【WRC 第10戦】トヨタが現体制で初の1-2-3フィニッシュ、タナク今季5勝目…勝田貴元“トップ戦線初陣”のドイツ戦は10位

トヨタがWRCドイツ戦で表彰台を独占。ジャンプしているのが優勝のタナク。
トヨタがWRCドイツ戦で表彰台を独占。ジャンプしているのが優勝のタナク。全 8 枚

世界ラリー選手権(WRC)第10戦ドイツが現地25日に最終日を迎え、「ヤリスWRC」で戦うトヨタが1-2-3で勝った。2017年から参戦の現ワークス体制では初の表彰台独占。優勝はオット・タナクで今季5勝目、ヤリスWRCでの“トップ戦線初陣”となった勝田貴元は総合10位だった。

ターマック(舗装路)戦のドイツは、ヤリスWRCで戦うトヨタ(TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team)と#8 オット・タナクにとって好相性のイベント。トヨタにとっては昨年に続く2連覇を、#8 タナクにとっては自身3連覇を期しての臨戦である(2年前のタナクは他メーカー車で勝利)。

そして実際、#8 タナクが快勝と評してもいい内容で勝利を飾り、#5 クリス・ミークが2位、#10 ヤリ-マティ・ラトバラが3位で、トヨタは表彰台独占を成し遂げた。#8 タナクは最初のスペシャルステージ(SS=競技区間)、SS1でトップタイムをマークすると、SS2終了時点で一旦は総合首位の座を他メーカー車のライバルに譲ったものの、SS3で奪還して以降はそれを守り続けてフィニッシュ、シーズン5勝目をあげた(トヨタも同5勝目)。

#8 タナクは前戦フィンランドに続く2連勝、ここ5戦で4勝である。2連勝と2連勝に挟まれた格好の前々戦イタリアにしても、勝利をほぼ手中にしながらの最終SSスローダウンという展開だったわけで、5連勝していてもおかしくなかった。今やタナクとトヨタ・ヤリスWRCの組み合わせは、WRCというフィールドに支配権を確立しようとしている。

優勝した#8 オット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)。優勝した#8 オット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)。

#8 オット・タナクのコメント
「我々は常に最速というわけではなかったけれど、ライバルよりも安定していたことが勝利につながったと思う。昨日(土曜)が戦いの山場であり、今日(日曜)は確実に1-2-3フィニッシュするために走った。チームにとって最高の結果が得られたので、今晩は盛大に祝勝会が開かれるだろうね。でも、今シーズンはまだ4戦残っているので、集中力を保ち続け(次戦以降も)ベストを尽くして戦わなければならない。選手権争いは依然緊迫しており、決して簡単ではないことを今週末あらためて実感してもいるからね」

トヨタのトミ・マキネン チーム代表のコメント
「3台のヤリスWRCが1-2-3フィニッシュを飾り、信じられないような気分です。これまでも似たような状況になりかけたことはありましたが、ついに実現しました。今日は本当に心が躍りました。この週末、我々のクルマが速かったことは確かです。そしてドライバーも本当に速く、ここドイツの困難な舗装路で最高の仕事をしてくれました。チーム全員を本当に誇らしく思います」

ここ5戦で4勝、#8 タナクは充実の強さを発揮中。ここ5戦で4勝、#8 タナクは充実の強さを発揮中。

チーム総代表である豊田章男トヨタ社長は、選手やスタッフ、そしてファンへの感謝を述べつつ、「本当に良いチームです。残り4戦、このチームで、このまま走りきりましょう! そして、もっと“最高の光景”をファンのみなさまに見てもらえるように引き続き頑張りましょう!」とコメントしている。

#8 タナクとドライバーズタイトルを争う#11 ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペ WRC)と#1 セバスチャン・オジェ(シトロエンC3 WRC)は、今回4位と7位。ラリー前半は#11 ヌービルが僅差の2番手、#1 オジェも少し離れた3番手で#8 タナクを追っており、#8 タナクが言うように決してトヨタにラクをさせてはいなかったのだが、土曜(24日)に両者ともパンクで後退を喫し、個人タイトル争いで手痛い遅れを取るのと同時に、トヨタに今回1-2-3を許すこととなった。

ここ5戦で4勝、#8 タナクは充実の強さを発揮中。ここ5戦で4勝、#8 タナクは充実の強さを発揮中。

ドライバーズポイントランキングでは#8 タナクが205点、#11 ヌービルが172点、#1 オジェが165点となり、#8 タナクが初王座に向けてリードを広げている(本人は「依然緊迫」と形容。なお、ヌービルとオジェの順位は今回で入れかわった)。

トヨタが2連覇を狙うマニュファクチャラー(チーム)部門タイトル争いでは、ランク2位のトヨタが首位ヒュンダイとの点差を24から8へと詰めることに成功した(289対281)。

ヤリスWRCでのWRC出走を初めて経験した#17 勝田貴元(10位でフィニッシュ)。ヤリスWRCでのWRC出走を初めて経験した#17 勝田貴元(10位でフィニッシュ)。

トヨタのWRCにおける1-2-3フィニッシュは、2017年に現体制でワークス参戦を再開してからは初めて。歴史を辿ると、トヨタの表彰台独占は1993年のサファリ戦以来になる模様だ(TGR公式サイトの記載より)。そして今回の大勝は、もしかすると新たなトヨタ時代の本格的到来を象徴する一戦として歴史に刻まれることになるのかもしれない。

今回のラリーにはトヨタの育成選手である#17 勝田貴元が“4台目”のヤリスWRCで参戦、というトピックもあった。WRCにはいろいろなクラス(分類)のマシンが参戦しており、いわゆるトップカテゴリーに属するマシンでのWRC出走は#17 勝田にとって今回が初めて(WRC参戦歴はあり、ヤリスWRCでの別ラリー参戦経験もある)。#17 勝田はWRCトップ戦線初陣のドイツ戦を総合10位でフィニッシュした。

ヤリスWRCでのWRC出走を初めて経験した#17 勝田貴元(10位でフィニッシュ)。ヤリスWRCでのWRC出走を初めて経験した#17 勝田貴元(10位でフィニッシュ)。

勝田のヤリスWRCでのWRC出走は今季もう一度、10月の第13戦スペインで予定されている。

WRCの次戦第11戦は9月12~15日にトルコで開催される。

#11 T.ヌービル(ヒュンダイ)#11 T.ヌービル(ヒュンダイ)

《遠藤俊幸》

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