TOYO TIRE(トーヨータイヤ)は2月25日、CAE(コンピューター支援技術)とAIを融合した自動車用タイヤ開発プロセス「T-MODE」を活用し、リアルタイムシミュレーション技術とスノー予測技術を新たに確立したと発表した。
T-MODEは、従来のタイヤ設計基盤技術「T-mode」に、CAE(コンピューター支援技術)とAI(人工知能)を融合した自動車用タイヤ開発プロセスだ。各種データを共通資産として一元管理し、設計者の間で共有。シミュレーションデータは、共有サーバーに自動蓄積され、データベース資産として、新たな解析・予測に活用していく。
同社は今回、これらのデータを活用し、設計仕様をインプットすれば、AI技術を介してタイヤ性能の予測値を瞬時に導き出せるリアルタイムシミュレーション技術を確立した。またタイヤ設計仕様とタイヤ性能の関係の可視化にも成功。この関係に基づき、シミュレーションデータを題材として機械学習を実施したところ、短時間の計算で精度の良い予測が可能になった。
また、T-MODEの進化したシミュレーション基盤技術を活用し、実際の使用環境における雪質を考慮した高精度なスノートラクション性能の予測技術も確立した。同社は、東京海洋大学、長岡技術科学大学、長野工業高等専門学校と共同で、雪からのせん断抵抗力計測手法の開発および計測を実施。環状せん断特性摩擦試験機を用いた試験により、駆動、制動時の荷重および車速を踏まえた、タイヤのゴムと自然雪との間のせん断力を計測できるようになった。これにより、さまざまなタイヤの使用環境における駆動、制動時のブロックやサイプの変形の可視化に成功。使用環境に適したトレッドパターンの検討が可能となった。同社では、今回確立したスノー予測技術を、新たな商品の開発に活用していく。
トラクション付与時のサイプ変形