石井啓一国土交通大臣は8月8日に行なわれた会見で、京成電鉄(京成)で発生した、停電に伴なう列車の駅間停車トラブルについて言及した。
この停電は青砥(あおと)変電所内の機器故障により8月6日8時30分頃に発生し、京成の本線京成上野~東中山間、押上(おしあげ)線(押上~青砥)、金町(かなまち)線(京成高砂~京成金町)、成田スカイアクセス線京成高砂~印旛日本医大間で運行見合せとなった。
その際8本の列車が駅間で停車したが、車内の冷房装置が止まったため、18人の乗客が熱中症などで病院へ搬送される事態となった。乗客の救出は9時頃から順次始まり、10時30分頃には完了。10時52分頃に運行が再開された。このトラブルを受けて石井大臣は同日、京成に対して検証を指示したという。
2018年6月に発生した大阪北部地震においても駅間に列車が停車するトラブルが発生し、乗客の早期救済が課題になったことから、国交省では同月に三大都市圏の鉄道事業者が参加する連絡会議で対策をとりまとめ、全国の鉄道事業者へ周知させていた。
その矢先に起こった京成の事故を重く受け止めた石井大臣は、2020年に東京オリンピック・パラリンピックが控えていることから、駅間停車対策を重要な課題と捉え、8月9日に京成を含む首都圏の鉄道事業者を集めた緊急対策会議を開くと述べた。
列車が駅間に停車するトラブルは、2018年1月、大雪の影響でJR東日本の信越本線東光寺~帯織(おびおり)間でも発生しており、この2年足らずで相次いで類似のトラブルが起こったことに記者からは「鉄道事業者が乗客に対するそういった早期の降車に対する配慮というものがそもそも足りないのではないか」という声も出たが、石井大臣は「自治体との連携等々様々な課題があったと承知しておりまして、それについてはまた別途対策等も検討しているところであります」と述べ、三大都市圏の鉄道事業者が参加した連絡会議でとりまとめた対策をしっかり行なうよう促していくとした。
ちなみに停電に対応するため、非常用の電力貯蔵装置の設置や、ある程度の距離を自走できるバッテリーを搭載した電車を運行している鉄道事業者もあるが、現時点ではJR東日本、JR東海、小田急電鉄(小田急)、神戸市交通局など、一部に過ぎない。