最先端ディーゼルエンジンの証。世界的トレンド「尿素SCR」と採用メリット

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いすゞ エルフ 改良新型に搭載されているディーゼルエンジン
いすゞ エルフ 改良新型に搭載されているディーゼルエンジン全 7 枚

燃焼効率が高く、燃費性能に優れているのがディーゼルエンジンだ。しかし、現在のクリーンディーゼルが登場する以前は排出ガスの問題、特にPM(粒子状物質=スス)による環境問題で国産乗用車の採用例は極端に減少していた。

だがディーゼルは新たな燃料噴射システムのコモンレール(高圧噴射が可能)を採用。排出ガスのPMを取り除く為にDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)を採用したクリーンディーゼルとして蘇った。

排出ガス規制に対応するためにはPMとNOx(窒素酸化物)の両方を取り除く必要がある。これまでの技術ではNOxを増やさないよう配慮しながらエンジンを動かすため高出力化が難しかった。しかし尿素SCR(セレクティブ・キャタリティック・リダクション=選択還元)を使ってNOxを効果的に削減出来ることで、エンジン側では完全燃焼してPMを低減し、NOxも削減するという高出力とクリーン化の両立が可能になったのだ。

最近は国産乗用車でも、新たに尿素SCRを採用したクリーンディーゼル車が登場している。

最先端ディーゼルの排出ガス浄化装置としてのトレンド

こうした最新ディーゼルの排出ガス浄化装置として注目を集めている尿素SCRは、日本だけではなく世界的な技術トレンドとなっている。日本より先行したのがヨーロッパで、ご存じの通りヨーロッパではディーゼル車の比率が高い。これは動力性能と燃費性能に優れている為だ。事実、日本へ輸入される乗用ディーゼル車のほとんどに尿素SCRは採用されている。

自動車メーカーがクリーンディーゼルエンジンを採用する背景には、燃焼効率が良く、CO2を削減できるという目的もあるが、何と言っても走りがいいことがドライバーに支持されている大きな理由だ。ヨーロッパではいち早くコモンレールが採用され、排出ガス浄化の為にPMを除去するDPFが組み合わされていた。その後、日本と同様に排出ガス規制が強化されるとNOxを浄化する為に尿素SCRが組み合わされることになった。

これが画期的な排出ガス浄化システムで、最新ディーゼルかどうか判断するには「尿素SCRを使っているか否か」といっても過言ではない。

どのように尿素SCRが排出ガスを浄化するのか

新型エルフの尿素SCRによる排出ガス処理と、従来との違い新型エルフの尿素SCRによる排出ガス処理と、従来との違い
ではどのように尿素SCRが排出ガスを浄化するのかを簡単に説明したい。まず排出ガスはDPFに通されPMを除去される。DPFによって目に見えるススがこしとられるため、昔のディーゼル車のような黒い煙はマフラーから出ない。

だが、この状態では排出ガスにNOxが含まれたまま。NOxの削減は以前のディーゼルエンジンでは効率的に行うのが難しかった。ガソリン車は三元触媒を使うことでNOxを含め排出ガスをクリーン化できるが、ディーゼルエンジンの場合、乗用車と違って三元触媒が使用できず、またPMの発生量を少なくするためには燃焼室で高温燃焼させ燃え残りのススを少なくすることが必要になるからだ。

高温燃焼させると熱効率がアップして燃費に良い方向に働くが、残念なことに排出ガス中のNOxは増加してしまう。PMとNOxはいわばトレードオフの関係だからだ。そこで排出ガス中に尿素水を噴射することにより触媒で化学反応を発生させ、NOxを効率よく浄化するのが尿素SCRである。これによってNOxは無害な「窒素」と「水」に分解されるわけだ。

大型トラックから小型トラックへ、普及する尿素SCR採用車

いすゞ エルフ 改良新型に搭載されているディーゼルエンジンいすゞ エルフ 改良新型に搭載されているディーゼルエンジン
ディーゼル乗用車の排出ガスの後処理装置に尿素SCRが普及する数年前から、トラックにも尿素SCRが使われるようになった。これも世界的なトレンドで、今やトラックの最新ディーゼルエンジンにも一般的に採用されている。重量物を運搬するトラックは乗用車以上に動力性能が求められ、ランニングコスト削減の為には燃費の向上が重要な課題。前述の高温燃焼はパワーアップとPM減少、燃費向上などの効果があるが、そうなるとNOxが多く発生してしまう。だからこそ、尿素SCRで性能向上と排出ガス浄化を両立させるのが、大型トラックは勿論、小型トラックにとっても最新のトレンドなのだ。

