新大阪駅新幹線ホームの地下化に調査費…国交省鉄道局の2020年度予算概算要求

敦賀~新大阪間の環境影響調査関連の予算が計上された北陸新幹線。写真はJR西日本のW7系新幹線車両。
敦賀~新大阪間の環境影響調査関連の予算が計上された北陸新幹線。写真はJR西日本のW7系新幹線車両。全 2 枚

国土交通省鉄道局は8月28日、2020年度の予算概算要求の概要を明らかにした。

それによると、鉄道局の要求として総額1183億円が計上されており、このうち、整備新幹線の建設に792億円、神奈川東部方面線(相鉄・JR直通線、相鉄・東急直通線)、なにわ筋線、福岡市営地下鉄七隈線延伸といった都市鉄道整備事業に116億円が計上されている。

要求額の7割近くを占める整備新幹線ついては、建設中の北海道新幹線(新函館北斗~札幌)、北陸新幹線(金沢~敦賀)、九州新幹線西九州ルート(武雄温泉~長崎)で建設費の高騰が続いており、この部分が「建設中区間の確実な開業に追加的に要する経費の一部について事項要求」として概算要求に盛り込まれている。

北陸新幹線については、敦賀~新大阪間の環境影響評価に関する要求と、新大阪駅(大阪市淀川区)におけるリニア中央新幹線や山陽新幹線との乗継ぎや、市街地の地下線化を視野に入れた地下ホーム整備調査の要求が盛り込まれている。

北陸新幹線の全線開業時には終点となる新大阪駅だが、敦賀~新大阪間では市街地を極力地下で通過することになったため、新幹線ホーム地下化へ向けた調査費が計上された。北陸新幹線の全線開業時には終点となる新大阪駅だが、敦賀~新大阪間では市街地を極力地下で通過することになったため、新幹線ホーム地下化へ向けた調査費が計上された。

一方、武雄温泉~長崎間の開業時期を2022年度としつつも、可能な限り前倒しするとされている九州新幹線西九州ルートについては、与党の整備新幹線建設推進プロジェクトチームで新鳥栖~武雄温泉間のフル規格化が了承されているものの、これに関する環境影響調査の要求は見送られている。

新鳥栖~武雄温泉間がフル規格化されると、並行する在来線の長崎本線と佐世保線がJR九州から分離される怖れがあり、佐賀県ではそれにより財政負担が増える点や、佐賀対福岡の速達効果が期待できない点などからフル規格化反対の姿勢を崩していない。整備新幹線の事業スキームでは、沿線自治体の同意が必要とされていることから、要求見送りは今後の国、長崎県、佐賀県、JR九州との協議の成行きに配慮した結果と思われる。

このほか、整備新幹線関連では、北海道新幹線新青森~新函館北斗間について、貨物列車との共用走行区間である青函トンネルで時間帯を区切って高速走行する可能性を探る調査費や、貨物列車のあり方についての調査費が盛り込まれている。

なお、青函トンネルでは、特有の設備である火災検知装置や大型排水設備が劣化。先進導抗や作業抗といった、列車が通過する本抗へアクセスする坑内で路盤の隆起や沈下が発生していることから、整備新幹線関連要求とは別に「青函トンネルの機能保全」対策として、これらの改修や更新などを行なう要求も盛り込まれている。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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