【BMW Z4 新型試乗】スポーツ+は「やりすぎ」を感じるほど…九島辰也

新型Z4、そのトップグレード M40i に試乗

走って最初に感じるのは“エンジンパワーの威力”

一般道では過激すぎる「スポーツ+」モード

BMW Z4 新型(M40i)
BMW Z4 新型(M40i)全 26 枚

新型Z4、そのトップグレード M40i に試乗

今回試乗した新型『Z4』は、トップグレードのM40i。3リットル直6ツインパワーターボで最高出力340psを発揮する。

日本仕様のカタログにはこの他、2リットル直4ツインパワーターボがあり、そちらは197psを発揮する。モデル名は「Z4 sDrive20i」で、その後に“スポーツライン”と“Mスポーツ”が付くものもある。500万円後半から600万円代におさまるそちらの方がメインストリームになるだろう。M40iは835万円だから欲しいオプションを見積もると1000万円の声が聞こえてきそうだ。

それはともかく、新型Z4 M40iを箱根ターンパイクで走らせた。トップはもちろん電動式のファブリック。開閉時間はわずか10秒。サプライヤーは変わらず得意のZ字型に収納されるタイプだ。

これまでZ4には開閉式ハードトップもあったが新型はそれを採用しない。理由はご存知の通り、『スープラ』があるから。同じプラットフォーム、シャシーフレーム、パワートレーンを積むのだからそこは区別しないと、である。というか、開閉式ハードトップだと重心が高くなる分クーペのスープラにハンドリングで負けてしまう可能性もありそうだ。

走って最初に感じるのは“エンジンパワーの威力”

BMW Z4 新型(M40i)BMW Z4 新型(M40i)
では、その走りだが、まず思うのはエンジンパワーの威力。車両重量1570kgでこのスペックはトゥーマッチに思えるほど。屋根を開けての加速感は当然クーペを上回る。アクセルをガツンと踏むとボンネットが微妙に浮き上がりリアのトラクションでボディを勢いよく押し出すといった様子だ。

そのためはじめは頭部付近の風の流れや風音が気になったが、それもしばらく走ると慣れるから不思議。上げていたサイドウィンドウを下げての走りを楽しめるようになる。

それができたのは、今回初めからメッシュのウインドリフレクターを装着していたと関係する。オープンカーのネガティブ要素は後ろからキャビンに進入してくる風の巻き込み。これが抑えられれば快適性はぐっと上がるのだ。
BMW Z4 新型(M40i)BMW Z4 新型(M40i)
ハンドリングは、以前ポルトガルの国際試乗会で走らせた時より落ち着いてる気がした。あの時はやたらクイックでかなりシビアなセッティングに思えたのを記憶している。もちろん、クイックな方ではあるが、それほどセンシティブにならなくていいという具合だ。

クルマの挙動は安定していて、タイトコーナーでも連続する高速コーナーでもドライバーは安心していられる。トレッドが広くキャビンがフラットに保たれるからだ。つまりロールは抑えられるが、そこに不自然さがないのがいい。

一般道では過激すぎる「スポーツ+」モード

BMW Z4 新型(M40i)BMW Z4 新型(M40i)
ドライブモードをすべて試したが、スポーツ+は一般道では少々やりすぎ感がある。かなりギアを引っ張るのでアグレッシブ度は高いが、サーキットに持ち込まないとその領域は楽しめない。であれば、ノーマルのポジションでパドルを使って走っている方が運転自体を楽しめる。なんならエコモードでも全然イケる。

Z4 M40iは2シーターロードスターでありながらワイドトレッドでホイールベースも長めに設計されたため、安定感がウリとなる。それはある意味高級感のある走りとも言えるだろう。あとは2リットルエンジン車がどんな走りを見せるのか、だ。MロードスターなどこれまでBMWを何台も所有してきた分、その辺のテイストが正直気になる。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

モータージャーナリスト 九島辰也氏モータージャーナリスト 九島辰也氏

九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの"サーフ&ターフ"。 東京・自由が丘出身。

《九島辰也》

九島辰也

九島辰也|モータージャーナリスト 外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. ようやくですか! 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』日本仕様初公開へ…土曜ニュースランキング
  2. トヨタ『ランドクルーザー300』初のハイブリッド登場!実現した「新時代のオフロード性能」とは
  3. 【マツダ CX-60 XD SP 新型試乗】やっぱり素のディーゼルが一番…中村孝仁
  4. セリカに次ぐ「リフトバック」採用のカローラは、50年経ってもスタイリッシュ【懐かしのカーカタログ】
  5. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  2. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  5. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
ランキングをもっと見る