小型トラックの代表格である、いすゞの『エルフ』も尿素SCRを採用した。『エルフ』と言えば宅配便やコンビニの配送で、街でよく目にする小型トラックだ。エルフは2018年2月の改良で排気量3リッターの最新エンジン4JZ1型の排出ガス後処理装置に新型のDPD(ディーゼル・パティキュレート・ディフューザー=DPD)と尿素SCRを新たに採用し、燃費性能向上と排出ガスのクリーン化を実現した。

その他にも尿素SCRを採用したことにより、DPDへの負荷が減るという恩恵もある。事実、最新型エルフはDPD再生インターバルが1.5倍程度に向上したという。これは単に尿素SCRの採用によるものだけでなく、レイアウトの変更によりDPDをエンジンに近接配置したことで、効率的にスス焼きが出来るようになったこともある。逆に言えば、これだけ厳しい排出ガス規制を尿素SCR無しで適合させようとすると実用燃費悪化、DPD再生インターバルの頻度増に繋がる懸念がある、ということだ。

「アドブルー」の補充サイクルは?

AdBlue(アドブルー)の補充口AdBlue(アドブルー)の補充口
前述のように尿素SCRを作動させるためには尿素水である「AdBlue(アドブルー)」が欠かせない。アドブルーという言葉を聞き慣れない方もいるだろうが、すでに軽油を扱うガソリンスタンドの多くで販売されていて入手しやすいものになっている。大型トラックが給油するスタンドならほぼアドブルーを置いているため入手が容易で、補充の時間や手間もウィンドウォッシャー液を補充するのと同程度。このようにアドブルーのインフラが整ったことも、尿素SCRの普及を後押ししている要因だ。

尿素水であるアドブルーは取り扱いも安全でガソリンのような危険物ではない。そもそも尿素は植物を育てるために欠かせない肥料で、ハンドクリームなどの化粧品にも使われているほど身近なもの。その為アドブルーの補充はユーザー自身で出来る手軽さだ。エルフの場合、ボディサイドにある軽油タンクの後方にアドブルーのタンクが装備されている為、補充が簡単。

アドブルーの補充間隔は走行距離によって変わるが、自家用トラックなら4~5ヶ月に1回(※1)補充する程度だからメンテナンスサイクルが長いのも特徴。アドブルーの残量は運転席のメーターパネルで確認できるし、いすゞがクラス初採用したコネクテッドテクノロジーにより、尿素水残量が空に近づくとスマートフォンにお知らせする機能もある。

(※1)月間走行距離1000km程度の場合。走行条件により異なります。

最新のディーゼルを選ぶなら「尿素SCR」付きを

いすゞ エルフ 2018年次改良車いすゞ エルフ 2018年次改良車
最新のエルフは平成28年排出ガス規制をクリアしている。これはヨーロッパのEU圏で実施されるユーロ6とほぼ同じ規制値で、世界トップレベルの規制をクリアしているも同然というわけだ。更に燃費性能も向上している。これは尿素SCRを採用した効果でもある。

NOxの排出ガス処理に燃料中のHC成分を利用する触媒システムもあるが、こちらは触媒の還元時に燃料を多く噴射する制御が必要になる。DPFも同様に再生処理することが必要な為、どうしても燃費悪化を伴ってしまう。しかしエルフは尿素SCRを採用した事で燃費と環境性能の両立、またPM過多によるDPF詰まり等の不具合リスク回避といったメリットが享受できる。

更に優秀なのは、PMの発生が少ない為にエンジンオイルの交換時期が大幅に長くなったことだ。従来は通常使用で2万kmでの交換を推奨していたが、最新エンジンの4JZ1型は最長4万kmと倍に伸びた。これによりメンテナンスコストを大幅に削減できると同時に、メンテナンスの手間を軽減できる。

今後、小型ディーゼルトラックを選ぶ場合は、尿素SCRを採用した最新ディーゼルであるかどうかが指標になるだろう。燃費の向上、すなわちCO2排出量の削減は社会的にも重要な使命であるし、DPFの再生頻度低減、オイル交換時期の延長といったメリットを考えるとディーゼルトラックを選ぶなら尿素SCR付きをおススメする。

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《丸山 誠》

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