ユーノス ロードスター が歴史遺産車に認定…日本自動車殿堂表彰式

ユーノス・ロードスター
ユーノス・ロードスター全 8 枚

NPO法人日本自動車殿堂は2019年の歴史遺産車4台と、殿堂者殿堂入り3名を発表し、その表彰式を開催。歴史遺産車の1台はマツダ/ユーノス『ロードスター』が選ばれた。

【画像全8枚】

選考基準は、自動車社会構築の功労者を専攻テーマとし日本自動車殿堂内に設置された研究選考会議において議論。歴史遺産車においては自動車産業、自動車交通、自動車文化の発展に貢献した歴史に残すべき自動車、そして主に製品コンセプト、技術、スタイル、バリューフォーマネーなどに優れた自動車であり、乗用車全般に加え、二輪車、三輪車、商用車、競技車両、特種用途自動車などを対象としている。

これらの専攻テーマと選考基準により本年度は研究選考会議において、歴史遺産車候補として後述の4台が選ばれた。

また、殿堂者の選定は、歴史遺産車と同様、研究選考会議において議論。自動車社会の構築の功労者を選考テーマとし、選考にあたっては自動車産業や学術はもとより、文化的な活動の分野にも選考対象が及ぶことを前提とし、四つの選考基準を設け選考が行われた。

・技術分野:日本独自の自動車技術開発に尽力した人
・産業分野:日本の自動車及び自動車産業の基盤を開拓した人
・学術分野:日本の自動車工学学術に貢献した人
・社会分野:日本の自動車社会の発展に貢献した人

これらの選考基準に則り今年度は3氏が殿堂者入りを果たした。

三菱『A型』…我が国初の量産乗用車として開発生産された

1918年に図面や知識、工具もない中で当時の欧州車を分解研究し、部品をいちから自作するとともに、設計から生産販売、さらにはアフターサービスまでも視野に入れながら、自動車の量産化の模索が行われた、その先見性と努力が結晶となった三菱A型は歴史に残る貴重な名車であることが評価された。

受賞に際し三菱広報部部長の小池尚子氏は、「三菱A型は今から約100年前の1917年夏頃に制作が開始された。当時の技術者にとり、自動車は未知の製品ということで、まずは欧州車を参考モデルとして分解研究するところから始まり、ハンマーやたがねを使って全て手作りで、翌1918年に第1号車を完成させた」とその歴史を語る。

そして、「ガソリンエンジンや自動車の車体に関する知識もない。もちろん生産経験もないという状況の中で、1921年までに合計22台のA型を生産し、その後の販売は三菱初の自動車販売会社である大手商会によって行われた」という。

また、「いわゆるプロダクトライフサイクルマネジメント、製品企画から設計、試作、試験、生産、販売、アフターセールスという一連のプロセスを100年も前に初めて試み、自動車の量産化ということに挑戦した先人の方々の苦労は想像を絶するものであり、ただただ敬意を表する」と述べた。

いすゞ『エルフTL151型』…2トン積み小型トラックのディーゼル化を決定付けた

いすゞエルフは1959年の発売以来、60年にわたり積載量2トンから3トンクラスのキャブオーバートラックのトップブランドとして君臨。その初代TL151型は高い積載性と優れた運転席設計に加え、経済性と高出力、信頼性に優れたディーゼルエンジンを搭載。その後の小型トラックのディーゼル化への流れをけん引した歴史的名車であることが歴史遺産車の選定理由とされた。

いすゞ常務執行役員開発部門CV統括CEの山本悦夫氏は、「エルフは1959年に1号車が生まれ、今年で満60歳となる。人に例えると還暦で、そういった節目の年にこういった賞を頂いて、我々も開発の一員として非常に嬉しく思っている」とコメント。

「発売当初はキャブオーバートラックとして、いかにたくさん荷物を効率よく積めるかということをコンセプトにして作ってきた。さらに現在に至っては、トラックといえども安全性、快適性などいろいろな要求が高まってきている」

「最新のエルフではそうした考えのもとに衝突被害軽減や衝突回避支援システムなどを装備。また通信端末を搭載し、お客様とつながるトラックを目指し、トラック自身がお客様と通信しながら走るということを考えながら開発を行なっている」と現在のエルフを紹介したうえで、「今後は、還暦ということなので次は大還暦ということで120年後を目指してまた頑張ってきたいと思う」と述べた。

ヤマハスポーツSR400…40年間にわたり最もオートバイらしいデザインを保持したまま販売し続けた

1978年の発売以来、40年にわたり単気筒エンジンの大型オートバイとして独特な味わい、魅力をライダー達に提供。新しい2度の排ガス規制の壁を乗り越え長期にわたり生産を継続。世界でも貴重なロングセラーバイクとして評価された。

ヤマハ発動機企画・財務本部コーポレートコミュニケーション部広報グループ・リーダー 壬生貴氏は、「ヤマハSR400は1978年にデビューし、今もデザイン、エンジン、フレームといった基本骨格はそのままに販売を継続するロングセラーモデルだ」と話す。

「販売当時、国内外のオートバイ市場はエンジンの多気筒化、マルチ化が進んでいた中で、シングル、単気筒のエンジンを搭載しスリム、軽量、ビッグトルクといった特徴を生かしたロードスポーツモデルとして市場に導入。当時は少し異彩を放ったモデルとしてマニアな方達の支持を受けていたようだ」

