【SUPER GT 第7戦】GT500決勝…雨のSUGOで勝ったのは平手晃平&マコヴィッキィ組、GT-R今季初優勝

GT500クラス優勝の#3 GT-R。
GT500クラス優勝の#3 GT-R。全 16 枚

SUPER GT第7戦の決勝レースが22日、スポーツランドSUGO(宮城県)で実施された。雨に降られた一戦でGT500クラスを制したのはミシュラン装着「GT-R」の平手晃平&フレデリック・マコヴィッキィ。日産勢の今季GT500初優勝で、昨季からの連敗は12でストップした。

雨予報の決勝日、午前中はなんとか曇りでもっていたSUGOの空だが、午後2時のレース(81周、300km)開始を前にいよいよ雨が降ってくる。セーフティカー(SC)先導となったスタート直前の路面状況はレイン/スリックのタイヤ選択に対してまだ微妙で、GT500クラスの15台は多くがレインタイヤを、そしてポール発進の#17 KEIHIN NSX-GT(塚越広大&B. バゲット/タイヤはブリヂストン=BS)を含む数台がスリックタイヤを選択したと見られる状況で発進していった。

正解はレインタイヤだったようである。3周終了時にSCが撤収してレースが実質的に始まると、#17 NSXは大きく順位を落としていくことになり、やがてタイヤ交換のためのピットインをせざるを得なくなってしまう。

タイヤ戦争があるSUPER GT、レインタイヤにもソフトやハードなどといった“種類”が各社毎にいろいろとあり(溝パターンは各社1サイズにつき1種類の規則)、履いているタイヤと変化する雨量とのマッチング次第で各マシンのパフォーマンスが大きく上下しがちだが、今回はレース中盤にSC導入となるアクシデントがあって以降、いろんな意味で戦局ガラリ激変という印象になった。

今季前戦まで車種的にはレクサスLC500が第2戦から5連勝、タイヤ的にはブリヂストン(BS)が6戦全勝で来ており、今回もレース途中まではBS勢のLC500もしくはNSXが勝ちそうな流れに思えた。しかし今回、最終的にBS装着のLC500とNSXは表彰台に不在という結果になる(もちろんBS装着LC500の多くがここまで好成績ゆえハンデ的に不利な面もあった)。

雨のSUGOで輝いたのは、今季厳しいリザルトが続いていた面々、マシン的には日産GT-Rであり、タイヤ的にはミシュラン(MI)とダンロップ(DL)だった。MI装着GT-Rの2台、#3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平&F. マコヴィッキィ)と#23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生&R. クインタレッリ)が1-3フィニッシュを飾り、2位にはGT500唯一のDLユーザー、#64 Modulo Epson NSX-GT(N. カーティケヤン&牧野任祐)が食い込んで、表彰台の風景を一変させたのである。

予選7位からの逆転で優勝した#3 GT-Rの平手とマコヴィッキィは、今回スタート担当だった平手がかつてはレクサス(トヨタ)で、後半を担当したマコヴィッキィはホンダでそれぞれGT500を勝っているが(平手は王座獲得も経験)、今季日産GT500陣営に加入してからは初勝利だ。“外の血”を注ぎ込んで反撃を狙った今季の日産のGT500布陣、それを象徴するコンビでもあるふたりが、ついに勝利という名の花を咲かせた(日産のGT500における連敗は12でストップ)。

#3 平手晃平のコメント
「すごく嬉しいです。ここ2~3戦、速さはあっても結果につなげられないレースが続いていて、気持ち的に苦しいところもありました。でも、日産やチーム、それにミシュランさんが一生懸命やってくれて、『結果を残そう』という思いで今回のSUGO戦に(皆で)来ました。『ここでなんとか表彰台を』と思っていましたが、最終的には素晴らしい勝ち方ができましたね」

#3 F. マコヴィッキィのコメント
「とても光栄だし、最高の気分だ。このところ速さはあったけれど、ハイレベルなGT500で勝つためには、まだ細かいところの詰めが足りていなかったんだと思う。今回の我々は本当に細かいところまで完璧だった。タフな状況のなかで自分たちの実力をすべて発揮できたと思うし、日産やチーム、ミシュランも素晴らしい仕事をしてくれた」

日産ファンにとっては昨年のゴールデンウイークの富士戦以来となるGT500での勝利。シーズン0勝の危機を回避する鮮やかな勝ちっぷりであり、来季の日産勢の本格的反攻にも大きな期待がもてる内容だったといえるだろう。

さて、一方で気になるのはやはり今季のドライバーズタイトル争いだ。ランキングトップ2のレクサス勢は、ランク首位の#6 WAKO'S 4CR LC500(大嶋和也&山下健太/BS)が決勝6位、ランク2番手の#37 KeePer TOM'S LC500(平川亮&N. キャシディ/BS)が同4位でSUGO戦を終了(決勝5位は挽回した#17 NSX)。#6と#37は両者ともハンデ状況を考えればさすがの成績といえ、この結果、原則全車ノーハンデとなって迎える最終戦を前にGT500ドライバーズタイトル争いは下記のような状況へと絞り込まれた。

70点/#6 大嶋和也&山下健太(レクサスLC500/BS)
63点/#37 平川亮&キャシディ(レクサスLC500/BS)
49.5点/#23 松田次生&クインタレッリ(日産GT-R/MI)

優勝20点、2位15点(以下、決勝10位まで得点)、ポールポジション1点なので、#23 GT-Rはほとんど圏外と見るべきだろう。実質的には#6と#37のレクサス勢一騎打ち、そして#6が決勝2位でも自力王座獲得となる優位性を有して最終決戦に向かうこととなった。

2019年SUPER GTシリーズ最終戦(第8戦)は11月2~3日、栃木県のツインリンクもてぎ(ロードコース)で開催される。決勝はシーズン最短250km、そして原則全車ノーハンデというスピードバトル設定の最終決戦で、タイトルの行方が定まることとなる。

<DTMとの特別交流戦に関する情報>シリーズ戦終幕後の11月23~24日に富士で開催されるGT500とDTMの特別交流戦、これに出走するDTM側のマシンが「アウディ4台、BMW 3台、アストンマーティンは今回なし」であることが今回SUGO戦のレースウイーク中に明らかになっている(ドライバーは未発表)。なお、GT500側は15台全車が出走する。

《遠藤俊幸》

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