エレベーター(EV)のようなEVを目指したヤマハYG-M-FC…人とくるまのテクノロジー2019

ヤマハ発動機(人とくるまのテクノロジー2019)
ヤマハ発動機(人とくるまのテクノロジー2019)全 13 枚

人とくるまのテクノロジー展2019に会場において、ヤマハ発動機は軽自動車用の黄色いナンバーが装着された1台のカートを展示した。

多くの出展社が少しでも多くの展示物をという雰囲気のなか、ヤマハ発動機は鮮やかな青いボディを持つカートを1台のみ展示した。このカートはYG-M-FCと名付けられたモデルで、その名のとおりの燃料電池車。ベースとなっているのは同社が製造するカートのYG-Mと呼ばれるモデル。YG-Mには電動モデルとガソリンエンジンモデルが存在するが、このうち電動モデルがベースとなる。

基本的な考え方は電動モデルのレンジエクステンダーとしてFCユニットを追加したものと考えればいい。なので、バッテリーについてもそのままの状態。一般的なFCVは充電機構は持たないがこのYG-M-FCは充電機構はそのまま、つまりPFCV(プラグインフューエルセルヴィークル)といった成り立ちだ。

搭載されるFCシステムは外部調達されたもの。水素タンクも外部調達で35MPaの自動車用タンクが装着されている。開発者によれば、開発時は小型エンジンの採用や脱着式バッテリーの採用も考慮されたとのことだが、エンジンや脱着式バッテリーを使えば採算までを含めたアウトプットが求められるが、このモデルについては採算などを考えることなくあくまでも開発モデルとして作りたいということも含めてFCが選択されたという。

通常のEV使用の状態ではどうしても使用中に充電時間を設定しなくてはならなく、それを解消することが今回のYG-M-FCの大きな目標であった。プレゼンテーションを行ったモビリティ技術本部の宮本睦明主事は「エレベーターのように朝から晩まで動いていくれるEVにしたかった」と語った。

水素充填にかかる時間は5~6分で、航続距離は160kmにもなる。YG-M-FCは、水素燃料電池車としての承認を受けて軽自動車として届け出てナンバーを取得。2019年4月18~24日に石川県輪島市内で公道テストを行い。目標通り、朝から晩まで充電や充填を行うことなく、走行を終えることに成功している。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 新型アウディ『Q3』のインテリアを公開、「コラム式シフト」と新デジタルコックピットが目玉に
  2. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
  3. 「強烈な需要がありそう」スバルの3列シートSUV『アセント』が今、SNSで話題に
  4. 2.5Lエンジンを搭載する『インプレッサ』登場、米2026年モデルに「RS」
  5. もしも「タイプ992」が初代911をオマージュした世界線だったら…? ウクライナのデザイナーが再解釈
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
  4. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  5. 湘南から走り出した車、フェアレディZやエルグランド…日産車体が量産終了へ
ランキングをもっと見る