【アルピーヌ A110S 新型試乗】筑波2ラップでもわかる「楽しいクルマの原点」がここにある…諸星陽一

筑波サーキットのコース2000を最新アルピーヌで駆ける

トルクの維持に重点を置いたチューニング

タイトなコーナーこそが『A110S』の真骨頂

アルピーヌ A110S
アルピーヌ A110S全 26 枚

筑波サーキットのコース2000を最新アルピーヌで駆ける

日本でのアルピーヌブランドが宣言されたのが2017年。その後、2018年に往年の名車『A110』と同名のモデルを発表、「ピュア」と「リネージ」の2グレードを発売した。

初代アルピーヌA110はアルミのバックボーンフレームにFRPボディを被せるという手法。エンジンはリヤセクションに搭載されリヤタイヤを駆動するRR方式を採用した。現代のアルピーヌA110もボディアーキテクチャはアルミ、エンジンはRRではなくミッドシップに搭載し、リヤタイヤを駆動する。搭載エンジンは1.8リットルの4気筒ターボでミッションは2ペダルの7速ATが組み合わされる。

アルピーヌ A110Sアルピーヌ A110S
今回試乗したのは2019年の東京モーターショーでお披露目された『A110S』というモデル。試乗会の舞台は筑波サーキットのコース2000。事前にペースカー付きでスタンダードのA110で3ラップ、A110Sを3ラップ走行した後、A110Sをフリーで2ラップというかなりショートなプログラムであった。

トルクの維持に重点を置いたチューニング

アルピーヌ A110Sアルピーヌ A110S
A110Sに搭載されるエンジンはスタンダードと同様の1.8リットルの4気筒ターボ。スタンダードに比べてブーストを0.4bar(約0.4kg/cm2)アップすることでピークトルク発生回転数を高回転まで維持可能とする手法で、最高出力を292ps/6420rpmにまでアップ。筑波サーキットのコース2000・バックストレートではDレンジ走行で6800回転まで回り切ってシフトアップが行われた。

タイムアタックならブレーキちょん掛けで最終コーナーに飛び込むのだろうけど、試乗会1日目の第2グループ。日本に入ってきている台数もまだ限られる899万円のアルピーヌA110Sを台無しにしたら、業界中の笑いもの…では済まされない。ここは慎重に減速をおこなっての進入。グリップを確かめつつ右100R-90Rのコーナーを攻める。

アルピーヌ A110Sアルピーヌ A110S
A110Sはミッドシップで前:480kg/後:630kgの重量配分だが、アクセルを踏んでいってもオーバーステア気味になることはなく、きれいにコース上をトレースしてくれる。1コーナーに向かってのフルブレーキングも姿勢を崩さずにきれいに減速する。

タイトなコーナーこそが『A110S』の真骨頂

アルピーヌ A110Sアルピーヌ A110S
コース2000の1コーナーは55R-35Rの複合コーナー、第1ヘアピンは27R、第2ヘアピンは25Rとタイトだ。このタイトなコーナーこそがA110Sの楽しさがもっとも出る部分。ドリフト状態になるかならないかを見極めながら、そこの部分をコントロールしながら攻める最終コーナーのような肝試し的要素ではなく、小さなボディを自分のコントロール下におく、それでいてちょっとした冒険を味わえるようなコースが似合うモデルといえる。

とはいえ、約300馬力のミッドシップモデルがこれほどまでに乗りやすく、そして楽しいものになるとは、自動車業界の技術進歩はじつに素晴らしいものだ。

なお、★の評価はミッドシップのスポーツモデルであることが前提。オススメ度は899万円という価格を考慮してのもの。経済的に余裕があり、価格を気にしない方が対象なら、★はいくつあっても足りないかもしれない。

アルピーヌ A110Sアルピーヌ A110S

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 伝説のACコブラが復活、「GTロードスター」量産開始
  2. トヨタ『ランドクルーザー300』初のハイブリッド登場!実現した「新時代のオフロード性能」とは
  3. ようやくですか! 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』日本仕様初公開へ…土曜ニュースランキング
  4. カスタムパーツが付け替え可能な高級トミカ、「日産 スカイライン25GT TURBO」11月発売
  5. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  2. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  3. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  4. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  5. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
ランキングをもっと見る