【プジョー 508 新型試乗】伝統と奥義が息付いたボディと足回り…渡辺陽一郎

従来の508との違いは居住性

峠道をスポーティに走る1.6リットルターボ

長時間ドライブにピッタリのディーゼル

プジョー 508 新型(GTライン)
プジョー 508 新型(GTライン)全 16 枚

プジョー『508』は、新型になって車両の性格を大きく変えた。プジョー・シトロエン・ジャポンでは「セダンは今でも重要だが、従来と同じ(居住性を重視する)タイプは受けない。そこで新しい508は、プレミアムな5ドアハッチバックに発展した」と説明する。

従来の508との違いは居住性

プジョー 508 新型(GT ブルーHDi)プジョー 508 新型(GT ブルーHDi)
従来型のプジョー508は、後席を含めて、居住性の優れたセダン&ワゴンだった。それが新型では、全高を35mm低い1420mmに抑え、天井の低い5ドアハッチバックになった。

前席の居住性は快適だが、後席は先代型に比べると窮屈だ。足元空間が狭まり、床と座面の間隔も不足したから、膝の持ち上がる座り方になる。天井が後方へ下降するから、身長170cmの同乗者が座ると、頭部が天井に触れる。後席には閉鎖感が伴い、乗降性も良くない。

SUVの『5008』なら、天井も高いから後席も快適だが(『2008』と『3008』は狭い)、従来型の508から新型に乗り替えるユーザーは居住性に注意したい。

峠道をスポーティに走る1.6リットルターボ

プジョー 508 新型(GTライン)プジョー 508 新型(GTライン)
ステアリングホイールは、上側と下側が平らにデザインされ、送り/たぐりハンドルの操作をする時などは使いにくい。エンジン回転計は、速度計とは逆の左回りだ。一般的に時計、オーディオの音量調節、水道の蛇口などは、右に回すほど時間が進んだりボリュームが増す。左回りは違和感が伴い、安全にも影響を与える。

先代508はオーソドックスでもさまざまな機能を高めていたから、方針を変えた新型には違和感を抱くが、走りは優れている。直列4気筒1.6リットルターボの「GTライン」は、低回転域から過給効果が感じられて運転しやすい。

操舵感は小さな舵角から正確に反応してダイレクトな印象があり、車両の向きを確実に変える。穏やかでリラックスできた従来型の運転感覚に比べると、良く曲がって峠道をスポーティに走れる。

長時間ドライブにピッタリのディーゼル

プジョー 508 新型(GT ブルーHDi)プジョー 508 新型(GT ブルーHDi)
2リットルのクリーンディーゼルターボを搭載した「508GTブルーHDi」は、1200回転くらいでもディーゼルらしい駆動力が沸き上がって扱いやすい。3000回転前後では特に駆動力が高く、ノイズは小さいから、高速道路の長時間ドライブにピッタリだ。車両重量は1.6リットルターボのGTラインに比べて120kg重いが、カーブを曲がる時でも重量増加をあまり感じさせない。

運転感覚は以前に比べてスポーティになり、タイヤサイズも試乗したグレードは18インチ(235/45ZR18)だったが、乗り心地は適度にしなやかで粗さを感じさせない。路上のデコボコも上手に吸収する。このボディと足まわりの微妙な味付けに、プジョーの伝統と奥義が息付いている。

プジョー 508 新型(GTライン)プジョー 508 新型(GTライン)
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト
1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

《渡辺陽一郎》

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト 1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 新型マツダ『CX-5』発表に「先代よりマッチョ」「今風になった」など反響! 注目はサイズとインテリア
  2. レクサスの新境地を開くか...『ES』に「スポーツクロス」導入の噂
  3. スバル初の小型EVクロスオーバー『アンチャーテッド』、7月17日発表へ
  4. 何が変わる? 国交省が自動車整備の「事業規制」を見直し…知っておくべき7項目
  5. ほんと? マツダ『CX-5』新型、価格は350万~420万円か
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. リチウムイオン電池の寿命を2倍に、矢崎総業、バインダフリー電極材料を開発
  3. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  4. 栃木ホンダ販売、テラチャージの急速充電器設置…EV充電環境を強化
  5. トヨタや京大、全固体フッ化物イオン電池開発…従来比2倍超の容量達成
ランキングをもっと見る