【トヨタ カローラ 新型試乗】先代よりコントロールしやすく、パンチもあるハイブリッド…片岡英明

トヨタ カローラツーリング 新型(ハイブリッド)
トヨタ カローラツーリング 新型(ハイブリッド)全 18 枚

3ナンバーに、でも世界仕様より小型

日本を代表するファミリーカーであり、日本だけでなく海外でも高い人気を誇っているのがトヨタの『カローラ』だ。

2018年6月、5ドアハッチバックの『カローラスポーツ』は、いち早く新型に生まれ変わった。その1年3か月後、主役の4ドアセダンとステーションワゴンの『カローラツーリング』が新型の12代目に切り替わっている。

トヨタ カローラツーリング 新型(ハイブリッド)トヨタ カローラツーリング 新型(ハイブリッド)
12代目のカローラは小型車枠からの脱皮を図り、全幅を1745mmまで広げた。だが、カローラ海外向け仕様とカローラスポーツより全幅は狭い。全長もカローラスポーツより95mmも切り詰めた。これは日常の取り回し性に配慮したためだ。

パワートレインは3タイプを設定した。注目のハイブリッドシステムは『プリウス』と同じで、1.8リットル直列4気筒DOHCアトキンソンサイクルエンジンに電気モーターを組み合わせたTHS IIである。パワーユニットの最高出力は72kW(98ps)/5200rpm、最大トルクは142Nm(14.5kg-m)/3600rpmだ。モーターは53kW/163Nm(72ps/16.6kg-m)を発生する。

プラス300ccの排気量で走りが軽快に

トヨタ カローラツーリング 新型(ハイブリッド)トヨタ カローラツーリング 新型(ハイブリッド)
車両重量は先代より200kgほど増えたが、プラス300ccの排気量を得たことによって軽快な走りを手に入れた。システム出力は100psから122psに高められている。魅力はモーターアシストによるパンチのある加速だ。とくに動き出した直後の低回転域は力強いから、平坦路ならエコモードでも加速に不満を抱くことがなくなった。さすがに多人数乗車や荷物が多いと加速は鈍る。が、街中を中心とした走りならパンチ不足とは感じない。

ノーマルモードなら流れをリードする走りを楽しめる。制御が絶妙で、アクセルを踏み込んだときの応答性もいいから気持ちがいい。モーターアシストによる力強いトルク感に加え、モーターの使える領域が増えたのも嬉しい改良点だ。スポーツモードをチョイスすると、痛快な加速を引き出すことができた。アクセルレスポンスが鋭くなり、高回転まで引っ張ってくれる。瞬発力が鋭くなることに加え、操舵フィールも手応えを増すなど、他の走行モードとの違いが分かりやすい。

高速走行時の静粛性は高いレベルにある。加速時や高回転ではエンジンの唸りが気になるが、それ以上に耳障りだと感じたのがロードノイズだ。クルージング時は静かなだけにノイズが気になってしまう。セダンよりワゴンのツーリングのほうが、後方からの音の侵入が大きいと感じる。これが惜しい。

先代よりはるかにコントロールしやすく、安心感がある

トヨタ カローラ 新型(ハイブリッド)トヨタ カローラ 新型(ハイブリッド)
新世代プラットフォームの採用により剛性が高められ、ハンドリングも乗り心地も大幅によくなった。カローラスポーツと比べるとスポーティ感は薄まっている。が、先代よりはるかにコントロールしやすく、安心感があった。操舵フィールは正確さを増し、コーナリングや荒れた路面でのロールやピッチも上手に抑え込まれている。運転中の頭の揺れが小さいから運転しやすく、乗り心地もよく感じられた。

少し速いスピードでコーナリングしても頭が動きにくく、視線がずれない。リアの接地感がいいことに加え、荒れた路面でのショックの吸収も上手だった。高速走行でも直進安定性に優れ、風の影響もうまく封じている。ハンドリングの印象がよかったのはFF車だ。4WDモデルより軽快で、操舵のフィーリングもいい。

トヨタ カローラ 新型(ハイブリッド)トヨタ カローラ 新型(ハイブリッド)
ブレーキを踏み込んだときの操作フィーリングは、先代より違和感を覚えなくなった。制動能力とコントロール性も高められている。ハードにブレーキングしたときのノーズの沈み込みをもう少し抑えれば、さらに印象はよくなるだろう。いくつか弱点はあるが、ファミリーカーとしてのトータル性能は高く、燃費も満足できるものだった。エコ運転に徹しなくても20km/リットルの大台を超えるのは大きな魅力だ。

カローラツーリング・ハイブリッドと筆者トヨタ カローラツーリング 新型(ハイブリッド)と筆者片岡英明│モータージャーナリスト

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員

《片岡英明》

片岡英明

片岡英明│モータージャーナリスト 自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  2. 最後のフォードエンジン搭載ケータハム、「セブン 310アンコール」発表
  3. 高機能ヘルメットスタンド、梅雨・湿気から解放する乾燥ファン搭載でMakuake登場
  4. 船上で水素を製造できる「エナジー・オブザーバー」が9年間の航海へ
  5. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  5. 「あれはなんだ?」BYDが“軽EV”を作る気になった会長の一言
ランキングをもっと見る