35年のロングセラー『セロー』が生産終了…異例の“終売予告”でヤマハが伝えたかったこととは

ヤマハ セロー250 ファイナルエディション(左)と、初代セロー225
ヤマハ セロー250 ファイナルエディション(左)と、初代セロー225全 24 枚

ヤマハ発動機は、35年にわたるロングセラーとなった『セロー』(SEROW250)の生産終了を発表、1月15日から『セロー250 ファイナルエディション』を発売する。異例とも言える「終売予告」と、それに合わせて行われたメディア向け取材会で、ヤマハが伝えたかったこととは。

【写真】ヤマハ セロー250 ファイナルエディション(24枚)

「マウンテントレール」という新ジャンルを切り開いた

1985年に誕生したセローは「二輪二足」というキャッチフレーズで、モトクロスでもトライアルでもない「マウンテントレール」という新しいジャンルを切り開いた画期的なモデル。1997年発売のカワサキ『スーパーシェルパ』やホンダ『SL230』などセローに追随したモデルもあったが、結局ロングセラーとして生き残ったのはセローだけだ。

2005年には250cc化しフルモデルチェンジを、2017年にはいったん生産終了としたものの、翌2018年に環境性能に対応させた現行モデルを発売している。

ヤマハ セロー250 ファイナルエディションヤマハ セロー250 ファイナルエディション
今回のファイナルエディションは、特にマイナーチェンジなどはせずカラーリングのみの変更となっているが、初代セローをリスペクトしたグリーンとレッドを基調に新たなグラフィックデザインを施した。また、フレームにもそれぞれのグラフィックデザインと同系色の塗装を施しているのもこだわりのポイントだ。

A2サイズの立派なカタログには、ファイナルエディションとともに初代「セロー225」が並べられた写真を採用している。

ヤマハ セロー250 ファイナルエディションヤマハ セロー250 ファイナルエディション

販売好調も…環境規制対応、グローバル展開の難しさ

国内の年間販売台数がここ数年は3000台ほどで推移しており、単一モデルのセールスとしては好調と言えるセローを、なぜいま生産終了させるという判断に至ったのか。

一つは、2021年から継続生産車にも適用される欧州環境規制「EURO5」に対応させるには大幅な仕様変更を余儀なくされることだ。

もう一つは、「新型を開発したとしても、それは果たしてセローと言えるのか?」という点だ。セロー225からセロー250へ復活させたときも、社内やユーザーからそのような声が聞かれたという。独自の世界観を作り上げたセローならではの難しさと言える。

ヤマハ セロー250 ファイナルエディションと開発メンバーヤマハ セロー250 ファイナルエディションと開発メンバー
加えて近年、セローの販売台数のほとんどが日本国内向けであり、今後のグローバル展開やプラットフォーム化を考えると、生産終了もやむを得ないという判断に至ったのだという。

とはいえ、終売を予告することで現行セローを購入したいユーザーにとっても、後継機種を待ちたいユーザーにとっても、やきもきせずに購入の検討をすることができるメリットがあるのは確かだ。

新しい「バイク体験」を広げる役目

「ヤマハバイクレンタル」でセローと一緒にレンタルできるキャンプグッズ「ヤマハバイクレンタル」でセローと一緒にレンタルできるキャンプグッズ
ヤマハは「ヤマハバイクレンタル」事業とキャンプ道具のレンタル事業「TENTAL」と連携したキャンプツーリング向けのレンタルをトライアルで開始すると発表した。イメージモデルはもちろんセローだ。

レンタルバイク事業はニューモデルを試乗してもらうだけでなく、「バイクに乗る」ことそのものを体験提供する場になっているが、TENTALとの連携は、バイクで何をするか、バイクでどう楽しむかの体験を提供する場となる。

今回の終売予告は、単に売れればいいという姿勢ではなく、セローを通じて更に多くの人にバイク体験を広げていきたいというメーカーからの思いが見え隠れする。

いまのところ、セローの後継機種開発を検討するかどうかは未定とのことだが、初代セローから受け継がれたマウンテントライアルを新車で楽しめるのはこのセロー250 ファイナルエディションだけということになった。

《小林ゆき》

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