JVCケンウッド園田取締役、2030年までの技術ビジョンについて語る…CES 2020

JVCケンウッドがかかげる2030年までの向こう10年間の企業ビジョン
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JVCケンウッドは、2020年1月7日~10日まで、米国ラスベガスで開催された世界最大級のIT家電ショー「CES 2020」に出展。同社の技術戦略から未来に向けた企業ビジョンについて、同社取締役執行役員で最高技術責任者を務める園田剛男氏に会場内で話を伺った。

JVCケンウッドとして、今後のロードマップを書き直した

今回の出展でJVCケンウッドは、コアテクノロジーである「映像」「音響」「無線」を生かした技術やソリューション、新商品を提案した。ビデオ映像でまず説明されたのは、2030年までの今後10年間の進むべき方向性として、「この技術ビジョンを実現していくために、JVCケンウッドは先行技術と未来要素技術の開発に取り組んで行く」との基本方針だ。

園田氏はまずIT家電を取り巻く現況について、「良い音、良い映像を追求する中で、様々なバズワードが登場するもなかなか実現しない。今回のCESでもIoTが“インターネット・オブ・シンクス”から“インテリジェント・オブ・シンクス”と意味合いが変わって来た。世の中が実現の熟練度に達していないものが多く、その割に言葉だけが専攻している。とにかく混沌としてきた印象がある」との感想を述べた。

そんな状況下において「JVCケンウッドとして何ができるのか、ロードマップを書き直した」(園田氏)という。そこで語られたのは「技術を無理して構築するよりも、使い方によって(既存の技術の)魅力度を増すことができる」ということ。つまり、既に持っている技術を延長することで、それを礎に未来の生活や商品、サービスをもう一度見直す製品作りをしていこう、というわけだ。

とはいえ、足元ではドラレコが活発な動きを見せている。JVCケンウッドとしては、「ドラレコ周辺の事業について一つの事業部としての規模を想定」(園田氏)し、強化していくという。特に「昨年ぐらいから海外でもドラレコがブレイクし始めた」ようで、たとえばロシアではほとんどの車両にドラレコが装着されている状況。アメリカはあおり運転が多く、州ごとに細かな制約はあるものの、その対策として徐々にドラレコの活用が認知され始めている。また、普及が遅れていた欧州でもその存在が知られてきたという。

今後のドラレコに求められるのは“通信型ドラレコ”

そうした中で園田氏は「今後のドラレコに求められるのは“通信型ドラレコ”」と語る。ケンウッドは日本国内で保険会社と共同でこの事業を推進しており、ドラレコ単体と保険料を含むサービスがセットになった形で普及が進み始めているところ。ただ、これを市販ドラレコで展開するのはかなり難しい。通信費がユーザーの直接負担するようになるからだ。そこで園田氏はその解決方法として、「サービスのプラットフォーム化を進めること」だという。

今年から実用化される5Gが普及すれば、高画質で通信が続けられ、撮影したアーカイブ映像をいつでもプレイバックすることが可能になるだろう。トラフィックの混雑を踏まえれば、ドラレコ側で必要な映像だけを抽出してサーバーの送るようなシステムも想定されるかもしれない。つまりこれらをプラットフォーム化することでメリットを享受できるようになり、通信型ドラレコの普及が現実のものとなっていくのだ。

園田氏はこれについて、「エッジデバイスで端末(ドラレコ)のプログラムを書き換える、AIみたいなものがサーバーで処理することによって、エッジ端末が自己成長していく、そんなコンセプトを描いている」とのドラレコの将来像を話す。これらは先行技術と要素技術というものを技術的にカテゴライズすることで実現は可能だという。

「純粋にものの良し悪しは人がどう感じるか」ということも重要なテーマだと園田氏は語る。そこでJVCケンウッドはドラレコで二つの品質を追いかけているという。それが「画質」と「品質」だ。

その「画質はユーザーが期待している以上であることが目指すべきポイントだ」(園田氏)という。そのために「ドラレコのイメージセンサーについて良いものならどんどん導入していく」方針だと言うが、それは単純にセンサーだけなら他社と横並びになってしまう危険性も孕む。そこで園田氏が強調したのは「同じセンサーを使って比較した時、画質の違いを感じられるものにできるノウハウを我々は持っている。センサーの特性だけでは完結しない、我々はそこで勝負したい」ということ。映像に関しては絶対的な自信を持っているのだ。

「品質」に関しては、スポンサードしているGT3レースにおいて、ドラレコをオンボードカメラとして供給している。レースでは振動や熱、埃など、筐体のみならずケーブルなど接続する部分で高い信頼性が重要だ。そんなレースにおいて「過酷な中でも安定して機能を果たせるよう検証を重ね、その耐久性をデータとして取得するためにモータースポーツを通して刈り取りをしている」(園田氏)というわけだ。

インタビュー後、目にしたのは二つの新技術

インタビューの後、園田氏は今後製品へ反映される試作機が展示してある特別室へと案内してくれた。そこで目にしたのは、将来のドラレコにも反映されそうな二つの新たなテクノジーだった。

一つはドライバーの運転状況を監視するシステムのデモで、脇見や居眠り、あるいは携帯端末の保持といった危険行為などに対して警告を発する。赤外線をルームミラーから照射し、赤外線カメラによって昼夜を問わず監視することが可能で、子供の車内置き去りにも対応できるという。

もう一つは、某社製イメージセンサーを使った際の画像処理技術のデモだ。園田氏によると「明るいところは明るく、暗いところは暗く。人間が見たときの映像にできるだけ近くする、そういった画作りでチャレンジした結果」生まれたものだという。これはカメラISP(イメージ・シグナル・プロセッサ)と呼ばれる画像エンジンによって実現できたもの。センサーからの信号をバンクエンドへ橋渡しして最後に処理する際、リアルタイムでガンマ値を見ながら補正し、様々なテクニックを使って人間の眼に近い感覚の画になるよう映像品位を高めたのだ。

最後に園田氏は、「少なくとも2030年まではこうした品位を追いかけていきながら、避けては通れない5GやAIなど、求められるものへは普通に対応していく。最後は人間の五感に戻ってくる、そんなエッセンスを商品作りに反映してきたい」と、今後10年間のJVCケンウッドの商品作りへの抱負を述べた。

《会田肇》

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