札幌市電の上下分離化が決定…現在と同水準のダイヤと運賃を維持する予定 2020年4月1日

上下分離化後も低床車両の増備が継続される札幌市電。写真は1100形低床車の増備車。
上下分離化後も低床車両の増備が継続される札幌市電。写真は1100形低床車の増備車。全 4 枚

札幌市は11月26日、国土交通大臣に対する「軌道運送高度化実施計画」の変更申請について、11月25日付けで認定書の交付を受けたことを明らかにした。これにより札幌市電の上下分離化が決定した。

この上下分離は2020年4月1日に実施され、「上」部分の運行を一般財団法人札幌市交通事業振興公社が、施設や車両の保有・整備の「下」部分を札幌市交通局が担うことになる。同公社は札幌市が出資しており、「路面電車を今後もまちづくりに活用していくためには、札幌市の考えを踏まえて運送事業を運営することができる事業者が望ましい」として、密接な関係にある公社が運行事業者として適切であると判断された。

これにより札幌市では市電における経営基盤の強化や安全管理体制の維持・継続、新たな事業展開やサービスの向上を図れるとしており、上下分離化後の運賃やダイヤの設定は公社が行なうとしながらも、「引き続き、現在と同じ水準を維持する予定」だという。

ちなみに、2000~2018年度における札幌市電の1日あたりの総利用者数は、2015年12月に西4丁目~狸小路~すすきの間の開業により環状化された後の2万4871人がピークで、2017・2018年度も2万4000人台を維持しているものの漸減傾向となっている。

一方、同年度期間の経常収入は環状化以降増加傾向で、2017・2018年度は、運賃改定の効果もあってか経常支出をわずかに上回るようになり、黒字化傾向となっている。

とはいえ札幌市では「路面電車の経営は、乗車人員の減少により、厳しい状況」としており、上下分離化後も低床車両の導入や停留場のバリアフリー化、低床車両と停留場のトータルデザイン化、停留場周辺の活性化といった施策の継続を打ち出している。

そのため、上下分離後の2020年度は「下」側の札幌市交通局が3100万円の最終赤字、資本的な支出がない「上」側の公社が2100万円の最終黒字を見込んでいる。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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