“抜け”がより良くなり、胸のすくような吹け上がり感に。消音性能をそのままに、200~800Hz(低中音域)帯の音圧が上がりました。また、テールパイプ後端の角度がCB650Fより35.4度上向きになって、乗り手がエンジンサウンドをより楽しめる構造としています。

----:凝縮感に満ちたプロポーションです。

筒井氏:吸気チャンバーと一体化した金属質感なシュラウド、精悍なLEDヘッドライト、ショートテール化など、新世代CBシリーズに共通するライダーコンシャスな車体シルエットでマスの集中化を図り、コンパクト&ダイナミックなイメージを具現化しました。

----:撮影車の赤のキャンディー塗装はキレイですね。

吉田氏:ベースコートにカラークリアを塗り重ねた2層構造で、ベースコートには反射率を上げた“次世代高輝度着色アルミフレーク”を、カラークリアには“ナノ顔料”を採用し、高彩度の透明感と、見る角度で色味が変わる豊かな立体感を実現しています。

《青木タカオ》

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