5年後のダイハツ村へようこそ!…東京モーターショー2019[インタビュー]

東京モーターショー2019ダイハツブース
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130万人を超える入場者数を記録した東京モーターショー。各メーカーのステージは様々な趣向が凝らされていた。中でもダイハツは近未来のコンセプトカーをミュージカルのように歌いながら説明するなど楽しい演出が凝らされていた。

WaiWai(ワイワイ)…人に優しいミニバン

そこで今回展示された4台のコンセプトカーとともにブース全体のコンセプトについてインタビューを試みた。

最初は『ワイワイ』。3列6人乗りで、「天井が開くことで皆で“ワイワイ”と騒ぎながらどっかへ行こうよというコンセプト」とはダイハツデザイン部第1デザイン室課長の芝垣登志男さんの弁。

「エクステリアはビーチクルーザーというコンセプト。ビーチで本当にリラックスした状態でみんなで何でも出来るようなクルマをイメージしている。女性メインで一緒に遊べるようなクルマにしたい」という思いで作られた。

同デザイン部第一デザイン室先行開発スタジオエグゼクティブリエゾンデザイナーの米山知良さんも、「ママのためのクルマで、強さを押し出すのではなく、ダイハツらしく人に優しいクルマとしてデザインしている」という。ダイハツ WaiWai(ワイワイ)

今回のステージでの演出も、「女性が出てきて子育て終わっても楽しいよねとしており、もっと気楽に付き合えるミニバンがあってもいいのではないか」(米山さん)というテーマだ。

ワイワイをサイドから見ると、ショルダーラインの高さに目が行く。芝垣さんは、「ダイハツでは軽の『キャンバス』がある。これの3列というイメージで、リラックスしているのだが格好はつけたい。そこで少しチョップトップなイメージも醸し出している」と説明し、「少しショルダーラインは高いがシルエットにもきちんとこだわってデザインしている」と述べる。

また、シャークフィンも特徴的だ。「最後まで迷ったが大胆にちょっとやってみようかと思った。通り一辺倒のウインドウグラフィックにしてしまうとつまらないので、遊び心あるアクセントが欲しいと考えた」と芝垣さん。「実は内側には本やパンフレットが挟めるようなラックになっている。インパネの両側などにサボテンを置いたり出来る場所を作って、こういうところも生活の一部のような印象につなげている」と話す。

そしてフロントフェイスは少しレトロっぽく親しみのわくもの。実はダイハツの初期にあった『V200』にも共通する片側上下2灯のヘッドランプをモチーフだ。その点について芝垣さんに問うと、「特にレトロな感覚ではなく、きれいでありながら、昔の感覚も大事にしたいという思いでデザインしている」とのこと。「モダンフレンドリーがテーマで、3列シートのキャンバスがキーワード」とした。

ダイハツ IcoIco(イコイコ)

IcoIco(イコイコ)…未来のタント!?

次は『イコイコ』だ。「ダイハツブースのテーマは”つどい”。これは個々のクルマ自体は非力だが、みんなが集まると色んなことをたくさん楽しく出来るのがダイハツ車だ。人が歩くように自然に使えるクルマでもある」と全体像を語る。

そのうえで、「社会問題にもなっているが家に引きこもっている人がいる。そういったことを僕らで何か解消出来ないかと考えた」とイコイコのベースについて述べる。実はイコイコの中に『ニポテ(イタリア語で孫)』というお世話ロボットが搭載されている。「そのニポテがおばあちゃんなどに“外に行こうよ”と話しかけ、連れ出してくれる。それでイコイコと名付けた」とネーミングの由来を説明し、「そういうところから新しいライフスタイルの提案出来ないか」という。

芝垣さんは、「なぜ老人か。それは近年限界集落が多くなってきている中、そういうところでも移動の自由は欲しい。そういった人たちに引きこもるのではなく、外に出られるようにしたいからだ。また免許返納や、あるいは子供でも免許がないけど外には出たいということもあるだろう。そんなニーズにも応えられたら」とイコイコへの思いを語る。

イコイコをよく見てみるとリアフェンダー周りに『タント』のモチーフが見られる。芝垣さんは、「特にこれも意識はしていないが、タントが10年から20年経った時に自動運転になっていたらこうなるだろうというイメージではある。タントはダイハツの軽のフラッグシップ、軽自動車の象徴としてタントが自動運転になると面白い」と話す。

