【ダイハツ タント 新型試乗】凄く良くできた軽。だからこそあえて苦言を…中村孝仁

ダイハツ タント 新型(X)
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DNGAプラットフォーム、D-CVT、次世代スマートアシスト等々。新型の『タント』は新しさに溢れている。とりわけ安全面については次世代スマートアシストが軽自動車としては今最も進化した機能を持つ。

とにかく広い室内と、ミラーの位置の関係


それにしても広い!ドライバーズシートに座って天井にようやく手が届くほど天地方向は広いし、実際にリアシートに移動してみても、とてつもなく広い。

ドライバーズシートに座って思ったこと。「ん?」何気なくいつものようにミラー合わせをしたのだが、室内のリアビューミラーの位置が普通とは違う。実は先代でもフロントウィンドー中央に装備されていたミラー合わせのため、いちいち前方乗り出さなくてはならない不便さがあったとかで、一気にその位置を手前に持って来てしまった。

おかげでミラー合わせは楽になったと思うのだが、今度はそのミラーを走行中に見る時に思いっ切り目線を移動しなくてはならない。着座位置を最大上方に設定すれば多少は改善されるが、普段通りの着座位置にすると、顎を持ちあげなくては後方を見ることが出来ない。これはいかがなものかと思った。

普通じゃないシートスライド量と使い勝手

ダイハツ タント 新型(X)
シートのスライド量が「普通じゃない」。運転席は540mm。助手席側も380mmスライドする。だから助手席を一番前に持って行き、運転席を一番後ろに持って行くと、簡単にウォークスルーすることが出来る。そして、左サイドはスライドドアを開けるとピラーがないので、フロンドドアを開いた時の開口幅は1490mmにもなるそうだ。

この広大な開口部と、前述したウォークスルー機能を使って、運転席からも危険な右サイドではなく歩道側に降りることが出来ると説明された。仰る通りである。でも誰が助手席を一番前まで移動させてくれるのか?驚いたことに前席にはシート背後にスライド機構のレバーが装備されていて、ドライバー席からでも助手席を動かすことが可能なのだ。

このレバーは後席の人が、前席を前にスライドさせる時に使うものらしいが、ドライバーズシートからでも操作可能だった。実はリアシートにもスライド機構が付き、左右独立してそれぞれ240mm可動する。使い方はユーザー次第だが、利便性は極めて高い。

乗ってすぐに実感できたDNGAの良さ


DNGAと呼ばれる新しいプラットフォーム。高剛性化は当然のことながら、室内のレイアウトにも多大な貢献をしていて、現行シートアレンジなどはこのDNGA無くしては達成できなかったらしい。勿論サスペンションの取り付け剛性も上がっているので、結果としてサスペンション自体をソフトな設定にすることを可能にし、乗り心地を上げることが出来た。

今回の試乗会場は、乗り出しからしばらくがいわゆる石畳の路面で出来ている。しかし、この石畳をものともせず、快適に乗り出せた時点で新しいDNGAの良さが体感できた。

エンジンは型式こそ変わらないが、大幅に手を入れ特に日本初となる複数回点火(と言っても2回だが)を実現。噴射法を改良して燃焼効率を上げているそうだ。


しかしそうはいっても52ps、60Nmではやはりエンジンにかかる負担は相当なもの。プラットフォーム自体は80kgほど軽くなっているそうだが、同一グレード比較が出来ないものの、車両としては30kgほどの軽量化で、エンジン負荷としてはそれほど変わっていないのが現実。

そんな中D-CVTがエンジンの悲鳴を出来るだけ抑えてくれるはずなのだが、現実的にはそううまくは行っていないというのが正直なところで、少し素早い発進などをしようとすると、やはりエンジンは唸る。

あえて苦言を呈してみたが


乗り心地がソフトになった分、飛ばしていくとどうやらタイヤに負荷がかかるのか、14インチのエコピアは比較的簡単にスキール音を発する。また、ステアリングの感触もカスタムと比べるとだいぶ曖昧で、路面からのインフォメーションが不足している印象を受けた。

何より気になったのはリアドア周りから発していると思われる振動といかにも立て付けが悪そうなノイズである。これは「カスタム」でも同じ。リアドアは樹脂製で軽量化はなされているが、プラットフォームは良くてもどうもリア回りのボディ側剛性感は少々心もとない。

凄く良くできた軽自動車。でも良いからこそ、あえて苦言を呈してみた。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める

《中村 孝仁》

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