気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊（朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版）から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析する新聞ウォッチ…………。
日立製作所とホンダが、傘下の自動車部品会社4社を統合し、1年後をめどに新会社を設立すると正式に発表した。
10月30日午後5時から東京・台東区にある日立グループが入る「上野イーストタワー」で行われた臨時の記者会見には、日立製作所から小島啓二副社長、ホンダから貝原典也常務執行役員、それに統合する部品会社の日立オートモティブシステムズ（AMS）、ケーヒン、ショーワ、日信工業の4社の社長が勢ぞろいした。
きょうの各紙も記者会見で6人が手を合わせる写真付きで大きく取り上げているが、日立の小島副社長はじめ、各社のトップが強調していたのは「スケールメリット(規模の優位性)」と「脱系列」による競争力の強化が期待できることだった。
この経営統合をいち早く報じた読売は「車部品世界大手に対抗、技術開発4社の強み融合」とのタイトルで、次世代技術の電気自動車や自動運転技術に対応した部品開発を加速させるためだ」と指摘。さらに、「規模拡大で経営基盤を強化し、世界のライバルと互角に戦う『メガサプライヤー』を目指す」と伝えている。
日経も「CASEが促す系列解体、研究開発強化、独ボッシュなど『メガ』追う」との見出しで「売上高ではトヨタ自動車系のデンソー、アイシン精機に次ぐ国内3位に浮上する。世界の自動車・車部品各社は、自動運転などの次世代技術『CASE』の対応を迫られている。研究開発費に回す資金力に乏しい中堅メーカーは規模拡大を迫られ、系列解体が一段と加速している」と取り上げた。
また、日経の記事では「ホンダは18年の四輪販売台数が523万台と業界7位。19年3月期の四輪事業の売上高営業利益率は1.9%と、国内同業の自動車事業と比べても日産自動車に次ぐ低さで底上げが急務だ」と解説。「すでに英国生産の撤退など事業の見直しを進めており、単独の生き残りが厳しい系列の部品3社は日立に主導権を渡す」とも指摘する。
記者会見でも質問があったが、日立の66.6%に対し、ホンダが33.4%という新会社の出資比率はどうみてもバランスが悪い。日立とホンダ系3社の売り上げ規模からみても「対等」でも問題はないと思われるが、生き残るためには日立に主導権を委ねることで、ホンダ以外へのビジネスを拡大し、「脱系列」を図る狙いがあるからだろう。
記者会見では、日立は副社長、ホンダは常務執行役員が出席。ホンダのDNAと言えばF1レースなどで鍛えられた負けん気が強いことでも知られているが「名を捨てて実をとる?」という、謙虚さが際立つ経営戦略の方針転換も興味津々だ。
2019年10月31日付
●日立・新会社6割出資、車部品、ホンダ系と子会社合併(読売・2面)
●FCAとPSA合併協議 (読売・9面)
●トヨタ、ダイハツリコール (朝日・31面)
●新幹線基地6割「浸水域」国交省、対策要求へ (毎日・1面)
●スカイマーク再上場を申請 (毎日・6面)
●三鉄運休「またか」、台風被害、住民落胆 (毎日・23面)
●トヨタグループが世界販売首位今年1～9月 (産経・10面)
●MaaS参入へ鉄道走る、小田急アプリ開始、航空会社と連携 (産経・11面)
●ガソリン3週連続値下がり(東京・6面)
●ソニー営業最高益、半導体伸び、収益構造改善(日経・2面)
●日産統治改革はこれから(日経・7面)
●車8社、世界生産2%減、アジア圏で販売不振、上半期8年ぶり前年割れ(日経・18面)
●車関連逆風強く、販売減で業績悪化、日本精工や日野自動車(日経・21面)