ホンダがスーパーバイク世界選手権に復帰…18年ぶり、『Team HRC』として

ホンダがスーパーバイク世界選手権に復帰
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ホンダ=本田技研工業株は2月21日、東京のHondaウエルカムプラザ青山にて、2020年シーズンのスーパーバイク世界選手権チームローンチイベントを開催した。

ホンダは、2020年シーズンのスーパーバイク世界選手権に、『Team HRC』としてワークス参戦が決定。チーム・マネージャーに、ハウメ・コロム氏、ライダーに、アルバロ・バウティスタ選手、レオン・ハスラム選手を起用。マシンは『CBR1000RR-R FIREBLADE SP』をベースにしたワークスマシンとなる。またサテライトチームとして、MIE Racing Althea Honda Teamが参戦する。こちらは、森脇緑氏がチーム代表となり、ライダーに高橋巧選手が起用された。

イベントでは本田技研工業二輪事業本部長・安部典明氏が登壇し、「今回18年ぶりに、スーパーバイク世界選手権へ復帰するということが発表でき、更にふたつのチームを紹介できるということを大変うれしく思っている」とあいさつ。

「御存じのように、レースに参加することは、スピードを競うのが大好きという、ホンダのDNAのひとつでもあるが、それだけではなく製品開発とエンジニア育成の重要な要素でもある。このCBR1000RR-R FIREBLADE SPは、HRCのライダーと一緒に開発を進めてきた。CBR1000RR-R FIREBLADE SPの開発スタッフの何名かは、HRCのスタッフと一緒に仕事をしており、エンジンのパワーをどうつくり出すかなどは、Moto GPのマシンからノウハウを得て設計されている」

本田技研工業株式会社二輪事業本部長・安部典明氏。本田技研工業株式会社二輪事業本部長・安部典明氏。

「これから始まるスーパーバイク世界選手権のレースコースは、重要なテスト場所でもあり、パフォーマンスを実証する場でもある。チャレンジについてはもちろん厳しいことだとは思うが、HRCとMIEのチームは最大限の努力をしてくれると思うし、何回かのレースは表彰台をねらえると思っている。もちろん最初のレースからよい結果をイメージしてチャレンジしていく」

次にMIE Racing Althea Honda Teamの紹介が行われた。チーム代表の森脇緑氏が登壇し「スーパーバイク世界選手権のチームは、去年プロジェクトとして発足した。サテライトチームとしてCBR1000RR-R FIREBLADE SPを使って参戦できることは大変うれしい」とあいさつ。

MIE Racing Althea Honda Team代表の森脇緑氏。MIE Racing Althea Honda Team代表の森脇緑氏。

「またホンダレーシングファミリーの一員として、高橋巧選手を精一杯サポートしていきたい。彼は非常にモチベーションが高く、冬季テストにも精力的に参加してくれた。我々は何事にも果敢にチャレンジするというスピリットを持ったチームだという事も彼はしっかりわかってくれている。ファーストライダーは高橋巧選手で、セカンドライダーはスペイン人のジョルディ・トーレスを起用する。彼もモチベーションが高く、我々のチームスピリッツを理解してくれている」

「CBR1000RR-R FIREBLADE SPは非常にパフォーマンスの高いバイクだ。1年目の参戦という事もあり、我々にできることはとにかくライディングの回数を多くして、エンジニアとライダーの声を聞きながら開発を続けるということ。ファクトリーチームとは開発の仕方が違うかもしれないが、常にHRCのチームがサポートしてくれているので、私たちの得た情報を早く共有できるようにしていきたい」

高橋巧選手によって、アンベールされたMIE Racing Althea Honda TeamのCBR1000RR-R FIREBLADE SP。高橋巧選手によって、アンベールされたMIE Racing Althea Honda TeamのCBR1000RR-R FIREBLADE SP。

「高橋選手の事は以前からよく知っていた。昨年スーパーバイク世界選手権にも参加したし、レース経験も豊かで、尊敬しているライダーの一人だ。彼はテストするときに常に考え、精度の高い答えを出してくれるので、開発スピードが速くなる。そんな彼がチームライダーとなってくれることを非常にうれしく思う」

高橋巧選手が登壇し、新しいマシンがアンベールとなった。ホンダのサポートを受け世界選手権を戦うことについて聞かれた高橋選手は、「小さいころから世界選手権に出場することを目指してレースを戦ってきた。そしてついに今年、チャンスをいただけたので、しっかりチームと一緒に戦って、ホンダに恩返しができるように全力でチャレンジしたい」と述べる。

高橋巧選手は、夢だった世界選手権に出られることの喜びを語ってくれた。高橋巧選手は、夢だった世界選手権に出られることの喜びを語ってくれた。

「昨年のポルトガル戦に参戦したことは、今年、世界選手権にチャレンジするのによい経験をさせていただいたと思っている。まだこのマシンには乗れていなくて、来週の開幕戦で初めて乗るが、戦闘力のあるマシンだということは聞いているので、一戦一戦を大事にして、トップを目指して頑張りたいと思う」

