速く走るための「しなやかさ」と「安全」…TEZZO のコンプリートカー、4C RT1 のこだわり

アルファロメオ4CのコンプリートカーTEZZO  4C RT1開発中。
アルファロメオ4CのコンプリートカーTEZZO 4C RT1開発中。全 5 枚

クルマが速いのか、ドライバーが速いのか

クルマにとって速さはもちろん武器に違いない。しかし「クルマ自体が速いのか」と「ドライバーの腕にかかっているのか」は、大きな違いではないだろうか。

もちろん、選ばれた者だけが操ることができるクルマでトレーニングを重ね、レースに参戦することに喜びを見出す人もいることだろう。しかし、それで出たタイムは、確かにその人の実力の証明にはなるかもしれないが、そのマシンの速さを示すものとは異なるのではないだろうか。だれが乗っても同じタイムが出るのだろうか。同じ走りが簡単にできるのだろうか。

アルファロメオのスペシャルショップ、TEZZO が現在開発中のコンプリートカー、TEZZO『4C RT1』は、クルマとしてもっと懐の深い仕上げ、だれでもクルマの性能を発揮させることができるクルマを目指しているという。

開発が最後の仕上げの段階に入ったというこのマシン、すでに2018年のアルファチャレンジシリーズ優勝も経験し、名だたる競合が参戦する中、頭角を現している。コンプリートカーとして誕生する日も間近だ。

ちなみに同時に袖ケ浦フォレストレースウェイ(千葉県)を走ったタイムを比較してみると、ポルシェ『ケイマン』が約1分20秒、ポルシェ『911GT3』とアウディ『R8』が約1分17秒、BMW『M3』が約1分18秒というタイムであるのに対し、アルファロメオ『4C』のノーマルで1分19秒、開発途上のTEZZO 4C RT1は1分14秒台をマークした。TEZZOのタイムはまだまだ縮むと見込んでいるそうだ。

軽さをパッケージしたアルファロメオ

そもそもアルファロメオ4Cには独特の個性と魅力が詰まっている、とTEZZOでは話す。もちろんアルファロメオであるという事実だけをもってしても、十分にクルマ好きのこころをつかむ。しかしそれだけではなく、端的に言えば、今の時代にあって「軽さをパッケージしたアルファロメオ」に本質があるという。

エンジンのパワーアップだけならお金をかければある程度手に入る。しかし、クルマに「軽さという価値を付加する」ことほど難しいことはない。お金をかけてより軽量なパーツに交換することは可能だ。けれども重量を削るというのは、並大抵ではない。付いているものを省くと、その分機能面での我慢を強いられたり、バランスが崩れたりしてしまう。だから、素の状態での「軽さ」は何にも代えがたい価値だ。

1トンほどのボディに1.75リットルの4気筒エンジンをミッドシップ。クルマが手となり足となる。TEZZO 4C RT1はそんなクルマを目指して開発されているのだという。

サーキットを制するクルマはタウンスピードも制する?

そんなピュアリティが身上のアルファロメオ4CをベースにしたコンプリートカーTEZZO 4C RT1。ドイツのライバル車を凌駕するタイムを出すなんて、エンジンがどれほど強化されて、それをどう抑え込むクルマに仕上がっているのか。そんな期待の反面、限られた人にしか乗りこなせないストイックでスパルタンなクルマになっているのではないか、そう危惧する人もいることだろう。

TEZZO 4C RT1のハイライトは、クルマの素性を最大限に引き出す脚のしなやかなセッティングにあるという。

乗り手を選び、特殊条件下でのみ最速を発揮するクルマではなく、再現性のある速さがあり、安心してアクセルを踏み込み、走って曲がって停まることができる、扱いやすさもある。そんなしなやかさが、サーキットでドライバーの恐怖を低減させ、躊躇せずアタックできるマシンになる。

サーキットで速く走ることが可能ながら、街中でも、峠でも、カントリーロードでも、しなやかな走りをドライバーにもたらす。サーキットでのみ豹変するクルマではなく、全方位を見て仕上げた、ドライバーに常に寄り添うクルマ。それらがこれからのコンプリートカーのトレンドでもあり、その最先端を行くクルマをTEZZO 4C RT1は目指しているという。

結果的には安全なクルマに

もちろん平静な気持ちのままではタイムアタックを制することはできないだろう。しかし、白熱したレースを制することができるのは、冷静さを失わなかった者だけでもある。このTEZZO 4C RT1のしなやかさは、ステアリングを握る人を常に冷静でいさせてくれるクルマでもあり、安全なクルマだとTEZZOは力説する。速いクルマだからこそ安全であるべきだし、安全だからこそ速く走ることができる。そういうこともクルマのキャラクターとして大切にしているのだという。

《中込健太郎》

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