【BMW X2 新型試乗】1.5リットル 3気筒でも「必要十分」…中村孝仁

1.5リットル3気筒エンジンを搭載した「18i」

積極的にシフトすれば7速DCTが活きる

パワーにマッチした19インチ

BMW X2(X2 sDrive 18i)
BMW X2(X2 sDrive 18i)全 20 枚

1.5リットル3気筒エンジンを搭載した「18i」

BMW 『X2』がデビューしたのは2018年のことだ。アンフォローと称するちょっとアウトロー的なイメージで若者を取り込む戦略に出たモデルである。

デビュー当時、試乗車として2リットルモデルしか用意されていなかった関係で、ネット上にもその話しかほとんど出てこない。というわけで改めて、ベースモデルともいえる、1.5リットル3気筒エンジンを搭載した「18i」の試乗記をお届けしようというわけだ。

BMW X2(X2 sDrive 18i)BMW X2(X2 sDrive 18i)
今回試乗したのは「X2 sDrive 18i」。つまりFWDのモデルだ。3気筒と聞くと、どうも一般ユーザーの方は、例えば軽自動車を想像したりしてとかく非力なイメージを持つ方が多いように感じる。しかし、BMWはハイエンドスポーツカーの『i8』にだって、補助とはいえ、3気筒エンジンを使用している。しかもその型式はB38と呼ばれる同じものだ。流石にチューンが違うから、そこから先のコードネームは違うが、要は根っこは同じエンジンというわけである。

積極的にシフトすれば7速DCTが活きる

BMW X2(X2 sDrive 18i)BMW X2(X2 sDrive 18i)
2リットル版と大きく違うのがトランスミッション。こちらは7速のDCT。あちらは8速のステップATだ。元来ストップ&ゴーが多く、ノロノロ運転が強要される都会ではDCTは不利な要素が多いのだが、最近は何故かドイツのメーカーがこぞってこのDCTをコンパクトモデルに採用しているので、恐らくこれはドイツのトレンドなのだとあきらめるしかない。つまり、どううまく乗ったところで渋滞中は若干のギクシャク感が出て、ステップATのようなスムーズさは望めないからだ。

一方で、積極的にシフトしてビュンビュンと走ろうとする場合、このDCTはまさに水を得た魚のように変身する。残念ながら18iにはパドルシフトの装備がないから、スティックシフトでそれをすることになるのだが、それでもドライビングはすごく楽しい。パワーは机上の数字で140ps、220Nmだから、少し物足りなさを感じるユーザーも少なくないだろうが、試乗した印象では必要十分である。

パワーにマッチした19インチ

BMW X2(X2 sDrive 18i)BMW X2(X2 sDrive 18i)
足はタイヤが2リットルの20インチから19インチに落とされているが、このパワーならむしろこちらの方が望ましく、それに乗り心地だって若干ながら良い印象だ。この太いタイヤを持ちながら、素晴らしい乗り心地を実現するのはBMWをはじめとしたドイツメーカーの凄いところ。この点は本当に頭が下がる。

全体的なクォリティーもBMWそのものだし、何より例えば後席は40:20:40の分割可倒式で、ラゲッジスペースの有用性も高いなど、コンパクトでありながら実用性にも長けている。こうなると、想定されるライバルとして浮上するのが『ミニ』だ。

確かにミニはお洒落感が半端ではないし、そのスタイリングからミニを選ぶ人が多いのだが、その実用性という点になるとこのX2には敵わない。

BMW X2(X2 sDrive 18i)BMW X2(X2 sDrive 18i)

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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