「その後シンプルな構造ゆえに、カスタムの可能性があるオートバイとして、若い方々からも支持を得て、現在もSR400の購入層は40代から50代が中心ではあるが、20代の購入ウエイトも高い」

「この40年の間に、環境対応やトレンド変化で存続の危機に何度か立たされたが、その都度販売店やSRの熱烈なファンの方の後押しがあり、古い設計なので環境規制には難しいがそれをクリア。また細部にわたって商品性を追求して現在も販売を続けているモデルだ」

「静岡県磐田市にある本社工場で流れる生産ラインではなく、2人一組で手組で組み上げる方式で作っている。ヤマハとしては引き続きヤマハのロングセラーモデルとしてSR400を育てていきたい」

マツダ/ユーノス『ロードスター』…ライトウエイトスポーツカーとして人馬一体というコンセプトを維持し、4代30年にわたり作り続けられた

マツダ/ユーノス・ロードスターは変わらぬコンセプトを維持し4代にわたり作り続けられ、累積生産台数は100万台を超え、ライトウエイトスポーツカーとしての世界記録を更新し続けている。魅力的なスタイリング、クルマを操る楽しさを提供し、日本の技術水準の高さを世界に知らしめて歴史的名車とされた。

マツダ・ロードスター・アンバサダーの山本修弘氏は、「2代目ロードスターから開発に携わり22年間ロードスターの開発を担当してきた。最後の4代目は開発主査を担当した。今はユーノスロードスターのレストアサービスを見ている」と、現在の自身の状況を説明。

「ロードスターには大変なファンがいる。人馬一体という言葉があるがそれは、開発のメッセージだった。もうひとつお客様に届けるメッセージとして、初代ユーノス・ロードスターのカタログを開くと、“だれもが、しあわせになる”、そうメッセージが書かれている」

「今年はロードスターが誕生して30年の節目になり、10年に1度行われるマツダの三次試験場でのファンイベントが行われた。世界中から2200台のロードスター、そして3600人のファンが集まった」。

そこでは、山本氏達にファンから感謝状が贈られ、その内容が述べられた。「きっとだれもがしあわせになる。30年前にその言葉に誘われてこのクルマを手に入れた私達は、クルマなのに雨漏りをしても気にならない性格になったり、他に欲しいクルマがなくなってしまったり、気がつけば運転中に理由もなく笑顔になっていたり、各地のミーティングでそんな同じ症状を訴える仲間を見つけて安心したり。そして10年に1度三次に行きたくなってしまう。こんな人生になってしまった。でもそれもこれも幸せだ。私達の人生にこのクルマがある幸せを感じている。あなた方はこのクルマを生み出し人々を笑顔にし続けることに大いに貢献した。よってここに深く感謝の意を表する」。

「我々はロードスターはもはやマツダだけのものではなくて世界中のお客様のものだと考えている。お客様が笑顔になるように、そして自分達も笑顔になるようにこれからもロードスターを作り続けていく」

殿堂者殿堂入り 社団法人日本インダストリアルデザイナー協会の名誉会員理事の小杉二郎氏。

自動車の新たなデザイン開発に貢献し当事社会に馴染んでいなかったインダストリアル(工業)デザイン思想の重要性を提唱。デザインは技術開発と同様の作業工程があることを提示し、先駆者として多くの功績を残した。

表彰式にはご子息の小杉茂氏が駆け付け、「権威ある日本自動車殿堂に入ることができて父もとっても喜んでいると思う。父は小さいものから大きなもの、ハンドツールから電化製品、ミシン、スクーター、自動車まで幅広くデザインを手がけた。それの中でもマツダのクルマに関しては、オート3輪の頃から軽四輪、軽三輪、トラックまで数多くのデザインを手がけた」とコメント。

「最近では、マツダの自動車デザインが内外において高い評価を得ていると聞いており、私も大変嬉しく思っている。また父は三菱重工時代のスクーターも手がけていたので、今回はマツダと三菱のクルマが歴史遺産となったことも合わせて、嬉しく思っている」

殿堂者殿堂入り 東京大学名誉教授で工学博士の染谷常雄氏

エンジンの滑り軸受の振動及び安定性と油膜圧力との関係を理論解析と実験により明らかにし、滑り軸受の国際標準化や認証機構の解明と制御、さらに大気汚染行政への支援とその推進など学術の発展に多大なる貢献をされた。

染矢氏は受賞に際し、「青天の霹靂とはこういうことだ。私の自動車とのつながりを一言いうと、私は千葉県柏市の無医村に生まれた。年に1、2度病人が出ると町から自動車に乗って医者がやってきた。それが珍しくてまたとてもいい匂いがした。その後を追いかけていたことを覚えている」とエピソードを披露。また、ドイツでの研究や帰国後環境行政の一端を担ったことを自ら説明した。

殿堂者殿堂入り 川崎重工で常務取締役を務められた工学博士の大槻幸雄氏

カワサキの大型二輪車の開発において優れた加速性能及び最高速度を実現し、排気ガス規制のため2ストロークから4ストロークへの転換を図り、カワサキオートバイのブランドを確立。さらにガスタービン研究に優れた業績を残した。

大槻氏は、「自動車殿堂に入るとは夢にも思っていなかった。今回表彰を受けた大型二輪車を開発した当時、私と同じように一緒になって頑張ってくれた川崎重工の技術者の人たちのおかげでこの殿堂入りが果たせたと思っている」と喜びを語った。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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