2018年自動車アフターマーケット市場規模、微増の19兆6490億円 矢野経済調べ

自動車アフターマーケット市場規模推移
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矢野経済研究所は、2018年の自動車アフターマーケット市場を調査し、製品セグメント別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

同研究所では、2018年の自動車アフターマーケット市場規模を前年比0.1%増の19兆6490億円と推計した。新車販売市場は、軽自動車を中心に引き続き需要が好調に推移。ハイブリッド車(HEV)や衝突被害軽減ブレーキなど、新技術車両のラインアップの拡充が代替需要を喚起し、2018年の新車販売台数は527万台に上った。

新車販売が好調、かつ車両の長期使用傾向が続くことで、2018年の四輪車保有台数は過去最高の7827万台となった。しかし、車両購入の主役である中高年世代の高齢化と、次を担う若年層人口の減少、所有にこだわらないライフスタイルなどを背景に、車両保有台数は近く減少局面を迎えることが予想される。

保有車両の減少局面を前に、自動車流通関連事業者各社は主に2つの方針強化を図る。一つは、顧客一人当たりの売上を伸ばすための顧客の囲い込み。車両販売では残価設定クレジットやリース販売を通して、顧客との販売後の接点確保に注力、同時に定期点検や車検などのメンテナンスパック販売を通してサービス部門の売上拡大を図る。もう一つの方針は、事業多角化。新規事業により主力事業を補足する動きが活発化している。特に近年では、自動車賃貸市場がシェアリングエコノミーを追い風に伸長を続けており、車両販売・カー用品販売・自動車整備事業・ガソリン販売などの各事業者は相次いで自動車賃貸事業に進出している。

この世な中、注目は中古車の輸出事業だ。日本由来の中古車は、日本の自動車メーカーが確立した品質に裏づけされたブランド価値や、車検制度などにより良好な状態の中古車が多いことから世界市場における需要は高い。財務省の貿易統計によると、2018年の日本から海外に輸出された車両は132万7000台だった。

アフリカ諸国など経済発展を遂げる新興国が仕向地のトップ10にランクされる傾向が年々強まっている。2018年中は特に原油価格の高騰など資源高を追い風に、資源国需要が旺盛となった。輸出向け車両の主な調達ルートは、オートオークションなどの業販市場だ。2018年のオークション成約台数は輸出需要に牽引され、478万7000台を計上。オークションへの出品台数(供給量)が横這い傾向にある中、落札台数が増加することで、成約率・金額ともに上昇傾向にある。

こうした中、自動車流通大手事業者の中には、海外でのオークションの自社開催や中古車小売、車両整備業に進出する企業も年々増加傾向にある。国内流通量減少に対する2つの施策に加え、海外進出は事業拡大という方向性にて重要であり、近年の中古車輸出の盛況ぶりは、その可能性の度合いをさらに高めている。

今後については、2019年の新車販売台数は前年比で微増が見込まれる。10月に消費税率引き上げが予定されるものの、自動車取得税の廃止や自動車税の値引きなど、駆け込み需要とその後の反動減を最小限に留めようとする各種施策が実施されることから、過去の消費税増税時と比較すると影響は軽微なものに留まるだろう。

中古車販売やカー用品、自動車整備など、新車販売動向と連動する市場も、2019年は微増が予測される。また、中古車流通量の増加により、オートオークション出品台数も微増が予想されるものの、中古車輸出需要の増加も継続するとみられるため、良質車の落札競争は引き続き激化するものと考える。一方、自動車賃貸市場では、引き続き拡大基調で推移すると予測。本格成長する個人向けオートリース、急増する訪日外国人客需要に支えられたレンタカー、自動車メーカーの本格進出で再び注目度が高まるカーシェアリングや定額制市場など、自動車賃貸市場は自動車流通にて高い成長市場として引き続き拡大が見込まれる。

《纐纈敏也@DAYS》

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