【トヨタ スープラ 新型試乗】具体的に欲しくなる要素満載!な「SZ」系…中村孝仁

トヨタ スープラ 新型(写真はSZ)
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まだ、BMW『Z4』の2リットル版に試乗していないから比較のしようがないが 、3リットル直6エンジンの『スープラRZ』と比較した時の2リットル版「SZ」&「SZ-R」は、これ欲しい!と思える要素が満載のクルマであった。

何も3リットル版のRZが欲しくない、というわけではなくて、ちょっと手が届かないかな?という部分。そこへ行くと確かに高いけどこれなら無理をしてでも買ってみたいな…と思える要素がふんだんにあった。

3リットル直6の「RZ」と2リットル直4の「SZ-R」「SZ」違いは

トヨタ スープラ 新型(SZとSZ-R)
車両本体価格だが、3リットル版のRZが690万円。その下のSZ-Rが590万円、素のモデルともいえるSZが490万円という並びで、各々100万円刻みだ。スタイルは全く一緒だし、インテリアもほぼほぼ一緒。外観の識別点はホイールとタイヤサイズだけである。

では具体的に何がどう違うのかと言うと、ひとつはエンジン。RZのみBMW製の官能的直列6気筒が載る。SZ-RとSZはともにBMW製だが2リットル4気筒。ただし、チューンは異なっており、SZ-Rは258ps、400Nm。SZは197ps、320Nmである。

これ以外に何が違うかと言うと、まずはタイヤホイール。RZにはフロント255/35ZR19、リア275/35ZR19のミシュランパイロットスポーツが装着される。これに対しSZ-Rは前後255/40ZR18、275/40ZR18にミシュランパイロットスポーツ。そしてSZはと言うと、前後255/50R17で、装着タイヤは確認する限り、ブリジストンのポテンザとコンチネンタルタイヤ(グレード失念)を装着していた。

トヨタ スープラ 新型(SZ-R)
さらにRZとSZ-RにはAVS(アクティブ・バリアブル・サスペンション)と呼ばれる可変ダンパーが採用されている。この装備は実に大きな影響を運動性能に与えていると思う。そしてブレーキも3リットルと2リットルでは異なるが、とにかくエンジンと可変ダンパーの差。100万円の違いはRZとSZ-Rの場合はエンジン。SZ-RとSZの場合は可変ダンパーと内装の仕様の若干の差、それにオーディオの差など。

例えばSZ-RのセンターコンソールはRZと同じカーボン製。それがSZは普通のプラスチック製だし、SZ-RはJBLのプレミアムサウンドシステム(12スピーカー)が付くのに対し、SZは4スピーカーの名前を名乗るほどではない(のだろうか)オーディオが装着されるといった具合で、シート表皮なども異なっている。

3リットルと2リットルは「別な乗り物」

トヨタ スープラ 新型の2リットル直4エンジン
はっきり言って3リットルと2リットルは極論すると別な乗り物とも思える違いがある。

3リットルから2リットルに乗り換えた瞬間に、ステアリングの軽さを感じ(最初はSZであった)、同時にノーズの軽さも感じられた。また、僕が試乗した17インチのSZはブリジストン・ポテンザを装着していて、その動的感触は少なくともグリップレベルに関していえば非常に高く、コーナリングはタイトから高速ベントまで非常に安定感と安心感のあるものだったが、これがいざギャップなどを乗り越えるとかなりのドタツキ感を感じさせた。

まあ単純比較はできないとは思うが、18インチで前後サイズの異なるミシュランパイロットスポーツに、AVSが装着されたSZ-Rに乗り換えると、同じギャップを通過した時の動きはまるで異なり、きちんといなして、ドタツキ感を感じさせなかったのである。しかも、乗り心地は全体的にタイヤが太いにもかかわらず、前後17インチ同サイズのSZに対してより快適であり、なおかつ、オーディオから内装に至るグレード感もだいぶ上で、少なくとも内装の作りに関してSZ-Rは、3リットルのRZと完全に一致する(シート表皮を除き)。しかもRZ同様AVSが装備されるとなると、同じ100万円の差でも、SZとSZ-Rの差が、より顕著なようにも思えるわけである。

もう一つ決定的に大きな差があるのはアクティブディファレンシャルの装備だ。コーナー進入時に安定性重視のロック率を選択し、コーナー脱出時には最大のトラクション効果を発揮するロック率を自動的に選択する。だから、比較的闇雲に踏んで行っても、このクルマだとすんなり走れてしまうのだが、その設定がない17インチのSZではきちんとターンイン、アウトのアクセルワークやステアリングワークをしないと少し暴れる印象があった。まあ、守ってくれてる感がこのアクティブディファレンシャル装着車の方が高く、「よし、押さえつけてやろう」と、運転技量でそれをカバーできる人には無用の長物かもしれないが、楽なのは前者だ。

久々に「欲しい」と思わせる日本のスポーツカー

トヨタ スープラ 新型(SZ-R)
6気筒の洗練されたスムーズな回転とサウンドから比べたら、やはり4気筒は一歩劣るのだが、勇ましさではもしかしたらこちらが上。だから、ワインディングなどをダイナミックに駆け抜けたい時は2リットルの方がお勧めである。3リットルはそのパワーが全然使いきれていない印象だった。

因みに表皮の違いはあれど、シートのホールド性能は抜群で、度の使用も皆、体にぴったりフィットする。こんな感触のシートも日本車では初めてだった。ただ言っておくが、このクルマはオーストリアのマグナで生産される関係で輸入車扱いだ。

というわけで、色々なデバイスが付いて素晴らしい乗り心地とこれまた素晴らしいハンドリングを体験できたSZ-Rは久々に欲しいと思わせる日本のスポーツカーであった。

話の最後に面白い質問をしたとあるジャーナリストの質問内容を…曰く「パーツを入れる段ボールはトヨタと書いてあるの?それともBMW?」そりゃ仰る通りだ。基本パーツはみんなBMW製なんだから。ダイハツ車の開発もしたことがある主査の多田さん(多田哲哉チーフエンジニア)はその当時、トヨタ車にダイハツと書いたパーツが行くとユーザーから怒られたそうだが、スープラの場合、BMWと書かれたパーツの袋が行ったところで、まあ怒る人はいない気もする。

トヨタ スープラ 新型(SZ)

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める

《中村 孝仁》

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