ドイツのアウトバーンでeハイウェイの実証実験始まる…架線からトラックに給電[動画]

eハイウェイ
eハイウェイ全 4 枚

ドイツで、架線からハイブリッドトラックに給電する高速道路「eハイウェイ」の試験区間が、ドイツ中部エッセン州内のアウトバーン5号線に設置され、7日から実証実験が開始された。既存のアウトバーンに併設されたのは初めて。

eハイウェイ向けトラックは「OHトラック」=オーバーヘッド・ライン・ハイブリッド・トラックと呼ばれ、架線から給電するパンタグラフ、電気モーター、ディーゼルエンジン、バッテリーを搭載する。従来のトロリーバスを、旅客輸送ではなく荷物輸送のトラックにして、駆動システムを電動からハイブリッドにしたかたちだ。

eハイウェイとして整備されたのはモーターショーが開催されるフランクフルトの南方、ランゲン/メルフェルデンICとヴァイターシュタットICとの間、約10km。2020年半ばまでに5台のOHトラックがこの区間を1日に数回走るようになる。ドイツ連邦環境・自然保護・原子力安全省(以下:環境省)は施設の整備に1460万ユーロ=約18億円を投資した。 2022年末まで実施される試験には、さらに1530万ユーロ=約19億円が投入される予定だ。

シーメンスではシステム全体をELISA「高速道路向け電動・革新的重量貨物輸送」と呼ぶ。シーメンスではシステム全体をELISA「高速道路向け電動・革新的重量貨物輸送」と呼ぶ。eハイウェイ試験はヘッセン州交通行政当局「ヘッセン・モビル」が運営を監督する。プロジェクトにはダルムシュタット工科大学、シーメンス(設備と車両)、エンテガ(電力供給)が参加している。またOHトラックは、業者によって実際に使用される。

環境省のリタ・シュワルツェル=サッター長官は「電動トラックは、環境ニュートラル(影響を与えない)貨物輸送として特に効率的な解決策だ。今後さらに2区間で試験する予定だ」と試験開始にあたって述べた。環境省ははこれまでOHトラックの開発に7000万ユーロ=約86億円以上を投資してきた。この技術は、中長期的に鉄道に移行できないトラック輸送向けに期待されている。

OHトラックは、eハイウェイでは、架線から給電されて電気モーターを利用して走行し、同時にバッテリーを充電する。バッテリーに蓄えられたエネルギーによって、架線のない道路もゼロエミッションで走行できる。減速エネルギーをバッテリーに電気として蓄える回生ブレーキも装備する。さらに、バッテリーが空になってもディーゼルエンジンで走行できる。ハイブリッドのシステムはパラレル、シリースを問わない。電化鉄道の利点と道路貨物輸送の柔軟性とを組み合わせたトラック輸送といえる。

《高木啓》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. レクサス『LM』対抗!これがメルセデスベンツ最高級ミニバン、『Vクラス』後継の最終デザインだ
  2. 下請法が「取適法」に…2026年1月施行の改正ポイントは?
  3. トヨタの新型『ヤリスセダン』がタイで登場!「アティブ HEV」にはGRスポーツも
  4. 販売わずか3年の希少車種、「角目」のいすゞ『117クーペ』【懐かしのカーカタログ】
  5. R35 GT-Rのタイムアタックでトーヨータイヤが熱い?! フェニックスパワーで真相を聞いた
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る