【SUPER GT 第6戦】大荒れのオートポリス戦、GT500クラス優勝はSARDチームのコバライネン&中山雄一…レクサス勢5連勝

優勝を飾った#39 LC500。
優勝を飾った#39 LC500。全 12 枚

SUPER GT第6戦は8日、大分県のオートポリスで決勝日を迎え、気まぐれな天候に翻弄される大乱戦となったなか、GT500クラスを制したのはSARDチームのレクサスLC500、ヘイキ・コバライネン&中山雄一だった。陣営にとっては今季初勝利、レクサス勢は5連勝。

天気予報が不穏な情報をもたらしつつあるなか、65周、300kmの決勝レースが開戦のときを迎えた段階では、天候が晴れ~曇り、路面はドライであった。しかしレース途中から部分的に降り出した雨が、やがてはコース全域に広がりつつ、しかも降ったりやんだりを繰り返すというなんとも難しいコンディションに。

レース後半は、スリックタイヤを履いているマシンが優位になったり、レインタイヤ装着のマシンが速くなったりと、展開は変転し続けた。セーフティカー(SC)導入も相次ぐなど、もはやレースが終わってみなければ何もわからない、それくらいの混乱状態に陥っていく。

そんななかで首位に浮上してきたのが、予選5位だった#39 DENSO KOBELCO SARD LC500(H.コバライネン&中山雄一/ブリヂストン=BS)である。前半がコバライネン、後半が中山という受け持ちで、彼らは後半スティントにはレインタイヤを選んでいた。

GT500クラスの表彰式。中央左が中山、右がコバライネン。GT500クラスの表彰式。中央左が中山、右がコバライネン。

#39 LC500が主導権を完全確立したと思えたのは、49周終了時のSC撤収タイミングである。2番手との間にスリックを履いていると思われる周回遅れのマシンが挟まっており、このときの路面がレインタイヤ優位だったことも利して中山はリスタートに向け絶妙なスパートをかける。再開1周目(レース50周目)が終わったときには、このとき2番手の#38 ZENT CERUMO LC500(立川祐路&石浦宏明/BS)を12秒も突き放していた。

レース終盤には2番手に上がってきたポールシッター #17 KEIHIN NSX-GT(塚越広大&B.バゲット/BS)に差を縮められはしたが、#39 LC500の中山は3.7秒差で逃げ切りトップチェッカー、陣営にとって今季初となる勝利を挙げた。

決勝2位の#17 NSX。決勝2位の#17 NSX。

2013年全日本F3王者の中山は昨季までGT300クラスに参戦しており、2015~18年に通算7勝と活躍、今季はGT500クラスのレギュラーに初めて抜擢された。難しいコンディションで見事なパフォーマンスを披露しての自身GT500初優勝である。「GT300時代にBSタイヤでこういったコンディションを多く経験していたこともあり、その経験をGT500でも活かすことができたと思います」と語り、「長い下積みが活きたとも思いますね」と、苦労の末の大願成就に喜びを噛み締めていた。

レース前半を担当したコバライネンはF1優勝経験者で、GT500では既にSARDチームとともに2016年に王座を極めてもいるドライバーだ。「ドライでのクルマの感触はとても良かったし、楽しめたよ。雨が降り出してからは、とにかくミスをしないことを意識して走った」と自身のスティントを振り返り、中山の走りについては「本当に素晴らしい走りだった。無線の応対でもこちらが安心できることを言ってくれていたし、彼は(トップレベルの)プロフェッショナルだ」と絶賛している。

決勝3位の#37 LC500。決勝3位の#37 LC500。

SARDチームのエンジニアである名将・田中耕太郎氏も「今日(の最大の殊勲者)は雄一です」と中山を賞賛。陣営全体の努力に中山のスーパーパフォーマンスが上乗せされての、素晴らしい勝利であった。

決勝2位はポール発進だった#17 NSX。レース直前20分間のフリー走行でコース脇にストップする状況があり、ファンをドキリとさせた#17 NSXだったが、ことなきを得たようでポールからスタート、しかし勝利をつかむことは叶わなかった。

決勝4位の#38 LC500。決勝4位の#38 LC500。

決勝3位には終盤、スリック向きの状況になったところで平川亮が猛追に転じ、一気に順位を上げた#37 KeePer TOM'S LC500(平川&N.キャシディ/BS)が入っている。ドライバーズランキング2位の#37 LC500は、今回6位だったシリーズリーダー、#6 WAKO'S 4CR LC500(大嶋和也&山下健太/BS)との差を10点に詰めた。それにしてもハンデが厳しいなかでこの2台がしっかり上位に入っているあたりからも、レクサス勢の今季における絶対的な優位性がうかがえるところだ。これで第2戦からレクサスは5連勝となった。

決勝4位は#38 LC500、5位は#8 ARTA NSX-GT(野尻智紀&伊沢拓也/BS)。8位までをレクサスとホンダが占め、日産勢は9位の#24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-R(高星明誠&J.マーデンボロー/ヨコハマ=YH)が最高位だった。これで昨季途中から続く日産の連敗は12に伸びている。

決勝5位の#8 NSX。決勝5位の#8 NSX。

なお、予選15位だった#12 カルソニック IMPUL GT-R(BS)には急病による決勝日ドライバー変更があり、J.ロシターは欠場、代わって千代勝正がレギュラーの佐々木大樹と組んで戦った(結果は12位)。

また前年王者の#1 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴&J.バトン/BS)が1周目に交錯アクシデントでリタイアという状況もあったのだが、その後のあまりの乱戦ぶりに、そういった大きい出来事さえもが忘れ去られるくらいの大荒れオートポリス戦であった。

決勝6位の#6 LC500。決勝6位の#6 LC500。

次戦は中1週の強行軍となり、宮城県のスポーツランドSUGOへと転戦する。タイトル争いに関してはレクサス2強(#6と#37)の一騎打ちという雰囲気が強まりつつあるが、ウエイトハンデ係数が総得点×1kgの原則に変わり、レース単位での戦局はまたここでググッと動いてくることも予想されるところだ。第7戦「SUGO GT 300kmレース」は9月21~22日に開催される。

《遠藤俊幸》

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