【日産 ルークス 新型】進化したプロパイロットと隠れた衝突安全性能

日産ルークス新型
日産ルークス新型全 25 枚

25日発表された新型日産『ルークス』は、名称から「デイズ」が取れてルークスが車名となった。1年前のデイズのモデルチェンジを受けての新型投入だが、特徴は「広さ・使い勝手」「先進安全技術」の2つだという。

「昨年『デイズ』を発表したときは、本気で軽自動車をよくするとして軽自動車にプロパイロットを投入した。今回激戦区であるスーパーハイトワゴンの市場に投入するルークスでもその本気度をわかってもらえると思う」と星野朝子執行役副社長が挨拶をかねて新型ルークスを紹介した。

新型の特徴のひとつ、使い勝手をよくするため新型は旧型よりホイールベースが65mm拡大した。これは、デイズのプラットフォームを利用しているためだ。デイズがそうであったように旧型は、年式としてはいささか古いボディジオメトリといえる。今回のモデルチェンジで新型デイズと同じになったことで、後席の広さは格段に変わった。

ただ後ろが広がっただけではない。Bピラーを17mm前方にシフトし、スライドドアの開口部も大きくなっている。さらにリアシートの可動域を前に延長している。これにより、リアシートをめいっぱい前にするだけで荷室が簡単に拡大する。大きさとしては、27インチの自転車が積め、キャスター付きの大きめのトランクが4つすっぽり入る。分割シートでフラットになるのは当然として、リアシートが前にもずらせることで、チャイルドシートの子供のケアも運転席から可能だ。

日産ルークス新型日産ルークス新型デイズは細かい収納関係も充実している。ルークスでもスマホトレイやドアポケットなど、フロントまわりだけでも7か所。後席まわり(シートバックやアンダートレイなど)でも4か所の収納スペースが確保されている。USBソケットはインパネと後席シートバックに装備される。収納が多い車の落とし穴は、車検証の入れる場所がなくなることだが、ルークスは助手席のアンダートレイが二重底になっており、そこに車検証が入るようになっている。

特筆したいのはドアだ。まず、リアゲートはダンパーステーの角度と長さを調整し、開け締めが非常に軽いこと。パワーゲートではないが、荷物を持ちながらの開け締めは女性でも簡単にできる。さらにリアのスライドドアが(オプションだが)両側ハンズフリーオートスライドドアにできる。セレナでお馴染みの機能だが、使った人にはわかるだろう。この便利さはリモコンキーのパワースライドドアでさえ不便に感じるレベルだ。これが軽自動車に装備されたことはうれしい。

ミリ波レーダーにより2台先の車両もモニターミリ波レーダーにより2台先の車両もモニター次に安全技術だが、その筆頭はやはりプロパイロットだろう。従来からのカメラセンサーの他、ミリ波レーダーが追加され200m前後の遠距離センシングが、追従のための加減速の制御を細かくする。レーダーの特性を活かし、2台前の車両の距離、相対速度もその制御に加味するようなっている。2台前のクルマが減速した場合、前走車の減速を待たず先を呼んだ制御が可能ということだ。

ADASや自動運転では、レーダーやLiDARを使わず高性能カメラですべての距離レンジと天候条件の幅を広げる考え方が広がっている。雨、照明のない夜間、雪、その他の条件でも、カメラの性能、画像処理技術によってレーダーなどを併用するより精度は上がっているからだ。しかし、コスト要件の厳しい軽自動車では普及モデルのカメラとミリ波レーダーの組み合わせは現実的といっていいだろう。

アダプティブLEDヘッドランプアダプティブLEDヘッドランプ対向車や前走車によって配光パターンを自動的に切り替えるアダプティブLEDヘッドライトも用意された。これは、ハイウェイスターのみの設定だ。見た目はプロジェクターヘッドランプだが、内部の発光素子は片側19個のLEDマトリックスになっている。このうちロービーム相当の7個は固定点灯だが、ハイビームの12個は、カメラ画像から対向車や前走車を検知し、配光パターンを動的に変えてくれる。配光パターンを制御することで、他車への防眩になる他、歩行者の蒸発現象(対向車のヘッドライトによって手前の歩行者がみえなくなる現象)の低減にもつながる。

スタンダードモデルに設定がないのが残念だが、自動点灯、オートレベライザ、ワイパー連動など一定のインテリジェント機能を持っている。

以上は、いわゆる予防安全機能といえるものだ。じつはルークスには衝突安全機能にも特徴があった。ニーエアバッグだ。

二―エアバッグ二―エアバッグ軽自動車は、一般的にクラッシャブルゾーンが小さく、衝突時の空間確保が困難といわれている。乗用車や大型車に比較したら、規格上やむを得ない特性なのだが、ルークスは、軽自動車の最大の弱点ともいえる運転席の足元空間を保護するエアバッグがついた。

オフセット衝突や側面衝突では、軽自動車こそサイドエアバッグ、カーテンエアバッグが必須といえるのだが、対向車がはみ出てきたような正面オフセット衝突で、ダメージの大きいドライバー側の足元保護には有効だろう。

レーンキープ、踏み間違い防止、アラウンドビューなどその他のADAS機能は、デイズに準ずる。つまり、「全部入り」(機能はメーカーごとの差異がある)と言ってよいが、SOSコール(異常時の自動コールセンター通報機能)がハイウェイスターに標準装備となった。日産によれば、これまでSOSコールでパトカーの出動や救急車の搬送などに至った事例は30件ほどあるという。

国内市場は、昨年秋以降の消費落ち込みやコロナウイルスと逆風が続いているが、日産では、ルークスの当面の販売計画を9000台/月としている。デイズが8000台だったので、状況を考えると強気の計画だが、激戦区=パイは広いということでこの数字を設定したという。

『デイズルークス』は、このモデルから「デイズ」がとれて「ルークス」という車名になったが、その理由は「軽自動車の中でも激戦区といわれるハイトワゴンのセグメントで、独自の存在感をアピールするため」(チーフビークルエンジニア齊藤雄之氏)だという。エンジン(BR06)やプラットフォームの素性の良さはデイズで一定の評価・実績はあるといえる。ハイトワゴンならでは使い勝手と進化した安全性能を武器に、ルークスは市場投入される。予約は本日から可能で、発売日は3月19日。

《中尾真二》

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