アイシン、移動支援サービス「チョイソコ」を全国展開へ…人とくるまのテクノロジー2019名古屋

アイシンとスギ薬局が豊明市の支援の下、「チョイソコ」の事業化をスタートさせた。車両は2台で運用中
アイシンとスギ薬局が豊明市の支援の下、「チョイソコ」の事業化をスタートさせた。車両は2台で運用中全 9 枚

アイシン精機とスギ薬局が高齢者を中心とした地域住民の健康維持・増進を目指し、愛知県豊明市で実施中の移動支援サービス「チョイソコ」事業が順調だ。17日から開催されている「人とくるまのテクノロジー展2019名古屋」のアイシン・ブースで担当者がコメントした。

「チョイソコ」では市内に網羅したバス停へ利用者を直接送迎する

対応してくれたのは、チョイソコの事業を推進するアイシン精機 イノベーションセンターで部長を務める加藤博巳氏。

加藤氏によれば、この事業について「高齢化社会を迎えて買い物難民の増加が懸念されている中、こうした人々は自力での通院も困難になっていることも想定され、これを解決すべき手段として計画された」と話す。この実験は豊明市健康長寿課の支援と、アイシンとスギ薬局が連携することで実現したもので、実験は2018年7月24日~19年3月31日の期間、実施された。実証実験には市民約70名が参加。同市仙人塚地区にて、指定地区から豊明市内・近郊の医療機関を中心とした指定停留所へ送迎する形で進められた。

このサービス最大の特徴は、自治体が運営するコミュニティバスなどとは違い、利用者が求める施設(指定停留所があることが条件)へ直接送迎を実現していることにある。そのため、利用者が待ついくつかの停留所を立ち寄るとはいえ、より効率の良い利用が可能となる。利用条件としては原則65歳以上の市民、または障がい者手帳を持っている人が対象で、自力、あるいは介助者付き添いの下でバスの乗り降りができることがある。

利用者は予約センターに電話で申し込み、申し込みを受け付けるとセンターではアイシン製カーナビゲーションを活用して予約者の要望を踏まえつつ効率が良いルートを作成。利用者には到着予定時刻を伝え、ドライバーはその案内に従って指定停留所まで送迎に当たる。また、ルートの決定にあたっては、会員情報に含まれる情報の下、自力で乗降するのに要する時間がどのぐらいかかるかも考慮して決定する。

「自社で送迎バスを出すよりも効率が良い」と施設側からも好評

実証実験の結果、利用者からは概ね好評で、4月1日からは有料による事業化がスタートするに至った。停留所は人口密集度が低く自治体が運用するコミュニティバスのエリアからも外れている地域が多い沓掛エリアと、人口密集度が高い仙人塚・間米エリアを中心に配置。ここから市内の店舗や医療機関、公共施設のあるバス停との間を結ぶ。現在1200人の登録があり、利用に当たっては1回の乗車に付き200円を支払う。交通系電子マネーにも対応しているが、大半は現金で支払われるという。

この事業の運営にあたっては目的地となる施設側の協力も欠かせない。これについて加藤氏は「自社で送迎バスを出すよりも効率が良く、売上にも貢献するとして協力施設は順調に増えており、賛助金もお支払いいただいてもいる」と話す。確かにバス停が記載してある地図を見ると、多くの医療機関をはじめ、公共機関の他、スギ薬局や大手スーパーなどの買い物施設も数多く網羅していることが分かる。

ただ、コミュニティバスが100円で運営する中で200円の料金設定は高い気もする。これについて加藤氏は「目的地付近まで直接送迎できるので、むしろ利用者からはタクシーよりも安いと好評だ。ただ、現状では介助者として乗車しても料金はかかり、この辺は改善を望む声が大きい」と話す。

また、事業化にあたっては「地元の公共機関とも連絡を密にとって実現している」(加藤氏)という。特に運行時間は地元の公共機関の事業に影響を与えない平日の9時から16時までとしているが、これも相互に話し合いをした上で決定したもの。「ドライバーはタクシー会社からコンペで募集し、ドライバーが手すきな時間帯を活用できる」(加藤氏)とこちらも好評のようだ。

トヨタのディーラーを通して「チョイソコ」の全国展開を本格化

アイシンでは豊明市の事例を踏まえ、全国への展開も計画中。ただ、アイシンには全国に向けてその事業の展開を手掛けるだけの人的リソースもない。そんな中、トヨタ自動車から「全国にあるディーラーネットワークを利用すればいい、との話をいただいた」(加藤氏)という。これを踏まえ、アイシンとしてはチョイソコを新たなスタイルの移動支援サービスとして全国に向け積極的に推進していく考えだ。

《会田肇》

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