プロパイロット2.0の実現で浮かび上がった、高速道路の制限速度問題【岩貞るみこの人道車医】

日産スカイライン新型に搭載されたプロパイロット2.0では、制限速度をきっちりと守り加減速をおこなう。
日産スカイライン新型に搭載されたプロパイロット2.0では、制限速度をきっちりと守り加減速をおこなう。全 2 枚

【制限速度と運転支援技術】

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「第75条の6 自動車は、本線車道に入ろうとする場合において、当該本線車道を通行する自動車があるときは、当該自動車の進行妨害をしてはならない。(一部抜粋)」

2019年10月時点で、道路交通法にはこのように書かれている。高速道路で本線に入ろうとするクルマは、本線上を走っている車両を妨害しながら入ってはいけないということだ。

ゆえに私は(きっと私だけではないはず)、本線上を走る車両の流れに乗れるよう、加速車線ではめいっぱい加速していた。ところが警察庁の自動運転の会議に出ていたとき、ある事実を伝えられた。

「加速車線の制限速度は、60km/hです。」

えっ!? いえ、私は(きっと私だけではないはず)、めいっぱい加速しましたけれど、ええ、60km/hまでですよ、ええ、そうですとも!

それにしても、高速道路や自動車専用道などでは、本線上が基本的に100km/hであるにもかかわらず、なぜに加速車線の制限速度は60km/hなのだ。こんな流れに乗れないような遅い速度で進入したら、本線上の車両はブレーキを踏まざるを得ないだろう。冒頭にある「本線上を走っている自動車の進行を妨害してはならない」に反してしまう。

加速車線の最高速度を本線と同じに

となると、道交法を犯さずに本線上に入る方法はただ一つ。本線上の車両が来ないところを見計らって、60km/hで進入することだ。

って、できるのか、そんなこと? 次から次への車両が走ってきたらいつまでたっても本線に入れず、加速車線上が大渋滞になりかねない。ええ、道路交通法をきちんと守る自動運転車両であれば、まちがいなくそうなるでしょうよ。

この道交法が作られた昭和のころは、高速道路上を走る車両も少なく、安全を考えると60km/h制限にするのがよろしいと思ったのだろう。でも、今は状況がまったく違う。

というわけで、これはいかんと判断した警察庁は2019年の改正道路交通法案で以下のように変えることにした。

「自動車が高速自動車国道の本線車道に接する加速車線又は減速車線を通行する場合の最高速度を本線車道を通行する場合のものと同一とすることとする(原文ママ)」

同じ速度! これでスムーズに本線に合流できる。春の国会で通過したので、おそらく2020年春あたりに、施行されるはずだ。よかった、よかった。

「道路」側の協力がなければ

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……いや、これで喜んでいる場合ではなかった。先日、日産『スカイライン』の「プロパイロット2.0」を試乗したときのこと。プロパイロット2.0は制限速度の表示を読み取り、その速度で走ってくれる(実際は、時速は+-10kmで設定が可能)。この機能は高速道路上でしか入らないので、加速車線は関係ないし、来春になれば改正道路交通法が施行されるからこの際、どうでもいい。

問題は、減速車線である。例えば首都高速の湾岸線、横浜方面。ずっと南下していくと横浜横須賀道路へとつながるため料金所がある。本線上から、全車、速度を落として料金所を通過させられる場所だ。

ここは現在、60km/hに減速させたのち、40km/hに落とすよう指示がある。おそらく、最初の60km/hの制限は、加速車線同様に改正道路交通法で本線上の速度と同等になるからよしとして、危ないのは、次の40km/h制限である。

現在、この表示板が、料金所のかなーーーーーーり手前にある。そして、プロパイロット2.0は超マジメなので、すぐにきゅーっと速度を落としちゃうのだ。

ちょっとちょっと、後ろから追突されちゃうんじゃないの? もう、ルームミラーで後方見ながら、気が気じゃない。これは、どう考えたって危険極まりないのである。雨の日や夜は絶対、危ないって!

この場合、プロパイロット2.0をはじめとするクルマ側のシステムを調整する必要がある、のかもしれないけれど、道路側の協力なしには安全は確保できないと思う。どの位置に、どういう制限速度表示を設置すれば安全に道路を管理できるのか、検討していただきたいのである。

道路会社と自動車メーカーって仲がよさそうに見えないけれど(情報共有できているかどうかって意味で)、車両システムの限界は道路でフォローしてもらわないと安全に使えない。欧州勢が高速道路上での自動運転「レベル3」の実現に向けて加速してきている今、ぜひ対応をお願いしたいものである。

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、ノンフィクション作家として子どもたちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

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