株式会社ホンダ・レーシング代表取締役社長・野村欣滋氏は、「スーパーバイク世界選手権には長らく参戦していなかったが、今回戻ってきた。CBR1000RR-R FIREBLADE SPは、ホンダの新型フラグシップスーパースポーツバイクで、ホンダとHRCのスタッフが共同開発したバイクだ。これからは開発スピードを速め、ポテンシャルをフルに発揮できるようにする必要がある」という。

株式会社ホンダ・レーシング代表取締役社長・野村欣滋氏。株式会社ホンダ・レーシング代表取締役社長・野村欣滋氏。

そして参戦する意義について「我々は勝つために戦わなければならないが、それは容易に達成できるものではない。だがホンダは今まで、様々なレースに参加し、問題に直面することで、エンジニアも成長してきた。これこそがホンダがレースで常に戦っている理由だ」と語った。

「今回レースで一緒に戦ってくれるメンバーを紹介したい。レオン・ハスラム選手は、MotoGPとスーパーバイクの両方に参加経験がある。鈴鹿8耐では3回優勝している。アルバロ・バウティスタ選手は、2006年に125ccクラスのワールドチャンピオンになり、GPのキャリアで16勝をあげ、スーパーバイクでも16勝をあげている」

チーム・マネージャー、ハウメ・コロム氏はチームの目標を語ってくれた。チーム・マネージャー、ハウメ・コロム氏はチームの目標を語ってくれた。

「今回の参戦には新しいチームを設立し、有能なスタッフを集めた。チームの本拠地はスペインのバルセロナで、MotoGPやダカールのチームと同じ部門となる。チームのマネージャーはハウメ・コロム氏が担当する。彼はダニ・ペドロサが2005年に世界チャンピオンになった時、チームコーディネーターだった」

「サテライトチームとして森脇緑氏が率いるMIE Racing Althea Honda Teamが参戦し、ライダーは高橋巧選手だ。HRCは高橋選手をファクトリーライダーと同じレベルでサポートする。そして彼からのフィードバックを利用してCBR1000RR-R FIREBLADE SPの開発スピードを加速させる」

ニューマシンの左がアルバロ・バウティスタ選手。右がレオン・ハスラム選手。ニューマシンの左がアルバロ・バウティスタ選手。右がレオン・ハスラム選手。

次にハウメ・コロム氏が登壇。「チームもマシンも新しいため、最初は厳しい戦いになるということはわかっている。だが、『トップポジションにできるだけ早くたどり着く』という明確な目標を掲げて、スタッフもライダーも情熱を持って、モチベーションを上げて戦っていくつもりだ」と心意気を語る。

アルバロ・バウティスタ選手はHRCに入った感想を聞かれ、「とても特別な気持ちだ。新しいプロジェクトに加われたことはうれしい。日本に来られたこともよかったし、日本のスタッフはとてもよくしてくれている。新しいバイクの開発なので大変だと思うが、ホンダと一緒に必ず優勝できると思っている」と答えた。

サテライトチームもホンダが完全にバックアップするというのは心強い。サテライトチームもホンダが完全にバックアップするというのは心強い。

レオン・ハスラム選手は、「このチームに参加しプロジェクトの一員となれたことは、夢がかなったと思っている。東京に来られたこともうれしいがCBR1000RR-R FIREBLADE SPに乗ったときから私は笑顔になれた」と喜びを語った。

マシンの印象についてアルバロ選手は、「最初に乗ったとき、パワーには驚いた。すごいエンジンパフォーマンスだと感じた。もちろん開発が必要な点、向上したい点はあるが、全体としては素晴らしい。チームも新しいので、お互いをよく知ってから仕事を進めないといけないが、第一印象としてうまく噛み合っている感覚があった」と語る。

会場には、CBR1000RR-R FIREBLADE SP量産モデル(海外仕様)やエンジンのカットモデル、また2002年VTR1000-SPW、1997年RVF/RC45が展示されていた。会場には、CBR1000RR-R FIREBLADE SP量産モデル(海外仕様)やエンジンのカットモデル、また2002年VTR1000-SPW、1997年RVF/RC45が展示されていた。

レオン選手は、「テストで乗ったときは非常にエキサイティングだった。市販バイクとレースバイクがこれほど大差ないのは今までなかったこと。アルバロ選手も言っていたが、チームもマシンも新しいが、既にかなりの改善が施されている事を感じられる。早くレースしたい」と語った。

来週からのレースについてアルバロ選手は、「最終テスト前に、バイクのことはある程度わかっているので、もっとバイクのフィーリングを改善したい。そういった意味では、テストの2日間は楽しみにしている。レースコースは好きだし、以前走ったことがあるコースなので、新しいバイクで走ることにワクワクしている」
と答える。

レオン選手は、「フィリップアイランドは私がワールドチャンピオンシップで初めて勝ったときの場所なので、好きなコースからシーズンスタートできることを楽しみにしている」と語った。

《関口敬文》

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