米オン・セミコンダクター、品質を武器に車載半導体で覇権を狙う

オン・セミコンダクターの車載半導体
オン・セミコンダクターの車載半導体全 6 枚

米オン・セミコンダクターは6月18日、都内のホテルで記者説明会を開催し、同社製半導体の品質の良さをアピールするとともに、自動運転時代を念頭にオートモーティブ事業で攻勢をかけるという。

同社は1999年に米モトローラから半導体部門が分離独立した会社で、10年には三洋電機から三洋半導体を買収した。「車載半導体については、50年以上の歴史を持ち、この市場を牽引していると自認している」とワールドワイド・オートモーティブ・ストラテジー&ビジネス部門バイスプレジデントのジョセフ・ノタロ氏は話す。

日本国内では、新潟と福島に製造拠点を持つほか、岐阜にデザインセンター、群馬にデザインセンターとコアテクノロジー開発、不良解析部隊、東京にソリューションエンジニアリングセンターとセールス、ビジネス開発部隊を持つ。現在、1900人以上の日本人が働いているそうだ。

2018年の売上高は58億7800万ドル(約6400億円)で、うち31%がオートモーティブ関連でもっとも大きな割合を占める。車載半導体サプライヤーとしては世界第2位に位置し、車載イメージセンサー、超音波センサーインターフェース、LEDフロント照明、イグニッションIGBTではシェア世界1位を誇る。

ノタロ氏によると、その秘密は品質の良さにあるとのことだ。「当社は“欠陥ゼロ”を目標に掲げており、それを推進することが企業文化になっている。10年以来、1100億個以上の製品をすべての自動車メーカー、ティア1メーカーに供給しているが、10億個あたりの欠陥数はわずか30個だ。これは競合他社よりも圧倒的に少ない数だ」と自信を見せる。

そんな同社が今回、3つの新しい発表を行った。どれも自動運転に強い味方になるものだという。その一つがイメージングセンサーの「Hayabusa AR0233」だ。このほど車載認証を取得し、量産を開始した。この特徴は、低照度・高湿性能、色忠実性、フリッカ抑制、ダイナミックレンジ、動きアーチファクトなどの項目で最適なバランスを実現したものだという。

イメージセンサーといえば、ソニーのものが有名だが、同社のものはそれとは性質が異なる。「ソニーのものは、デジタルカメラやスマホなどに使われ、美しく画像を表示するのに強みを持っている。一方、うちのものはいかに正確に物体を検知して分類するのに強みを持つ。例えば、トンネル内を写した場合、ソニーのものだと真っ暗にしか写らないが、うちのものはトンネル内のクルマをはっきりと写すことができる。求められる技術が違うのだ」とオートモーティブセンシング部門バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのロス・ジャトウ氏は説明する。

2つ目がレーダーの「NR4401」。「革命的な新技術を採用し、従来のものよりも解析度を2~3倍上げることができた」(ジャトウ氏)そうだ。しかも、1つのレーダーで長距離と短距離に対応しており、パーツ数を半減できるうえ、同じ解析度を誇る。そして、3つ目がLiDARの「SPADアレイ」で、これを搭載すれば、高精度深度マッピングが可能になり、さらに長距離、短距離それぞれに対応できるという。

現在、車載向けの半導体はADAS(先進運転支援システム)や自動運転の開発によって、その需要が急拡大しており、その傾向は今後さらに加速すると見られる。同社でも、車載半導体やセンサーなど自動運転向けのコンテンツが、クルマ1台当たり18年の580ドルから22年には1760ドルと大きく増えると見ている。これを絶好のチャンスと捉え、今後さらに開発力を強化して攻勢をかけていくそうだ。

《山田清志》

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