また、ニポテを搭載した理由については、「イコイコは自動運転なのでドライバーはいらない。そこで孫(ニポテ)と対話、コミュニケーションを取りながらどこかへ行こうという、それがダイハツのやれることだ」。この背景には、「自動運転の技術自体は多分氾濫し、僅差となるだろう。そこで何が重要かは思想、その会社にしか出来ないカラーだ」と芝垣さん。「ダイハツはフレンドリーがキーワードなので、コミュニケーションを介してどこか行こう、それがイコイコだ」と述べた。

ダイハツ TsumuTsumu(ツムツム)

TsumuTsumu(ツムツム)…将来の軽トラックはデザイナー自ら経験した結果の提案

『ツムツム』について芝垣さんは、「イコイコとツムツムは社会性を担ったクルマ」と位置付ける。ダイハツは軽トラックも重要なカテゴリーとして扱っており、「『ミゼット』から始まった地域の足や路地裏の狭いところまで行くことが出来る働くクルマを提案したかった」と述べる。

このツムツムは次世代軽トラックだ。「トラックはいま画一的なデザインなので、いままでの長い荷室を使いながら大きなキャビンを両立させる方法はないかとパッケージを見直した。その結果、少しアップライトに座らせている」という。このキャビン自体は『ハイゼット』と同じだが、「アップライトに座らせることによってハイゼットジャンボと同じくらいの後ろの空間を確保している」と米山さん。「そういったパッケージの工夫と荷台のカートリッジを付け替える(モーターショーでは農業用ドローン基地のカートリッジ)という新しい提案をしている」と芝垣さんはいう。

また米山さんは、「ドアの開閉も通常の軽であれば前ヒンジなので降りる際に長靴などでドアを蹴ってしまってボロボロになるのだが、狭いあぜ道とかでもスライドドアにすることによって足も当たらず最低限の移動で動けることを研究した」と説明。

こういった研究は「林業や漁業などにデザイナーが独自で実際に入り込んでリサーチした結果。デザイン目線でこういうクルマがあるのではないかと生み出した提案だ」と芝垣さんは話す。そのほかにも「内装もゴワゴワの手袋で掴んでも操作が出来るようなデザインやサイズアップするなどの工夫も凝らされている」と述べた。

ダイハツ WakuWaku(ワクワク)

WakuWaku(ワクワク)…MA1をモチーフに

『ワクワク』のネーミングについて芝垣さんは、「いろいろな荷物を積んでワクワクした気持ちで出かけたい」とその狙いを語る。サイズは軽自動車なので「最小レベルのSUVだ」という。

一番の特徴は外観と内装のデザインが「ゴツゴツした強そうなデザインになっている。前席と後席を性格分けすることで、本当にガンガン使えるような荷室が後ろにあるのが特徴だ」と説明。それを強調するために、「嵌め殺しの窓や、天井に収納を設けたりなどの仕掛けをしている」と話す。

内装のオレンジカラーも特徴的だが、これは「内外装をリバーシブルのMA1のようなイメージした色使いだ。実際に本物と見比べながら色合わせをしている」というこだわりようだ。

米山さんも、「後ろは秘密基地のイメージなので、フラットで明るい照明があり、自分の趣味や、寝泊まりも出来るようにも意識している」とのこと。

芝垣さんは、「いつもプランニング側と話をする時に、クルマ本体よりもそれを見てどんなシーンが浮かぶかを大事にしようといっている。このクルマであれば遊びに行くところをイメージしながら作った」という。

また米山さんは、「我々は生活密着、一般の人たちに近い感覚でこういったクルマ達を作っている。未来はすごくメカニカルなものもあるかもしれないが、ダイハツはいまの生活が5年後、10年後進化したらどうなるかを、地に足をつけて考えながらものづくりをしている」と述べ、あくまでも近未来を見据えた提案が行われていることを明かした。

5年後のダイハツ村

最後にダイハツブース全体について、ダイハツコーポレート本部商品企画室先行企画グループ副主任の工藤真輔さんに伺った。「いままでのモーターショーはクルマが主役でクルマを見て!というものだったが、今回はクルマを一旦脇において、クルマを使う人にフィーチャーした。コンセプトは“つどい、みんなの暮らしをあたたかく”というテーマのもと、隣のトヨタブースが未来の都市の生活であるのに対し、ダイハツはちょっと先の未来の“村の暮らし”をモチーフ。そこに遊びに来てくれる人たちにちょっぴりあたたかい気持ちになって帰ってもらえたらいいなというコンセプトだ」と説明。

あえてクルマを脇に置いた理由について工藤さんは、「クルマ自体にコンテンツとしての魅力がいままでのようにあるかというと、厳しい状況だ。そのような中でクルマをメインにしてもお客様の関心からは離れていってしまう。そうであれば思い切って違うところで試しにやってみたらと、ちょっと今回は冒険してみた」と語った。

《内田俊一》

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