【INDYCAR 第12戦】深夜の戦いでニューガーデンがシーズン4勝目…琢磨は奮戦するも不運な接触でゴールならず

#2 ニューガーデンが深夜のレースを制して4勝目。
#2 ニューガーデンが深夜のレースを制して4勝目。全 8 枚

インディカー・シリーズ第12戦「アイオワ300」の決勝レースが現地20~21日に行なわれ、深夜に及んだ戦いをジョセフ・ニューガーデンが制し、今季4勝目をあげた。佐藤琢磨は予選で4位につけるなど奮戦したが、不運な接触アクシデント起因のリタイアだった。

1周が1マイルに満たないショートオーバルの「アイオワ・スピードウェイ」(米アイオワ州)で、現地20日に決勝日を迎えた今季第12戦「アイオワ300」。決勝レースは荒天の影響で開始が約4時間も遅れ、レースが始まったのは現地時間で午後10時50分頃、翌21日へと日をまたいでのレースになるのは確実な状勢での開戦だった。

さらには300周レースの50周を消化した頃に再度の雨で赤旗中断に。原則的に小雨でも走れないオーバルコースでは仕方ない状況だ。ただ、約30分の中断を経て再開された後はそのままチェッカーまでレースが続いていく(フルコースイエローコーションはあったが)。

“深夜レース”となったアイオワでの戦い、予選から主導権を握っていたのはチーム・ペンスキー(Team Penske/エンジンはシボレー)である。シモン・パジェノー(#22)、ウィル・パワー(#12)、ジョセフ・ニューガーデン(#2)の順で予選1-2-3、レースでも彼らが上位バトルの中核を占め続けていった。

しかしレース終盤になると#12 パワーにペナルティが出るなどして、ペンスキーの支配は徐々に崩れていく。最終的には昨季王者スコット・ディクソン(#9 Chip Ganassi Racing/ホンダ)が前半は寝たふりをしていたかと思うような猛追で2位に、そしてジェームズ・ヒンチクリフ(#5 Arrow Schmidt Peterson Motorsports/ホンダ)も3位に入ってペンスキーの鉄壁陣は破れるのだが、それでもシリーズポイントリーダーの#2 ニューガーデンが孤塁を守りきる格好となり、優勝をつかみとった(#22 パジェノーは4位、#12 パワーは15位)。

2年ぶりの王座を目指す#2 ニューガーデンは今季4勝目。前戦終了時点では4点という僅差だったポイントランキング2番手のアレクサンダー・ロッシ(#27 Andretti Autosport/ホンダ)が今回6位だったため、その差を29点へと開いている。

そして、なんとも残念なレースになったのが佐藤琢磨(#30 Rahal Letterman Lanigan Racing/ホンダ)である。予選ではホンダ勢首位の4位につけ、レースでも序盤、先頭に躍り出た#12 パワーに続く2番手を走り、レース中断の前後も4~5番手に位置し続けていた。

ただ、100周目頃から琢磨の順位は下がっていった。最初のピットストップをしてから40周ほどが過ぎていたが、琢磨(とチーム)は今回、長く走るとマシンの戦闘力に苦しいところが出てくることを実感していたようである(後述のコメント参照)。そこでピットストップの回数を増やす作戦に切りかえて戦うことに。

ピットタイミングのズレによって、琢磨の見た目の順位は乱高下する。レース中盤には見た目の3番手を再び走る局面もあった。しかしピットストップのあとに後方ポジションを走っていた時、レースが190周消化に近づく頃だったが、琢磨は追突される格好でスピンしてしまう。その場では走行を継続できたものの、マシンがダメージを負っており、結局は216周を走ったところでリタイアとなった(リザルト上は20位)。

#30 佐藤琢磨のコメント
「予選のあとのファイナルプラクティスでは、ユーズドタイヤを装着して走り、データを集めました。しかし今日は雨で、それによる遅延で路面をはじめとしたコンディションが前日とは全く異なるものとなったため、自分たちの収集したデータをフルに活かすことはできませんでしたね」

「スタート直後に2番手まで順位を上げ、その後の15~20周はトップについていくことができていました。しかし、30周を超えたあたりから引き離され始め、40周を超えてからはタイヤの磨耗が激しくなってペースダウンしました。そこでピットストップを1回多くし、新しいタイヤのグリップを利用して戦う作戦にチャレンジしたんです。もちろん、作戦が失敗して大きく順位を下げる可能性もありましたけど、終盤のレース展開、イエローの出るタイミングなどによっては成功して優位を得ることになるのでは、と楽しみにしていました」

「ところが、先行する2台の後ろでアクセルを戻し、少しアウトに出たところで後方を走っていたマシンに追突され、マシンにダメージを負ったためにリタイアすることとなりました。次はこの3連戦の最後のレースとなるミッドオハイオ。いいかたちで走れるように頑張っていきたいです」

今季は既に1勝をあげ、ポイントが大きいインディ500で3位、それ以外にも3位が1度あり、琢磨にはシリーズ上位成績が期待されている。だが、このところ好走しつつも好結果ならず、という展開が続いており、ポイントランキング6位というポジション自体は動いていないものの、上との差は大きくなってきている(7位以降も迫ってきた)。

現在、琢磨は首位と176点差、3位とは118点差、直上の5位とは11点差。王座を争うのは厳しいながら、トップ5は充分に射程圏、展開次第ではトップ3あたりもまだ狙っていけるはずだ。残り5戦にシリーズ上位進出と自身初の年間複数勝利を期待したい。

次戦第13戦は現地28日決勝の日程で、ロードコースの「ミッドオハイオ」で開催される。

《遠藤俊幸》

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