【ボルボ V60 T5 新型試乗】499万円の価格は魅力的というほかない…島崎七生人

「940」を思い出させる取り回しの良さ

人間、贅沢に慣れてはダメである…

499万円のプライスタグは魅力的というほかない

ボルボ V60 T5 Momentum
ボルボ V60 T5 Momentum全 8 枚

「940」を思い出させる取り回しの良さ

リヤゲートの角度などの差異はあるが、上級の『V90』と『V60』を咄嗟に識別できるのは、かなりのボルボ通である。

とはいえ感覚上は同じにしか見えないが『V60』は『V90』より実はホイールベースが70mm短く、トレッド(前後ともー30mm)、全幅(ー40mm)など、コンパクトな仕上がり。

ボルボ V60 T5 Momentumボルボ V60 T5 Momentum
さらに今回の試乗車「T5 Momentum」はシリーズで唯一の17インチタイヤ(225/50R17)を履き、最小回転半径もシリーズではもっとも小さい5.5m。このことはかなり有効で、試乗中、狭い場所でも“切れて、小回りが効く”が実感できた。

むかし、FRの『940』あたりを撮影中に、あの大柄な四角いボディだったが、路肩の緊急待避所的スペースを使い路上でUターンが可能だった、あの感覚を思い出した。今のボディはノーズ左右にかなり丸みを持たせており、これも一助ながら、まさにボルボ!である。

人間、贅沢に慣れてはダメである…

ボルボ V60 T5 Momentumボルボ V60 T5 Momentum
グレード固有の特徴としては、T-Tec・テキスタイル・コンビネーションと呼ぶシート表皮がある。メイン部分にサクッとした感触のチェック柄のファブリックを用い、それでも合成皮革とのコンビ仕様ということもあり、風合いもよく十分に快適だ……と思えた。

試乗車を借り受け中、実際に“ボルボV60 T5 Momentumがある暮らし”を実践、スーパーマーケットへ買い物に出かけたりしたが、バックドアが非電動であることと、キーフォブがややチープで自重も軽い樹脂モールドである点の2つは(レザーパッケージを選ぶと解決できるようだが)、普段、上級仕様の試乗車に慣れていると(知っていると)正直なところ物足りなく感じた部分だった。人間、贅沢に慣れてはダメである……とも言えなくはないが……。

それとオーディオも10スピーカー・170Wの十分なシステムで、(運転席でいうと)ミッドスピーカーが高く近い位置にあるためもあり音場定位こそ操作されていない印象をもつが、残響音がさわやかで音質自体もハイグレード版に遜色なしのレベルではある。

499万円のプライスタグは魅力的というほかない

ボルボ V60 T5 Momentumボルボ V60 T5 Momentum
とはいえ『V60』である。走りは基本的に実に快適なもので、「近所のスーパーだけではなく、どこか旅行に出かけたい」と思わせられる。17インチタイヤとの組み合わせは、路面への当たりがやわらかく、浮遊感覚といった感じでボディへのショックの伝わりかたが小さいのがいい。不規則にうねった路面でボディがやや煽られる場面があり、それが抑え込めればスムースなドライバビリティの総合点はさらに上がりそうだ。しっかり、しっとりとした保舵力のステアリングフィールも心地いい。

254ps/35.7kgmの2リットルのガソリンターボも、8速ATとの組み合わせでまったく不満なしの性能を発揮してくれる。コンソールのローレット加工されたダイヤルスイッチで運転モードが切り替えられ、ECOモードを選び走行していると、しばしばメーター内に“コースティング中”の表示を見ることができた。

ボルボの充実した安全運転支援機能は、カタログの諸元表を見る限り、“車間警告機能”と“360°ビューカメラ(=オプション)”がレスとなるだけ、である。499万円のプライスタグは魅力的というほかない。

ボルボ V60 T5 Momentumボルボ V60 T5 Momentum

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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