クルマを丸ごと測定可能なパナソニックの電波暗室---V2VやV2Xも

パナソニックが構築した5G対応電波暗室
パナソニックが構築した5G対応電波暗室全 8 枚

パナソニックは9月19日、自動運転車・コネクテッドカーにおいて急速に搭載が進むと予想される5G利用の最適化を図る目的で、国内最大級の電波暗室を横浜市都筑区にある同社事業所内に構築。この日、メディア関係者に公開した。

この施設はもともとパナソニックが携帯端末や基地局をはじめとする通信機器の検証に利用する過程で、技術を蓄積して来た施設。今回、その施設の内装に手を入れることで、5G時代に合わせて効率よく車両丸ごとの通信性能評価ができるようにした。暗室内は有効内寸で29m(奥行き)×21m(幅)×9m(高さ)の巨大さ。施設の搬入口が3m×3mほどであるため最大4トン車程度までとはなるが、暗室内には車両を2台入れて“V2V”や、様々なインフラ設備を置いた“V2X”の検証にも対応できる。

無線性能の評価には、反射波の影響がない測定可能領域「クワイエットゾーン」が必要だが、狭い電波暗室ではその領域をあまり取ることができず、車両に取り付けると実際の測定結果と異なった結果になることが多いという。この大型施設ではクワイエットゾーンを広く取ることが可能となり、より搭載時の再現が可能になる。しかも、暗室内には車両を360度回転できるターンテーブルを新設し、水平/上下移動が可能なタワー式の大型電波測定システムを組み合わせることで半球面の無線性能評価に対応できる。ここまでの施設を備えたサプライヤーはまだ少数だという。

大型電波測定システムの能力も極めて高く、1度ステップで得られる分解能は分速3万6000ポイント。200周波数ポイントを2分にわたって同時測定することが出来るため、その場合は最大で7万2000ポイントの検証が可能になる。また、システムを取り付けているタワーには金属を極力使わず、電波の影響を受けにくい強化プラスチック系の素材を主に利用。周囲を覆う黒いゴムも電波に影響のない素材を使うことでクワイエットゾーンの確保に務めた。

今回の5G対応では、アンテナの先端が5Gの帯域まですべて送受信が出来るようにしている他、5Gで導入している特殊なMIMOアンテナやビームフォーミング アンテナの性能を評価するシステムとエンジニアを合わせて用意しているのも大きなポイントになるという。

パナソニック・オートモーティブ社開発本部プラットフォーム開発センター所長 和田浩美氏は、「車は左右対称のデザインになっていることが多く、アンテナもそれに合わせて真ん中にセットされることが多い。しかし、それは干渉においてはもっとも悪い条件となる」と述べつつ、「OEMメーカーはアンテナの配置から得られる性能を気にしており、車のデザインを決めてしまえば後からは修正が利かない。コストとの絡みはある中で、この施設を活用することの意義は大きい」と施設を準備したことのメリットを強調した。

《会田肇》

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